2010年10月16日土曜日

トウカイトリックは12着、コーフィールドカップのレース映像

オーストラリアのコーフィールド競馬場で行われた G1コーフィールドカップに日本からトウカイトリック(藤田伸二騎手)が出走しましたが、18頭立て12着に終わりました。

コーフィールドカップのレース映像はこちら。トウカイトリックは白い帽子に白地にピンクの横線が入ったお馴染みの勝負服、外から2頭目の発走。(レース動画予備YouTube


トウカイトリックは 3、4コーナーで良い感じにポジションをあげていたのですが、直線に入る手前あたりでゴチャついて、すこし後方に押し下げられたのが痛かったです。スムーズなら、入着は無理だったでしょうが、9着には入れたと思いますが。

今後は、予定どおりなら11月2日にオーストラリア・フレミントン競馬場で行なわれるメルボルンC(GI、芝3200m)に出走することになっています。

G1コーフィールドカップ Caulfield Cup
オーストラリア・コーフィールド競馬場・芝2400m、3歳以上ハンデ
賞金総額2億円、1着賞金1億2000万円(1豪ドル = 約80円で計算)
着順馬名英語性・齢斤量(kg)騎手
1デスカラードDescaradoセン452.5G.マンス
2ハリストウィードHarris Tweedセン554.0B.ローウィラー
3モナココンサルMonaco Consul牡454.0C.ウィリアムズ
12トウカイトリックTokai Trick牡954.5藤田 伸二

勝ったデスカラードはこれが G1初制覇。これまでにAJCオーストラリアンダービー(G1)2着があります。父ハイチャラパル(血統表)。2着モナココンサルも父ハイチャラパルで(モナココンサルの血統表)、昨年3歳時にヴィクトリアダービーなどG1競走2勝しています。3着ハリスツイードの父はモンジューで、3歳時にG2競走1勝、AJCオーストラリアンダービー(G1)2着がありました。上位3頭はいずれも父父がサドラーズウェルズです。

2010年10月12日火曜日

映画「セクレタリアト」、初登場週の全米興行収入は第3位

10月8日、米クラシック三冠馬"セクレタリアト Secretariat"と、セクレタリアトのオーナーブリーダーであるペニー・チェナリーの伝記映画「Secretariat」がアメリカで公開されました。映画「Secretariat」は、8日から10日までの全米興行収入で第3位を記録しています。

10月8日(金)から10月10日(日)までの全米興行収入成績






タイトル日本語題興行収入上映映画館数
11The Social Networkソーシャル・ネットワーク12.7億円2,771
2-Life as We Know It不明11.9億円3150
3-Secretariat不明10.4億円3072
42The Owls of Ga'Hooleガフールの伝説5.7億円3225
5-My Soul to Take不明5.6億円2572
(1ドル = 82円で計算)
(第4位の映画の正式タイトルは Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole と長いので略)
(6位以降は元の英語ページをどうぞ。日本語紹介記事「全米映画チャート 『ソーシャル・ネットワーク』が首位をキープ」)

という感じ。「セクレタリアト」が日本で公開されるかは不明です。最近は日本のテレビ局が自社製作映画を優先して猛プッシュするため、洋画は認知度不足に陥って売り上げが上がらないこともあるそうです。そういう状況なので、日本での公開につなげるためにも宣伝しやすい「初登場第1位」になりたかったところですが、残念なことに世界最大のSNS「フェイスブック」創業者をあつかった伝記映画「ソーシャル・ネットワーク」などに負けてしまいました。

公開されるか微妙なところかもしれませんが、映画関係者の皆様には、アメリカにくらべて日本における競走馬セクレタリアトの知名度は「シービスケット」をはるかに上回る(たぶん)ことを考慮してもらって、ぜひ公開して欲しいです。


ちなみに英語版の公式サイトでは現在、壁紙をダウンロードできます。5パターンの壁紙が
1600px×1200px、1280px×1024px、1024px×768px
の3通りの大きさで用意されていますので、こちらからお気に入りを探してください。左メニューの"Downloads"をクリックすると一覧が現れます。また"Video"からは、以前紹介した時よりも多く予告編動画が用意されているのであわせてどうぞ。

2010年10月10日日曜日

ディープインパクト産駒 Barocci の仏デビュー戦を写真で紹介

日本で生産され、先日フランスでデビューしたディープインパクト産駒バロッチ Barocci の初戦プリンスビオ賞(2歳新馬戦)のレース中の写真です。パリスターフから拝借しました。画質が悪いのは元からです。

まず上位馬の勝負服はこちら。上から着順どおりに並んでいて、2着がディープ産駒バロッチ。


残り約500m。中央の緑の帽子・勝負服が 1着Ziyarid。その右の、青と白の縦縞帽が3着になる Durer。バロッチは、ピンクの帽子の右上にいる白い帽子。青い勝負服は前の馬に隠れてほとんど見えない


残り400mを切ったところで、Ziyarid と Durer が先に抜け出している。一方、白帽、青の勝負服のバロッチは、ピンクの帽子の馬のすぐ後ろ。前が壁に


残り200m付近では、壁になっていた馬たちの外に並ぶ。Ziyarid らとは4馬身以上の差がありそう


先頭に立っていた2頭から Ziyarid が突き放す。バロッチも壁の外に出すと鋭く伸びて3番手に上がる


残り100mも無いかな? バロッチが前との差をグングン詰める


ゴール前。手前の9番がバロッチ。ゴール通過時には内の Durer をハナ差交わして2着でゴール。1着馬2番 Ziyarid とは2馬身差。
プリンスビオ賞のレース映像が見つからないので画像で紹介しました。好スタートから逃げた Ziyarid が優勝、2番手追走していた Durer が3着。先行決着のレースでしたが、中段待機のバロッチは馬群をさばくロスがあったにもかかわらず、1頭だけ良く伸びて2着に食い込む競馬を見せました。今後どういう予定か分かりませんが、少なくとも末脚は確かで、2戦目以降も期待できそうです。


バロッチの血統解説などは過去記事「ディープインパクト産駒"Barocci"がフランスでデビュー」をご覧ください。

また、イギリスで走るディープインパクト産駒 Sunday Bess のデビュー戦の様子はこちら「Sunday Bess の新馬戦を画像で紹介(英デビューしたディープインパクト産駒)

ナカヤマフェスタ惜敗、凱旋門賞の感想(結果とレース映像も)

日本からナカヤマフェスタヴィクトワールピサとの2頭が出走した第89回凱旋門賞は、ナカヤマフェスタが頭差の2着で本当に惜しい結果でした。11年前に2着したエルコンドルパサーは半馬身差だったから、もっとも凱旋門賞に近づいた日本馬といえるでしょう。着差がさらに詰まった分、あのときよりも悔しい気持ちが強いです。

凱旋門賞を優勝したのは、今年の英ダービーを7馬身差レコードで勝ったワークフォース Workforce

凱旋門賞のレース映像。これが一番高画質です。日本語実況はこちら。1着ワークフォースは中段後ろ最内を進むピンクの帽子。2着ナカヤマフェスタは赤い帽子、赤い胴に青の袖の勝負服。7着ヴィクトワールピサは白と青の縦じまの勝負服。



第89回凱旋門賞 Qatar Prix de l'Arc de Triomphe
2010年10月3日、ロンシャン競馬場・芝2400m、3歳以上牡牝G1
不良馬場、勝ちタイム2分35秒50、公式サイト

着順馬名性・齢斤量(kg)騎手着差今年の主な勝ち鞍
1.ワークフォース牡356R.ムーア2.35.50G1英ダービー
2.ナカヤマフェスタ牡459.5蛯名正義アタマG1宝塚記念
3.サラフィナ牝354.5G.モッセ2・1/2G1仏オークス
4.ベカバッド牡356C.ルメール1・1/2G1パリ大賞
5.フェイムアンドグローリー牡459.5J.ムルタ1G1コロネーションカップ
7.ヴィクトワールピサ牡356武豊-G1皐月賞

勝ったワークフォースは、09年9月に7ハロンのデビュー戦を優勝。2戦目は2010年5月のG2ダンテS.で、のちに愛ダービーを勝つケープブランコ(凱旋門賞16着)から約3・1/4馬身差2着でした。その次走G1英ダービー(過去記事)では、ラムタラのコースレコードを1秒近く上回るコースレコードで優勝。しかし4戦目キングジョージでは1番人気に押されたものの、11馬身差で圧勝したハービンジャーから17馬身はなされる5着(6頭立て)に終わっていました(過去記事)。凱旋門賞を勝って、通算5戦3勝2着1回。G1競走2勝。

