2011年5月6日金曜日

巨大メーカー3Mが競走馬ムーチョマッチョマンのスポンサー!になった経緯

スコッチテープやポストイットなどでおなじみのグローバル企業3M(スリーエム)社が、ケンタッキーダービーに出走するムーチョマッチョマン Mucho Macho Manのスポンサーになると発表されました。1頭の競走馬にスポンサーがつくというこの珍しいニュースはもうすでにご存じの方も多いでしょうが、ニューヨークタイムズ紙のブログに詳しい話が紹介されていたのでご紹介します。


3M Corporation to Sponsor Mucho Macho Man | BloodHorse.com
From Mucho Macho Man to 3M - NYTimes.com

勝負服のパンツに赤い企業ロゴを入れる計画があり、これには競馬委員会や競馬場の許可が必要ですが、4月29日(BloodHorse など)に一報が伝えられたあと、5月4日付の記事(ニューヨークタイムズ)でも紹介されているので実現すると考えて良さそうです。スリーエムは2002年まで社名として Minnesota Mining & Manufacturing Co.を使用していましたが、現在は略称だった3Mを採用しています。ケンタッキーダービーなど三冠レース当日は「3M」が Mucho Macho Manを意味するようになるわけです。

ムーチョマッチョマンはG2リズンスターS.優勝、G3ルイジアナダービー3着しており、ケンタッキーダービーには中堅人気で出走します。


ニューヨークタイムズによると、きっかけはケンタッキーダービーのスポンサーである自動車メーカー、ダッジ社のロゴが騎手のパンツに入ることを、ムーチョマッチョマンを夫と共同所有する広告コンサルタントパティ・リーヴス(Patti Reeves)が知ったこと。リーヴスはムーチョマッチョマンをファンが「MMM」と呼んでいることから、3Mがスポンサーになったほうがおもしろいと考え、スリーエム社にスポンサー話を持ちかけました。パティ・リーヴスは過去に15年ほど3Mのために仕事をしたつながりもあったそうですが、スリーエムは(少なくとも現在は)競馬のスポンサーはしていないようです。

リーヴスは4月27日、1-888-3MHELPS に電話をかけ(調べると「お客様ダイヤル」であり、「仕事をしたことがある」というのはどうした、という気もするのですが)、メッセージを残してみたところ、ミネソタ州にあるスリーエムの本社から消費者担当のジェリー・メイブリーがすぐにかけ直してきました。メイブリーはすぐにおもしろいアイデアだと思い、また彼のスタッフがムーチョマッチョマンの4代父 ミネソタマック Minnesota Mac と スリーエムとの関係に気づいたことも後押ししました。

スリーエムは実は競馬とも隠れた関係があり、実質創業者ウィリアム・L・マックナイトはフロリダ州のタータン・ファームズのオーナーとして(タータン=スコッチテープの商標のひとつ)、年度代表馬 Dr.Fager を送り出すなど、馬主として活躍していました(マックナイトが馬主になったきっかけもスリーエムに関係あるっぽい?)。ミネソタマックはそのマックナイト(名義はTartan Stable)の持ち馬だったのです。


スリーエムのメイブリーはリーヴスと2,3時間話したあと、リーヴスのアイデアを買うことに決め、翌日スリーエムはムーチョマッチョマンの米三冠レース(ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス)出走時のスポンサーになると発表したのでした。スリーエムは、ケンタッキーダービーのレースの質の高さが自社の高品質商品のイメージと合うとしています。スリーエムがリーヴスや(競馬主催者にも?)支払う金額は公表されていません。

リーヴスはこれまで数頭の競走馬を所有していましたが、昨年の今の時期はまだ1勝もしたことがなかったそうで、金銭的にかなりの持ち出しだったと考えられますが、「とても幸運なことに、ムーチョマッチョマンが全部稼いでくれました」としているのでそれなりのスポンサー料であると考えられます。ムーチョマッチョマンは2歳時にも G2戦で2着2回しており、これまでの獲得総賞金は40万ドル(約3600万円)です。


以上、主にニューヨークタイムズの記事をもとにしています。

ちなみにムーチョマッチョマンの3代父グレートアバブの母タウィーもマックナイトの所有馬で、殿堂入りした名馬です。

こうして詳しい話を聞いて驚くのは、スリーエムにスポンサー話が持ち込まれたのは4月27日、スポンサーになると発表されたのが翌28日だという、この意思決定の速さです。それにリーヴスがこの提案をスリーエムに伝えたのが「お客様ダイヤル」経由だったというのも、よくいたずら扱いされなかったよなぁと。ケンタッキーダービー出走馬の馬主を名乗る人物がお客様ダイヤルからスポンサーにならないかと提案してきたとして、どれだけの人が信じるかという。だめもとでとりあえず電話してみたリーヴス、持ちかけられた話に俊敏に対応したメイブリーらスリーエムの社員たち、どちらも見習いたいものです。

0 件のコメント: