2010年9月29日水曜日

レイチェルアレクサンドラ引退

昨年の米年度代表馬レイチェルアレクサンドラ Rachel Alexandra の引退が発表されました。前走の G1 パーソナルエンスンステークス2着をもって競走馬としての生活を終え、繁殖に入るとの事。オーナーのジェス・ジャクスン氏が明らかにしました。引退理由は「3歳時の動きを取り戻せないから」ということです。

3歳だった09年には、牝馬としては1924年ぶりにプリークネスS.を制するなど、G1競走5勝(うち牡馬混合G1・3勝)、8戦8勝して圧倒的な力を示していたレイチェルアレクサンドラですが、オーナーの合成馬場嫌いのため、無敗の連勝を続けるもう1頭の名牝ゼニヤッタとの対戦も期待されたブリーダーズカップは回避(開催馬場のサンタアニタパーク競馬場では合成素材プロライドを使用)。ゼニヤッタは牝馬としては始めてBCクラシックに優勝しました。その後2010年4月にアップルブロッサムでゼニヤッタと対戦することが一時決まったものの、レイチェルは2010年初戦を2着に負けて、これも回避しました。結局レイチェルが引退したことでゼニヤッタとの対決はなりませんでした。

End of Rachel Alexandra's racing career - Racing Post

プリークネスS.優勝時のレイチェルアレクサンドラ(Getty Image)

ジャクスンオーナーは声明の中で、
「ご存知のように、レイチェルアレクサンドラは最高の調教をつんで我慢強く使われてきましたが、昨年のような動きを取り戻すことはありませんでした。」

「私は、私たちのチャンピオンホースを引退させ、今よりストレスの少ない生活を与えるべき時が来たと信じています。私たちは彼女を健康なまま引退させられることをとても嬉しく思っていますし、ケンタッキーに所有するわれわれの美しい牧場にとっても幸せなことです。」
とコメントしています。繁殖入り後は、ジャクスン氏が所有し 07年08年と米年度代表馬に輝いたカーリン Curlin(その父スマートストライク、ミスタープロスペクター系)が種付けされる予定だそうです。両馬とも米年度代表馬(エクリプス賞)に輝き、またプリークネスS.の勝ち馬であるというカップルです。


記事によると、今週はじめの調教を終えた直後は、G1ベルデイムS.(10月2日)に向かう予定で、そのあとはブリーダーズカップ・レディースクラシックが検討されていた模様ですが、使われないまま引退することになりました。


私の感想としては、昨年のブリーダーズカップ・クラシックでゼニヤッタとの対戦を逃げた形になった事で、けちが付いてしまったなと。オーナーは昨年BCが行なわれたサンタアニタが使用する合成馬場(ポリトラック、オールウェザー)が馬の健康のために良くないと考えていたようですが、多くの馬がダートに比べても問題なく走っている以上、そんなのは理由になってないので。さらに今年春に一時予定されていたアップルブロッサムでのゼニヤッタとの対戦も、レイチェルがニューオーリンズレディースS.を2着になった後、レイチェル側が回避したことで運の尽きたような気がします。根拠は無いですが勝負する機会があったのにそれを避けた結果として、牡馬相手に果敢に挑戦しG1競走3勝した3歳の頃より縮こまってしまった印象です。

ゼニヤッタはBCクラシックに優勝したあとも連勝を続け、現在18連勝中であり、次走予定のG1レディースクラシック(10月2日)および引退レースになるかもしれないBCクラシックも勝てばアメリカ競馬史上初の20連勝がかかるところまで来ていることが両牝馬の明暗をくっきり分けています。

ちなみに、ジェクスン氏の合成馬場嫌いは、競走馬の健康に悪影響を与えるという彼の持論のほかに、自身の所有する名馬カーリン(07年ジョッキークラブ金杯、BCクラシック、08年ドバイワールドカップなど優勝)が、引退レースだった08年のBCクラシック(この年もサンタアニタパークで開催)でヨーロッパ芝路線から遠征して来た2頭にワンツーを決められるなどして4着に敗れたことをきっかけに拍車がかかったような気がします。ジェクスン氏にこの経緯があることも、レイチェルvs.ゼニヤッタから逃げたような印象を強めています。同時にサンタアニタ競馬場の合成馬場が従来のダートに戻るかもしれない(決定したかも?)というアナウンスが最近あったばかりなのがなんとも皮肉です。


20馬身差で圧勝したケンタッキーオークスのレース動画



レイチェルアレクサンドラとは
(戦跡。19戦13勝2着5回。レース名リンク先は、過去記事かYouTubeです)
レイチェルアレクサンドラは09年、3歳牝馬G1ケンタッキーオークスを20馬身差で優勝したあと、現在のオーナーグループが買収。次走に米牡馬クラシック第2弾プリークネスS.を選び、ケンタッキーダービー馬マインザットバードを1馬身差2着に負かして、牝馬としては1924年以来となるプリークネスS.優勝を成し遂げました。このときはレイチェルの主戦騎手であるカルヴィン・ボレル騎手が、ケンタッキーダービーでコンビを組んでいたマインザットバードではなく、レイチェルアレクサンドラのほうを選んだことも話題になりました。


その後は牝馬限定G1マザーグースS.を19馬身差で再び圧勝して、牡馬相手のG1ハスケル招待H.に出走すると、同年のベルモントS.馬サマーバードに6馬身差をつける楽勝。サマーバードは後にBCクラシックで米ダート路線を使われてきた馬としては最先着となる4着に入っていました。

次走は古馬牡馬相手となる9月のウッドワードS.へ向かい、マッチョアゲインやブルズベイら古馬G1馬を相手にクビ差で優勝しました。「冬から使い続けだったから」との理由で09年はこれを最後に休養に入りました。ブリーダーズカップ出走は先述どおり、サンタアニタ競馬場が合成馬場を使用しているから、という理由で最初から考慮にされず。


2010年になると、09年のBCクラシックで牝馬としては初めて同競走を優勝し14連勝を記録していたゼニヤッタ Zenyattaとの初対戦が、アップルブロッサム招待S.で行なわれることが決定しました。しかし、あくまでそのためのステップレースとして選んだはずのニューオーリンズレディースS.で米ダート競走初出走のザルダナに敗れ、翌日ゼニヤッタとの対戦を回避することが発表されました。

その後は、牝馬限定G2ラトロワンヌS.でアンライヴァルドベル(後に2走連続牝馬G1競走2着)の2着した後、牝馬G2フルールドリスH.を10馬身差で優勝してウッドワードS.以来の勝利をあげ、(非グレードレース)レディーズシークレットS.も勝って連勝しました。しかし最後のレースとなった8月29日の牝馬G1パーソナルエンスンS.では、08年に2歳牝馬G1・2着2回があるパーシステントリーに敗れていました。


レイチェルアレクサンドラの競走成績を列挙するとき、これで終わらなければならないのが残念でならない。たった1戦だけオールウェザーを我慢してBCを使い、ゼニヤッタと対戦していれば、仮にゼニヤッタに負けても、さらにその後のキャリアが現実と同じものだったとしても、もっと素直に受け入れられたような気がします。もちろん馬に罪は無いので、レイチェルにはお疲れ様でしたと言いたいです。

2010年9月27日月曜日

Bambera、Nellie Bly S.は取り消して火曜日のアローワンスに

9月26日にベルモントパーク競馬場で行われた Nellie Bly S.に出走予定だった Bambera は出走を取り消しました。現地時間28日火曜日にデラウェアパーク競馬場・ダート1700mで行なわれるアローワンス戦に出走予定です。

2010年9月26日日曜日

G1クイーンエリザベス2世ステークスはゴールドティアラの半弟 Poet's Voice がハナ差勝利

現地時間9月25日に行われた英G1クイーンエリザベス2世ステークスは、日本で活躍したゴールドティアラの半弟で3番人気の ポエツヴォイス が、前年の覇者で2番人気リップヴァンウィンクルをハナ差抑えて勝利。これが G1 初優勝です。

今年のクイーンエリザベス2世ステークスのレース映像は YouTube に見つからないので、このリンクから見てください。アスコット競馬場の公式サイトの動画ページに移動し、再生が始まります。


クイーンエリザベス2世ステーク
Queen Elizabeth II Stakes (Sponsored By Sony)

アスコット競馬場・芝1マイル(約1600m)、3歳以上
馬場状態(ちょっと柔らかめ、Good To Soft )、8頭立て

1. ポエツヴォイス Poet's Voice
2. リップヴァンウィンクル Rip Van Winkle
・・・
5. マクフィ Makfi
Frankie Dettori and Poet's Voice after winning Queen Elizabeth II Stakes
クイーンエリザベス2世ステークスを優勝したポエツヴォイスとフランキー・デットーリ
今年の英2000ギニーとジャック・ル・マロワ賞とのふたつのG1を勝っている 1番人気マクフィはまったく伸びを欠き5着に敗れました。