ワークフォースは、父キングスベスト×母父サドラーズウェルズの血統です。キングスベストの父がキングマンボだから、キングマンボ×サドラーズウェルズのエルコンドルパサーとかなり似た配合であり、そんな血統のワークフォースが、当時エルコンドルパサーでコンビを組んで凱旋門賞に挑んだ二ノ宮調教師と蛯名騎手との前に立ちはだかったというのも歴史の妙というか・・。

また、ワークフォースはキングジョージで予想外の惨敗して以来、調教はこなしていましたが「状態を観察するため」として出走しておらず、そもそも8月ごろに「今年はもう出走しない可能性も」というような話を聞いた覚えもあるのですが、直前の9月30日(木曜日)になって凱旋門賞に向かうことが正式に表明され、そして凱旋門賞に出走すると見事に勝ちきるという驚くような結果になりました。

今年の凱旋門賞に出走した日本馬2頭は、宝塚記念以来ぶっつけで挑んだディープインパクトなどの結果を経て、現地で1戦使ってから挑むという万全の準備をしていたにもかかわらず、こんなローテーション(失礼)で出走したワークフォースにわずかに先着されるという結末に。ワークフォースは月曜時点で調教は良かったようですが、イマイチ納得がいかない。しかし差し返そうとしたフェスタを振り切ったレース振りは本当に強く脱帽するしかないです。


日本馬2頭について
フォア賞に続き2着を確保したナカヤマフェスタは父ステイゴールド譲りの海外遠征上手なのかも。あとステイゴールドはサンデーサイレンス系の中ではスタミナ系に分類できるし、ナカヤマフェスタの母母父が欧州を席巻するデインヒルというのも血統的に向いた印象があります。

また成績的に、京成杯、セントライト記念、宝塚記念という、東京や京都のG1競走に関連性があまり無いレースで活躍した馬が凱旋門賞で2着だったというのも今後の日本馬が遠征するときのポイントかと。凱旋門賞は直線でバテた馬をさばきながらじわじわとポジションを上げていき、最後の1ハロンぐらいで末脚を爆発させるのが勝利のセオリーのように見えますが、中山や阪神内回りで強い馬の、坂を上がって最後の100mで鋭く末脚を伸ばせる特徴が凱旋門に向くのかなと。ナカヤマフェスタの宝塚記念はそんな感じのレースでしたしね。

G1レース1勝馬を連れて行くことにしたオーナーの英断が導いた2着は、日本の「普通の」強豪馬にとって、適性さえあれば凱旋門賞のタイトルが十分に手の届くところにあることを確認させるもので、日本競馬界にとって大きな財産になりそう。ナカヤマフェスタは来年も現役続行して春はドバイにも行く模様。また、凱旋門賞出走を検討されており、来年にも日本馬による凱旋門賞制覇を目撃することが出来るかもしれません。


一方、皐月賞馬ヴィクトワールピサは7着に終わりました。そもそも 2400mの距離や不良馬場は1-4着馬と比べれば適性を欠いたのは明らかだと思えるのですが、それでも、前哨戦ニエル賞でベカバッドにつけられた8馬身差を約4馬身差にまで詰め、さらに今年の愛ダービー馬や仏ダービー馬に先着しており、よく頑張ったと思います。この後はジャパンカップ直行ということで、2400mは不向きだと思いますが、健闘を期待したい。


最後に録画中継をしてくれた関西テレビに感謝。実は私、夕飯を済ませた後、ついつい寝てしまいまして、目覚めたのは凱旋門賞の生中継が終わったころ。愕然としましたが、1時間遅れぐらいの録画中継を関西テレビが 12時25分から地上波で行う予定なのを思い出したので、レースの結果・映像を見ないようネットやらを完全に遮断したうえで、関テレで凱旋門賞のレース映像を見ることが出来ました。当たり前だけど、関テレがレース放送前のスタジオで結果を述べたりしなかったおかげで、寝過ごしたにもかかわらず、生と変わらない興奮を味わうことが出来てホント良かったです。競馬で今年一番興奮した瞬間で楽しかった。

2010年10月8日金曜日

ディープインパクト産駒"Barocci"がフランスでデビュー

現地時間10月7日、フランス・サンクルー競馬場で行われた2歳新馬戦に父ディープインパクトバロッチ Barocci が出走し、1着から2馬身差の2着でした。

(追記:「ディープインパクト産駒 Barocci の仏デビュー戦を写真で紹介」でレースぶりを詳しく紹介しています)

海外競馬解説でおなじみ「世界の合田」こと合田直弘さんによると、バロッチは
父ディープインパクト産駒の日本産馬。フランスのヴィルデンシュタイン家が、所有する牝馬を日本へ送り、ディープを交配されて日本で出産。
合田直弘Official Blog: 欧州の父ディープインパクトより一部引用
調教師はエリー・ルルーシュで、今回騎乗したジョッキーは、短期免許で来日したこともあるアントニー・クラストゥス

レース前には仏スポーツ紙レキップが、「日本の競走馬で凱旋門賞にも出走したあのディープインパクトの産駒であるバロッチがプリンスビオ賞に出走予定、ディープインパクト産駒がフランスで走るのはこれが初めて」と報じるなど、バロッチは仏競馬界からも注目されていた模様。

プリンスビオ賞 Prix Prince Bio
サンクルー競馬場・芝1600m、未出走2歳牡セン
15頭立て、不良馬場
1着 Ziyarid C.ルメール 1分50秒00
2着 Barocci(2番人気)A.クラストゥス、2馬身差
3着 Durer(1番人気)C.スミヨン、ハナ差

馬場状態が悪く 1600m戦の勝ちタイムが1分50秒00ですから、サンデーサイレンス系ディープインパクト産駒であるバロッチには厳しかったかもしれません。それでも2着は確保し、フランスの2歳戦はこのサイトによると、11月中旬ごろまで重賞戦線があるので、2歳戦だけでもまだまだこれからなので注目です。

このレースは良血馬が多く、たとえば3着 Durer は、仏G1フォレ賞勝ち馬 Dedication と、仏グループレース2勝 Dunkerque の弟です。また6番人気13着だった Rock Climber は、G1仏2000ギニー(2009年)勝ち馬シルヴァーフロストの弟。9着 Mambonut(父キングマンボ)の母Nutcase は自身未勝利なものの、G3勝ち馬でマキャベリアンなどG1馬3頭の母でもある Coup de Folie の妹であり、さらに3代母がノーザンダンサーの母であるナタルマ。1着 Ziyarid の5代母は、2008年に無敗で凱旋門賞を制覇した7戦全勝の名牝ザルカヴァの4代母であるザーラです。


そしてバロッチはというと。バロッチの日本語の5代血統表はこちら。母バステットはフランスで準重賞1勝、G3で2着と3着が1度づつある。またバロッチの祖母 Benediction はオーストラリアの名種牡馬ザビールとの間に、G1メルボルンカップ(芝3200m)などオーストラリアの中・長距離G1競走7勝のマイトアンドパワーを生んでいます。バロッチもかなりの良血です。
母父ジャイアンツコーズウェイは現役時代G1競走5連勝を含むG1レース6勝を挙げた名馬。種牡馬としては、仏3歳クラシック2冠馬シャマルダルなど多数のG1馬を輩出し、世界中で産駒が大活躍しています。日本ではスズカコーズウェイやエイシンアポロンなど比較的短いところで産駒が活躍し、海外でも、レースの多くが2000mぐらいまでのアメリカはともかく、長距離レースもそろっているヨーロッパでもマイルから2000mぐらいまでで産駒が活躍していて、日本での産駒成績と同様距離に上限がある感じです(シャマルダルは仏ダービーが2100mに短縮された最初の年の勝ち馬)。

産駒がデビューしてまだ数ヶ月の父ディープインパクトの距離適性が不明なため、確かなことはいえませんが、バロッチは 2100mの仏ダービーならいけそうですが、2400mの凱旋門賞は難しそうな感じもします。でも大活躍できるよう応援したい。


バロッチの馬名の由来はおそらく、16世紀イタリアで活躍した画家のフェデリコ・バロッチと思われます。馬主のウィルデンシュタイン家は画商ですしね。

2010年10月3日日曜日

ゼニヤッタ、レディースシークレットS.を勝って19連勝

現地時間10月2日、米・ハリウッドパーク競馬場で牝馬限定G1レディースシークレットS.(オールウェザー8.5ハロン、約1700m)が行なわれ、昨年のBCクラシック勝ち馬ゼニヤッタ Zenyattaが勝ってとうとう19連勝達成、次走BCクラシックで米現代競馬史上初の20連勝を目指します。

19 Down, One Big One to Go for Zenyatta - BloodHorse.com

レディースシークレットS.で19連勝したゼニヤッタ
ゴール前で2着スイッチを交わすゼニヤッタ
レディースシークレットS.のレース映像。いつものとおり最後方で競馬するのがゼニヤッタ(動画予備1予備2)。


毎度毎度「今日は勝てないか」と思わせてから差しきるところがレースを見ていて楽しい。2着のスイッチ Switchは重賞2勝馬。強豪牝馬ブラインドラックがコティリオンS.に回ってくれたことでメンバーは楽でした。

ゼニヤッタはこの勝利でレディースシークレットS.3連覇。ヴァニティハンディキャップ、クレメント・L・ハーシュS.も3連覇しています。G1競走は13勝目。次走はブリーダーズカップ・クラシックの予定で、ティズナウ以来2頭目、牝馬としては初めての2連覇を目指します(昨年のゼニヤッタが牝馬初の勝利だったから当たり前ですが)。

上にリンクをはったブラッドホース誌の記事は「BCクラシックがゼニヤッタの最後のレースになる可能性がある」と紹介しています。ゼニヤッタがBCクラシックを勝てば無敗の20連勝。アメリカでのこれまでの記録はペッパーブライドの19連勝(ただしこの19勝はすべてニューメキシコ産牝馬限定戦)で、これを塗り替えることになります。引退レース?で達成できるか注目です。

ライバル候補は今度また記事にしようと思います。もちろんエスポワールシチーも出走予定です。

レッドディザイアは約1馬身差3着、フラワーボウル招待ステークスの結果

現地時間10月2日に行なわれた米G1フラワーボウル招待ステークス1着アーヴェイが2着チェンジングスカイを頭差差しきって、G1初勝利を挙げました。日本から出走したレッドディザイアは1番人気に押されたものの、2着から3/4馬身差の3着に終わりました。勝ちタイムは2分08秒54で、10ハロン(約2000m)のレースとしては遅め。極端なスローペースと前日までの雨のため重馬場だったことも影響し、過去20年で2番目に遅い時計でした。

レッドディザイアが出走したフラワーボウル招待ステークスのゴール前
フラワーボウル招待ステークスのゴール前、赤い勝負服がレッドディザイア

フラワーボウル招待S.のレース動画はこのリンク先本文中の VIDEO をクリックで見れます。

追記 YouTube はこちら

追記ここまで


レースは道中内で脚をためたレッドディザイアが最後の直線でいったん先頭に立ったものの、外から伸びてきたチェンジングスカイズに交わされ、さらにレッドディザイアとチェンジングスカイズの間を伸びたアーヴェイがゴール前で2頭を差しきって優勝しました。レッドディザイアは4着キーアタナに3馬身差つけています。

1着アーヴェイと2着チェンジングスカイズは2頭ともヨーロッパで競馬をしたあとアメリカに移籍。アメリカでの成績を見れば、レッドディザイアはもちろん5着シェアードアカウントや6着フォーエヴァートゥギャザーらと比べても格下ですが。イギリス産アーヴェイの父は欧州で重馬場を得意とするらしいデインヒルダンサー、母父がサドラーズウェルズ系インザウイングス、またアイルランド産チェンジングスカイズの父がサドラーズウェルズと欧州血統が上位に入り、レッドディザイアをのぞくほかの4頭は全頭アメリカ産馬であることを考えると、やはり渋った馬場が結果に大きく影響したと考えるのが妥当でしょう。


1,2着馬は8月以来の競馬、一方レッドディザイアは5月のヴィクトリアマイル以来でかつ日本からの遠征であることを考慮すると、前哨戦としては良い結果でした。レッドディザイアはこのあと11月5日のBCフィリーアンドメアターフに出走予定。ここには昨年の勝ち馬でほかに欧州G1競走4勝のミッデイ(G1計5勝)も出走予定で、フラワーボウル招待の結果を見ると、とりあえず良馬場で行なわれることを期待したい。

2010年10月2日土曜日

レッドディザイア出走、フラワーボウル招待S.の予想

レッドディザイアが出走するフラワーボール招待ステークスの出馬表が発表されたので、予想と展望を書いておこうと思います。レースはグリーンチャンネルで生中継(10月3日日曜、午前4:30-5:30、再放送は午前8:00-9:00)されるので、視聴時の参考にでもしてもらえればと思います。ネット中継は公式ではされないはずです。ただしHRTVという英語の有料サイトはあります。


