2010年10月10日日曜日

ナカヤマフェスタ惜敗、凱旋門賞の感想(結果とレース映像も)

日本からナカヤマフェスタヴィクトワールピサとの2頭が出走した第89回凱旋門賞は、ナカヤマフェスタが頭差の2着で本当に惜しい結果でした。11年前に2着したエルコンドルパサーは半馬身差だったから、もっとも凱旋門賞に近づいた日本馬といえるでしょう。着差がさらに詰まった分、あのときよりも悔しい気持ちが強いです。

凱旋門賞を優勝したのは、今年の英ダービーを7馬身差レコードで勝ったワークフォース Workforce

凱旋門賞のレース映像。これが一番高画質です。日本語実況はこちら。1着ワークフォースは中段後ろ最内を進むピンクの帽子。2着ナカヤマフェスタは赤い帽子、赤い胴に青の袖の勝負服。7着ヴィクトワールピサは白と青の縦じまの勝負服。



第89回凱旋門賞 Qatar Prix de l'Arc de Triomphe
2010年10月3日、ロンシャン競馬場・芝2400m、3歳以上牡牝G1
不良馬場、勝ちタイム2分35秒50、公式サイト

着順馬名性・齢斤量(kg)騎手着差今年の主な勝ち鞍
1.ワークフォース牡356R.ムーア2.35.50G1英ダービー
2.ナカヤマフェスタ牡459.5蛯名正義アタマG1宝塚記念
3.サラフィナ牝354.5G.モッセ2・1/2G1仏オークス
4.ベカバッド牡356C.ルメール1・1/2G1パリ大賞
5.フェイムアンドグローリー牡459.5J.ムルタ1G1コロネーションカップ
7.ヴィクトワールピサ牡356武豊-G1皐月賞

勝ったワークフォースは、09年9月に7ハロンのデビュー戦を優勝。2戦目は2010年5月のG2ダンテS.で、のちに愛ダービーを勝つケープブランコ(凱旋門賞16着)から約3・1/4馬身差2着でした。その次走G1英ダービー(過去記事)では、ラムタラのコースレコードを1秒近く上回るコースレコードで優勝。しかし4戦目キングジョージでは1番人気に押されたものの、11馬身差で圧勝したハービンジャーから17馬身はなされる5着(6頭立て)に終わっていました(過去記事)。凱旋門賞を勝って、通算5戦3勝2着1回。G1競走2勝。

ワークフォースは、父キングスベスト×母父サドラーズウェルズの血統です。キングスベストの父がキングマンボだから、キングマンボ×サドラーズウェルズのエルコンドルパサーとかなり似た配合であり、そんな血統のワークフォースが、当時エルコンドルパサーでコンビを組んで凱旋門賞に挑んだ二ノ宮調教師と蛯名騎手との前に立ちはだかったというのも歴史の妙というか・・。

また、ワークフォースはキングジョージで予想外の惨敗して以来、調教はこなしていましたが「状態を観察するため」として出走しておらず、そもそも8月ごろに「今年はもう出走しない可能性も」というような話を聞いた覚えもあるのですが、直前の9月30日(木曜日)になって凱旋門賞に向かうことが正式に表明され、そして凱旋門賞に出走すると見事に勝ちきるという驚くような結果になりました。

今年の凱旋門賞に出走した日本馬2頭は、宝塚記念以来ぶっつけで挑んだディープインパクトなどの結果を経て、現地で1戦使ってから挑むという万全の準備をしていたにもかかわらず、こんなローテーション(失礼)で出走したワークフォースにわずかに先着されるという結末に。ワークフォースは月曜時点で調教は良かったようですが、イマイチ納得がいかない。しかし差し返そうとしたフェスタを振り切ったレース振りは本当に強く脱帽するしかないです。


日本馬2頭について
フォア賞に続き2着を確保したナカヤマフェスタは父ステイゴールド譲りの海外遠征上手なのかも。あとステイゴールドはサンデーサイレンス系の中ではスタミナ系に分類できるし、ナカヤマフェスタの母母父が欧州を席巻するデインヒルというのも血統的に向いた印象があります。

また成績的に、京成杯、セントライト記念、宝塚記念という、東京や京都のG1競走に関連性があまり無いレースで活躍した馬が凱旋門賞で2着だったというのも今後の日本馬が遠征するときのポイントかと。凱旋門賞は直線でバテた馬をさばきながらじわじわとポジションを上げていき、最後の1ハロンぐらいで末脚を爆発させるのが勝利のセオリーのように見えますが、中山や阪神内回りで強い馬の、坂を上がって最後の100mで鋭く末脚を伸ばせる特徴が凱旋門に向くのかなと。ナカヤマフェスタの宝塚記念はそんな感じのレースでしたしね。

G1レース1勝馬を連れて行くことにしたオーナーの英断が導いた2着は、日本の「普通の」強豪馬にとって、適性さえあれば凱旋門賞のタイトルが十分に手の届くところにあることを確認させるもので、日本競馬界にとって大きな財産になりそう。ナカヤマフェスタは来年も現役続行して春はドバイにも行く模様。また、凱旋門賞出走を検討されており、来年にも日本馬による凱旋門賞制覇を目撃することが出来るかもしれません。


一方、皐月賞馬ヴィクトワールピサは7着に終わりました。そもそも 2400mの距離や不良馬場は1-4着馬と比べれば適性を欠いたのは明らかだと思えるのですが、それでも、前哨戦ニエル賞でベカバッドにつけられた8馬身差を約4馬身差にまで詰め、さらに今年の愛ダービー馬や仏ダービー馬に先着しており、よく頑張ったと思います。この後はジャパンカップ直行ということで、2400mは不向きだと思いますが、健闘を期待したい。


最後に録画中継をしてくれた関西テレビに感謝。実は私、夕飯を済ませた後、ついつい寝てしまいまして、目覚めたのは凱旋門賞の生中継が終わったころ。愕然としましたが、1時間遅れぐらいの録画中継を関西テレビが 12時25分から地上波で行う予定なのを思い出したので、レースの結果・映像を見ないようネットやらを完全に遮断したうえで、関テレで凱旋門賞のレース映像を見ることが出来ました。当たり前だけど、関テレがレース放送前のスタジオで結果を述べたりしなかったおかげで、寝過ごしたにもかかわらず、生と変わらない興奮を味わうことが出来てホント良かったです。競馬で今年一番興奮した瞬間で楽しかった。

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