2着リップヴァンウィンクルは昨年のこのレースの覇者。去年はマイルG1競走2勝を上げましたが、今年はマイルG1で2着2回と惜しい結果が続いています。次走はマクフィと同じくBCマイルに向かう可能性が高い。リップヴァンウィンクルが昨年このレースを制したときの映像はこちら(YouTube)。リップヴァンウィンクルの成績や前走G1英インターナショナルS.優勝についての記事はこちら

勝ったポエツヴォイスはマクフィと同じドバウィの初年度産駒。ドバウィはクイーンエリザベス2世S.2着を最後に引退していましたが、見事に父の借りを返したことになります。昨年は2歳G2を制していましたが、仏2000ギニー8着など今年の春はイマイチに終わりました。前走は1マイルのG2セレブレーションマイルを4・1/2馬身差で快勝し復調した様子を見せていました。


ポエツヴォイスの母は、日本のダート重賞で活躍したゴールドティアラの母でもあるブライトティアラ Bright Tiara(その父チーフズクラウン)。ゴールドティアラは父シーキングザゴールドでしたが、ポエツヴォイスの父ドバウィはシーキングザゴールドの孫であり、かなり近い血統ですね。


マクフィが女傑ゴルディコヴァを退けG1競走2勝目を挙げたジャック・ル・マロワ賞のレース映像などはこの記事をどうぞ。

2010年9月24日金曜日

Bambera バンベラ、アメリカ4走目は Nellie Bly S.

ベネズエラからアメリカに移籍した牝馬バンベラ Bambera のアメリカでの4走目が、9月26日(日)に行われる Nellie Bly S. ネリーブライステークス に決まりました。米デビュー戦以来、3走ぶりのダート戦です。


ネリーブライS.は、ベルモントパーク競馬場・ダート8.5ハロン(約1700m)、3歳以上牝馬限定の条件で行われます。

バンベラを含む8頭立ての予定で、過去の実績は Don't Forget Gil ドントフォゲットギル が優れている。09年春に、
G3 フロリダオークス優勝
G2 カムリーステークス2着
G1 CCA オークス2着
などがあります。ただ、最近は調子を落としていて、今年2月にウェイワードラスS.を勝って以来、勝ち星は無し。むしろ Our Khrysty、Banker's Buy、Southern Accents あたりが、ステークス戦の好走歴が最近あって、ネリーブライS.の上位候補です。近2走は芝でのレースだったバンベラ、2走振りのダートで骨折明け3走目の今回はどんなレースが出来るでしょうか。


バンベラのベネズエラ時代の実績は、過去記事「ベネズエラ最強牝馬バンベラ、3月20日にアメリカで初出走」を、アメリカ初戦G3ランパートS.のレース映像は「バンベラ、北米デビュー戦敗れる、レース中に故障か」、2走目はこちら、3走目はこちら

2010年9月20日月曜日

レッドディザイアが出走するフラワーボウル招待S.の他の出走予定馬について

レッドディザイアが9月17日アメリカに到着しました。10月2日(日本時間10月3日早朝)のフラワーボウル招待S.を使った後、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ(BCF&M、芝G1、チャーチルダウンズ競馬場芝2200m)に向かう予定です。

フラワーボウル招待S.は、BCフィリーアンドメアターフの主要な前哨戦のひとつで、過去5年の勝ち馬のフィリーアンドメアターフにおける成績は次のとおり。

馬名フィリー&メア着順
2009ピュアクラン2着(8頭)
2008ダイナフォース7着(10頭)
2007ラフドゥード1着(11頭)
2006ハニーライダー3着(10頭)
2005リスカヴァース13着(14頭)

BCの芝レースは欧州馬が優勝することが多い中で、この成績は立派といえるでしょう。というわけで、注目のフラワーボウル招待S.に登録している、レッドディザイア以外の13頭を紹介します。

各馬のこれまでの成績は、Equibase.com からです。重賞は特に記載が無い場合、牝馬限定のレースです。(英語OKの人はこちらから見たほうが早いです。)


ちょっと長くなりすぎたので、注目馬6頭には星2つ付けておきました。

★★アンタラ Antara (GER)
12戦6勝2着1回3着3回、4歳、血統表
父プラティニ、母父ジェネラルアセンブリー
馬主: ゴドルフィン
調教師: S.ビン・スルール
生産: Thomas Gehrig

重賞5戦【2-1-3-0】
1着
2009年ドイツ統一賞(独G3、3歳上牡牝混合、ホッペガルテン・芝2000m)
2010年プリンセスエリザベスS.(英G3、3歳以上、エプソム・9ハロン)
2着
2010年ジャンロマネ賞(仏G1、4歳以上、ドーヴィル・芝2000m)
3着
2010年ウインザーフォレストS.(英G2、4歳上、アスコット8ハロン)
2010年ナッソーS.(英G1、3歳以上、グッドウッド・芝10ハロン)

ドイツでデビューし、8戦目のドイツ統一賞で重賞初優勝。このあとゴドルフィンにトレードされる。移籍後初戦のプリンセスエリザベスS.に優勝。2走前ナッソーS.では勝ったミッデイから2・1/4馬身差3着、前走ジャンロマネ賞はスタセリタから頭差の2着に入った。ミッデイは昨年のBCフィリーアンドメアターフ勝などG1競走5勝、スタセリタはG1競走4勝で、どちらも今年のBCフィリーアンドメアターフの有力候補。というわけで本番でどれだけやれるかを見る上で物差し馬としては最適。


★エイヴ Ave
13戦4勝2着2回3着3回、4歳、血統表
父デインヒルダンサー、母父インザウイングス
馬主:スリーチムニーズレーシング
調教師: ロジャー・アトフィールド
生産: プランテーションスタッド

重賞7戦【1-1-2-3】
1着
2009年デニーコーデルフィリーズS.(愛G3、3歳以上、ゴールウェー・芝9ハロン)
2着
2010年ダンススマートリーS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・9ハロン)
3着
2010年ギャロレットH.(米G3、3歳以上、ピムリコ・8.5ハロン)
2010年ニューヨークS.(米G2、3歳以上、ベルモント・10ハロン)

09年まではイギリスのマイケル・スタウト厩舎所属。スリーチムニーズに購買され、2010年からはカナダのロジャー・アトフィールド調教師が管理している。前走の米G1ビバリーD.S.は9頭立て8着。愛G3を優勝し、他にも好走歴はあるが、相手もそれほど強くなくレッドディザイアにとっては格下の相手。


★カサブランカスマイル Casablanca Smile
15戦5勝2着5回3着2回、4歳、血統表
父オーシャンテラス、母父サドラーズコングレス
馬主: グリーンヒルズファーム
調教師: クロード・マゴーヒー
生産: HARAS EL SHEIK

米重賞2戦【0-1-1-0】
2着
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)
3着
2010年オールアロングS.(米G3、3歳以上、コロニアルダウンズ・芝9ハロン)

09年にG1ラスオークス(チリのオークス、10ハロン)、2010年1月にG1エルダービー(チリダービー、12ハロン)を勝つなどして12戦5勝としたあと、アメリカに移籍。チリ時代には他に12ハロンのG1戦で牡馬相手に2着、またG1チリ1000ギニーで2着などがある。アメリカでは上に上げた重賞成績のほかに、牝馬限定のワヤステークスにも出走して2着。前走G3グレンフォールズH.では、08年のBCフィリーアンドメアターフ勝ち馬フォーエバートゥギャザーに先着しているが、米G1では微妙に足りないような気もする。


★チェンジングスカイ Changing Skies
15戦4勝2着5回3着3回、5歳、血統表
父サドラーズウェルズ、母父シルバーホーク
馬主: スウェッテンハムスタッド
調教師: ビル・モット
生産: スウェッテンハムスタッド

重賞7戦【1-3-0-3】
1着
2010年ベリーワンS.(米G3、4歳以上、ガルフストリームパーク・芝11ハロン)
2着
2008年プシシェ賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝2000m)
2010年ビウィッチS.(米G3、4歳上、キーンランド・芝12ハロン)
2010年ニューヨークS.(G2、3歳上、ベルモント・芝10ハロン)

イギリスのスペンサー調教師の下でデビューし、08年に仏G3プシシェ賞で2着するなどした後、09年中ごろにアメリカに移籍。前走ワヤS.でカサブランカスマイルを負かしている。フラワーボウル招待S.に出走すればヨーロッパ時代も含めてG1初出走となるが、G1 ではきびしいか。


★★エクレアデルーン Eclair De Lune
10戦3勝2着2回3着1回、4歳、血統表
父マルシャンドサブル、母父アカテナンゴ
馬主: リチャード・ダチョソワ
調教師: ロナルド・マカナリー
生産: Th Kohler

重賞5戦【1-1-1-2】
1着
2010年ビヴァリーD.S.(米G1、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
2着
2010年モデスティH.(米G3、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
3着
2009年ノネット賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝10ハロン)

フランスでデビューしG1仏オークス8着などした後、アーリントンパーク競馬場のオーナーであるリチャード・ダチョソワに買われアメリカに移籍。前走の初G1勝ちを収めたビヴァリーD.S.というレース名は、ダチョソワ氏の亡き妻から取られたもの。ダチョソワ氏は4度目の挑戦で悲願を達成した。エクレアデルーンは2走前のモデスティH.で、米芝牝馬路線の主役だったダスカンイヴニングに頭差まで迫る好走を見せていた。また近2走は米G1勝ち馬でフラワーボウル招待S.登録もあるホットチャチャに2度続けて1・1/2馬身先着している。


★★フォーエバートゥギャザー Forever Together
24戦9勝2着5回3着7回、6歳、血統表
父ビロングトゥミー、母父リローンチ
馬主: Augustin Stable
調教師: J.シェパード
生産: White Fox Farm

重賞17戦【6-5-6-1】
1着
2007年フォワードギャルS.(米G2、3歳、ガルフストリームパーク・ダート7ハロン)
2008年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2008年ファーストレディーS.(米G1、3歳以上、キーンランド・芝8ハロン)
2008年BCフィリーアンドメアターフ(米G1、3歳以上、サンタアニタ・芝10ハロン)
2009年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2009年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2着
2007年ボーモントS.(米G2、3歳、キーンランド・ポリトラック7ハロン)
2007年ジャストアゲームS.(米G1、3歳以上、ベルモントパーク・芝8ハロン)
2009年カナディアンS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・芝9ハロン)
2010年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年ゲームリーS.(米G1、3歳以上、ハリウッドパーク・芝9ハロン)
3着
2008年ジャストアゲームS.(米G1、3歳以上、ベルモントパーク・芝8ハロン)
2008年カナディアンS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・芝9ハロン)
2009年ファーストレディーS.(米G1、3歳以上、キーンランド・芝8ハロン)
2009年BCフィリーアンドメアターフ(米G1、3歳以上、サンタアニタ・芝10ハロン)
2010年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)

デビューして3連勝でG2フォワードギャルS.に勝ち、初重賞制覇。8戦目まではダート(うち1戦はポリトラック)を、以降は芝のレースを走っている。08年BCフィリーアンドメアはアタマ差での勝利。09年はミッデイから2・1/2馬身差3着。芝では16戦して【6-4-6-0】と3着以内率100%。今年は1勝もしておらず、以前よりは力が衰えているようだが、実力馬の1頭であり、常に上位に来る安定感は、アンタラと並んで物差し馬としては最適。


★ゴシップガール Gozzip Girl
13戦5勝2着1回、4歳、血統表
父ダイナフォーマー、母父キングマンボ
馬主: マイロン・ミラー
調教師: M.ウォルフソン
生産: ストーンストリートサラブレッド

重賞9戦【3-1-1-4】
1着
2009年ヒアカムズザブライドS.(米G3、3歳、ガルフストリームパーク・芝9ハロン)
2009年サンズポイントS.(米G2、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年アメリカンオークス(米G1、3歳以上、ハリウッドパーク・芝10ハロン)
2着
2009年アッシュランドS.(米G1、3歳、キーンランド・ポリトラック8.5ハロン)
3着
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、キーンランド・芝9ハロン)

シーザリオが2005年に勝ったアメリカンオークスに優勝している。しかしそれ以降6戦して連対していない。今年は3戦して、落馬、G3戦4着、G2戦6着。アメリカンオークス時の調子を取り戻せるなら怖いがどうか。


★ホットチャチャ Hot Cha Cha
17戦6勝2着3回3着4回、4歳、血統表
父カクタスリッジ、母父ブロードブラッシュ
馬主: ネルソン・マクマキン
調教師: P.シムズ調教師
生産: ネルソン・マクマキン

重賞12戦【4-3-4-1】
1着
2009年ブルボネットオークス(米G3、3歳、ターフウェイ・ポリトラック8ハロン)
2009年パッカーアップ(米G3、3歳、アーリントン・芝9ハロン)
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、3歳、キーンランド・芝9ハロン)
2010年ミントジュレップH.(米G3、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)
2着
2009年アパラチアンS.(米G3、3歳、キーンランド・芝8ハロン)
2010年ディスタフターフマイルS.(米G2、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8ハロン)
2010年ビバリーD.S.(米G1、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
3着
2009年リグレットS.(米G3、3歳、チャーチルダウンズ・芝9ハロン)
2009年アーリントンオークス(米G3、3歳、アーリントンパーク・ポリトラック9ハロン)
2010年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年モデスティH.(米G3、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)

重賞で3着以内を外したのは1度だけ。とても安定して走っている。G1勝ちもあるが、最近2走はエクレアデルーンに2度続けて負けており、すこし分が悪い。10ハロンを経験したことが無く、血統的に距離延長は歓迎できるタイプでもないか。


★キーアタナ Keertana
19戦7勝2着5回3着4回、4歳、血統表
父ジョハー、母父ストームキャット
馬主: B.ハンター
調教師: P.プロクター
生産: B.ハンター

重賞8戦【2-2-3-1】
1着
2009年リグレットS.(米G3、3歳、チャーチルダウンズ・芝9ハロン)
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)
2着
2009年レイクプラシッドS.(米G2、3歳、サラトガ・芝9ハロン)
2009年ミセスリヴィアS.(米G2、3歳、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)
3着
2009年ガーデンシティーH.(米G1、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年ヴァレーヴューS.(米G3、3歳、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年ミントジュレップH.(米G3、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)

それほど強い感じでもなかったが、前走11ハロンのグレンフォールズH.では、2着カサブランカスマイルに3・1/4馬身差を、3着フォーエバートゥゲザーに4・1/2馬身差をつけている。父ジョハーが12ハロンのBCターフ勝ち馬であることが、距離延長に向いていたのかもしれない。10ハロンのここでも警戒は必要。


★★サンドバー Sandbar
7戦4勝3着2回、3歳、血統表
父オアシスドリーム、母父ヘルナンド
馬主: Lady O'Reilly
調教師: Francois Rohaut
生産: Petra Bloodstock Agency

重賞2戦【1-0-1-0】
1着
2010年クレオパトル賞(仏G3、3歳、サンクルー・芝2100m)
3着
2010年仏オークス(仏G1、3歳、シャンティ・芝2100m)

仏オークスでは1着サラフィナから3馬身差の3着。サラフィナはG1ヴェルメイユ賞で1着から1・1/2馬身差の3着だった。サンドバーの父オアシスドリームは、産駒が2007年にデビューすると、2009年にはアラクームがG1ムーラン・ド・ロンシャンを、ミッデイがG1ナッソーS.や BCフィリーアンドメアターフ、G1ヨークシャーオークスを、アルカノが仏G1モルニ賞を制しG1競走5勝を挙げるなど、絶好調の種牡馬。サンドバーも実力は確かなので、仏オークス以降出走はないが、出てくれば怖い。


★シェアードアカウント Shared Account
13戦5勝4着1回3着1回、4歳、血統表
父プレザントリーパーフェクト、母父スマートストライク
馬主: Sagamore Farm
調教師: G.モーション
生産: William A. Carl

重賞7戦【2-4-0-3】
1着
2009年レイクプラシッドS.(米G2、3歳、サラトガ・芝9ハロン)
2010年オールアロングS.(米G3、3歳以上、コロニアルダウンズ・芝9ハロン)
2着
2009年ヴァージニアオークス(米G3コロニアルダウンズ・芝9ハロン)
2009年ガーデンシティーH.(米G1、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、3歳、キーンランド・芝9ハロン)
2010年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)

G2戦で2度大敗しているが、どちらも3歳3月のことで、3歳7月に再び重賞戦線に戻ってきてからは、上のような良績をあげている。前走2着になったG1ダイアナステークスでは、欧州から移籍してからアメリカでG1競走を6戦し4勝2着1回のプロヴィソ Provisoに頭差で敗れたものの、G1初勝利が4歳のBCクラシックだった父のように、シェアードアカウントも着実に強くなっている様子がうかがえます。フラワーボウル招待S.は7月以来の出走になることと、これまで1800mまでしか走っていないことがクリアできるかが課題になりそう。BCフィリーメアアンドターフにも出走予定。


★★ストロベリーダイキリ Strawberrydaiquiri
10戦6勝2着1回、4歳、血統表
父ダンジリ、母父トラヴェリングヴィクター
馬主: Renata J. Jacobs
調教師: Sir. Michael R. Stoute
生産: Newsells Park Stud

重賞5戦【2-0-0-3】
1着
2010年ダリアS.(英G3、4歳上、ニューマーケット・芝9ハロン)
2010年ウインザーフォレストS.(英G2、4歳上、アスコット8ハロン)

上の2勝したときには、後にG1ファルマスS.2着するスペイシャスに2度、またG1ジャンロマネ賞2着、G1ナッソーS.3着することになるアンタラに1度先着しているのだが、ストロベリーダイキリはファルマスS.、ナッソーS.ともに4着だった。他に牝馬マイルG1サンチャリオットS.も4着で、G1はなぜか連対も出来ずにいる。

父ダンジリは、英G1キングジョージ優勝のハービンジャーを輩出しているが、どちらかというとフランスのほうが活躍馬が多く(凱旋門賞のレイルリンクなど)、また、上でも紹介した「欧州から移籍してからアメリカでG1競走を6戦し4勝2着1回のプロヴィソ Proviso」もダンジリ産駒であり、イギリスからアメリカの平坦なコースに替わる事はプラス材料ではある。


★★トリートジェントリー Treat Gently
15戦5勝3着4回、5歳、血統表
父ケープクロス、母父インザウイングス
馬主: ジャドモントファーム
調教師: ビル・モット
生産: ジャドモントファーム

重賞12戦【3-3-1-5】
1着
2008年マルレ賞(仏G2、3歳、サンクルー・芝12ハロン)
2010年シープシェッドベイH.(米G2、3歳以上、ベルモントパーク・芝11ハロン)
2010年ロバートG.ディックメモリアルH.(米G3、3歳以上、デルマー・芝11ハロン)
2着
2008年ロワイヨモン賞(仏G3、3歳、シャンティ・芝12ハロン)
2008年ノネット賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝10ハロン)
2010年サンゴルゴニオ(米G2、4歳以上、サンタアニタ・芝9ハロン)
3着失格
2008年ヴェルメイユ賞(仏G1、3歳以上、ロンシャン・芝12ハロン)

08年ヴェルメイユ賞は3着入線も失格になった。しかし1着ザルカヴァ(2008年凱旋門賞)からは2・1/2馬身差、2着ダーレミ(2010年ドバイシーマクラシック1着)からは1/2馬身差に食い下がっていた。次走オペラ賞4着を最後にアメリカに移籍。移籍後は9ハロンを中心に使われたものの、フランスでの実績からはすこし期待はずれ。しかし、距離を伸ばして11ハロンを使うと3走前シープシェッドベイH.、2走前ロバートG.ディックメモリアルH.と重賞を連勝した。前走9ハロンに戻ったビバリーD.S.はエクレアデルーンの5着。距離は長いほうが良いと思われ、フラワーボウル招待はともかく、11ハロンのBCフィリーアンドメアのほうが向くかもしれない。

2010年9月13日月曜日

ナカヤマフェスタ、フォワ賞2着で本番に向け視界良好

凱旋門賞の主要な前哨戦のひとつ、G2フォワ賞に出走したナカヤマフェスタは2着、凱旋門賞でも活躍が期待できそうです。フォワ賞のレース結果とレース映像は以下から。

フォワ賞 Qatar Prix Foy
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時45分、日本時間午後11時45分発走

レース動画は YouTubeから。スタートからすこしして先頭に立つ白い勝負服が勝ったダンカン。2着ナカヤマフェスタは赤い帽子。


RPR はレーシングポスト誌算出のレーティングで、レース前時点でのもの。
着順馬番枠番馬名英語表記騎手着差RPR
153ダンカンDuncanW.ビュイック2分35秒90135
231ナカヤマフェスタNakayama Festa蛯名正義3/4133
342ティモスTimosC.スミヨン1125
415バイワードBywordM.ギュイヨンクビ差138
564ダリャカナDaryakanaC.ルメール2・1/2130
626シンションChinchonO.ペリエ1・1/2127

スローペースを逃げて、いったんはナカヤマフェスタに差されたものの、差し返して勝ったダンカンはこれが重賞初制覇。2走前の英G2ハードウィックS.では、のちにキングジョージを11馬身差で圧勝するハービンジャーが直線でグングン伸びるところをただ1頭付いていき、ハービーンジャーからは位置取りの差もあって3馬身差をつけられるが、3着には6馬身差をつけていた。(レース映像、2分45秒頃から)。前走8頭立てのG3グローリアスステークス(レース映像)は、後方から追走した3頭が上位を独占する厳しい競馬を、4番手で競馬して、直線では狭くなり後退する場面もありながら4着。5歳になった今年、ようやく一皮むけた感のある馬で、フォア賞のように展開に恵まれれば、重賞を勝ってもおかしくないかと。


一方レース前には気性の激しいところを見せ、スタート直後はかかるように先頭に立ったナカヤマフェスタも、道中では落ち着きを取り戻し、最後はしっかり伸びて、2着確保。最後は差し返されたが、楽な展開だった逃げ馬との差はしっかり詰めてゴールできたし、4着のG1馬バイワードに匹敵する末脚を見せた上々の結果で、本番でも期待できそう。また Soft 発表の重めの馬場にも苦しそうな様子は見せず、良馬場の方が良いだろうとは思うものの、凱旋門賞でも馬場状態に左右されずに結果を出せそうなのもよかったなと。