フラワーボウル招待ステークス Flower Bowl Invitational S.(G1)
ベルモントパーク競馬場・芝10ハロン(約2000m)、3歳以上牝馬限定
総賞金50万ドル、1着賞金30万ドル
現地時間10月2日15時59分(日本時間10月3日午前4時59分)頃発走

馬番馬名英語性・齢斤量(kg)騎手
1ゴジップガールGozzip Girl牝454.8J.ルパルー
2レッドディザイアRed Desire牝454.8K.デザーモ
3チェンジングスカイズChanging Skies牝553.9J.ヴェラスケス
4タリップTarrip牝453.9R.マラージ
5アーヴェイAve牝453.9J.カステリャーノ
6フォーエバートゥギャザーForever Together牝654.8G.ゴメス
7シェアードアカウントShared Account牝453.9E.プラード
8キアターナKeertana牝453.9J.レスカーノ

◎レッドディザイア
○シェアードアカウント
▲フォーエバートゥギャザー
△キアターナ

まず馬場状態について、フラワーボウル招待が行なわれるベルモントパーク競馬場は、金曜の競馬開催が中止になるほどの風雨だったとの事。土曜は快晴のようですが、この季節それほど気温が上がるわけでもなく、おそらくかなり水分を含んだ馬場で行なわれるでしょう。


出走8頭のうちタリップ以外の7頭がグレード競走の勝ち鞍がある。G1勝ちがあるのは、レッドディザイアのほかに、ゴジップガールとフォーエバートゥギャザーのみ。ただしこの3頭とも今年は G1未勝利である。

ゴジップガールは09年の G1アメリカンオークス(2005年にシーザリオが制覇)勝ち馬。しかしそれ以降は調子を落としているのか、6戦して連対が無い。今年は3戦して、落馬、G3戦4着、G2戦6着の成績で、今はちょっと買えない。

フォーエバートゥギャザーは、レッドディザイアが出走予定のブリーダーズカップ・フィリードメアターフ(G1)を08年に優勝。09年の同レースは2・1/2馬身差3着。成績的にはG1を3勝した08年が明らかにピークで、6歳になった今年は重賞未勝利。前走G3グレンフォールズH.ではキアターナから4・1/2馬身差3着に敗れている。ただし今年もG1競走では2着1回3着1回で、それほど強くない相手にもころっと負けているが、強い相手に底力を試されるとまだまだ好走する感じがある。無視は出来ない。

シェアードアカウントは、前走のG1ダイアナS.で、米G1競走6戦4勝2着1回の強豪プロヴィソに頭差2着し、3着だったフォーエバートゥギャザーにハナ差先着。まだG1未勝利だが強くなっているのは明らかで、2番手評価。10ハロンが初めてであることと7月以来の出走がどうか、という懸念はある。

キアターナは8.5ハロンや9ハロンの重賞で2,3着が多かったが、前述どおり前走11ハロンのグレンフォールズH.でフォーエバートゥギャザーに4・1/2馬身差つけて優勝。2着には3・1/4馬身差つけた。重馬場が予想されるフラワーボウル招待では持ち前の先行力が生かせそう。指し馬のレッドディザイアと、ずぶくなっているっぽいフォーエバートゥギャザーにとってはスイスイ行かれると怖い。


レッドディザイアは。アメリカの芝路線はそれほどレベルが高いとは思われないし、実力はこのメンバーでは明らかに最上位で、重馬場と小回りに対応できれば、勝てると思うのですが。レッドディザイアは京都競馬場内回りの秋華賞を勝っているから小回りは大して問題ではないはず。あとは馬場状態を考えても位置取りだけですが、ここはあくまでBCのための前哨戦であり、さらに5月のヴィクトリアマイル以来の出走であることを考えると、力任せに勝ちきるような競馬をするかは疑問で、本命視は出来ても取りこぼす可能性も相当高いと思います。


タリップはステークス勝ちも無いので、気にするようなことは無いでしょう。ほかにヨーロッパで産駒が活躍する父デイヒルンダンサーのアーヴェイ、父サドラーズウェルズのチェンジングスカイは重馬場なら、血統的に注目です。