凱旋門賞でライバルになりそうなのは、有力そうな順に、
  • ニエル賞の1,2着馬ベカバッドとプラントゥール
  • 昨年の愛ダービー馬で、今年G1コロネーションカップ勝ちなど5戦4勝G1・2勝のフェイムアンドグローリー
  • 昨年まで3戦連続凱旋門賞2着で今年も好調なユームザイン
  • それぞれ今年の英ダービー馬ワークフォースと愛ダービー馬ケープブランコ
あたりでしょう。

ダンカンも侮れないかもしれない。ちなみに昨年のBCフィリー&メアターフ勝ち馬で、今年牝馬G1・3連勝中、ニエル賞の前に行われたG1ヴェルメイユ賞(ロンシャン・芝2400m)勝ち馬ミッデイは、凱旋門賞には向かわずBC直行の模様。ヴェルメイユ賞2着のプルマニアは古馬G1サンクルー大賞でユームザインを破って優勝しており、これも出てこれば注目したいですが、どうするか不明。


ナカヤマフェスタは重めの馬体だったとのことで、前哨戦を叩いて万全の状態に持っていき、何とか日本馬初の凱旋門賞制覇を達成してもらいたいです。

ヴィクトワールピサは4着、ニエル賞のレース結果

ヴィクトワールピサが出走したニエル賞のレース結果とレース映像です。

ニエル賞 Qatar Prix Niel
ロンシャン競馬場・芝2400m、3歳限定G2
現地時間9月12日午後3時15分、日本時間午後11時15分の発走

勝ったベカバッドは緑の(08年凱旋門賞馬ザルカヴァと同じ)勝負服。2着プラントゥールは道中2番手追走の白い帽子、青い勝負服。



着順馬番枠番馬名英語表記騎手着差
112ベカバッドBehkabadC.ルメール2分30秒80
236プランテュールPlanteurA.クラストゥス頭差
357キッドナッピングKidnappingC.スミヨン4馬身
473ヴィクトワールピサVictoire Pisa武豊4馬身
525シャマルガンShamalganI.メンディザバル3馬身
664アプレヴーAprès VousM.ギュイヨン大差
741ヴィヴレリーブレVivre LibreS.ファルジャ6馬身


勝ったベカバッドは仏ダービー(芝2100m)4着のあと、G1パリ大賞典(ロンシャン競馬場・芝2400m)でプランテュールに3/4馬身差をつけて快勝していた。今回のニエル賞ではプラントゥールに頭差と、実力は接近しているが、それでも2度続けて本番・凱旋門賞と同じ舞台のロンシャン・芝2400mで連勝したのは大きい。プランテュールも仏ダービー3馬身差2着、パリ大賞典2着、ニエル賞2着と惜敗続きだが、やはり本番でも警戒が必要でしょう。

仏ダービーが2100mに距離短縮された2005年、パリ大賞典は2000mから2400mに延長され、2006年の勝ち馬レイルリンクは、続くニエル賞、凱旋門賞を連勝している。


ヴィクトワールピサは直線に入ってから、先に抜け出したプランテュールとベカバッドに楽な手ごたえでほぼ並び、そのまま突き抜けるようにも見えたが、いざ追われてからあまり伸びず、さらにはキッドナッピングにも4馬身離されて4着でのゴール。武豊騎手は「走り自体はよかったと思うが、最後は息切れした。レース間隔が空いていたのと、環境の違いで馬がのんびりしていたかな」とレース後に語っています


凱旋門賞は過去10年で8頭の3歳牡馬が連対、うち6頭はニエル賞経由で、そのうちの5頭はニエル賞を勝って凱旋門賞に出走しています。残りの1頭であるバゴもニエル賞では1馬身差3着だったものの、その2走前に当時2000mだったパリ大賞典を優勝しており、ロンシャン中距離での実績は十分でした(ニエル賞の次走、凱旋門賞優勝)。ヴィクトワールピサにとってかなり不利な状況ですが、このデータを跳ね返して本番では優勝してくれるよう期待します。

2010年9月12日日曜日

Bambera、米移籍3戦目は3着

ベネズエラからアメリカに移籍したバンベラ Bamberaが、現地時間9月11日、米・デラウェアパーク競馬場で行われた George Rosenberger Memorial S.に出走しましたが、3着でした。

レース映像は以下から(予備1予備2、いずれもYouTube)。道中2番手追走がバンベラ。


George Rosenberger Memorial S.
デラウェアパーク競馬場・芝1700m、3歳以上牝馬限定、9月11日第11レース
2010年にデラウェアパークで出走経験がある(ステークス以上は除く)ことが条件

10頭立て8番人気ながら見事に逃げ切って勝ったドメスティックブリス Domestic Blissは、この勝利で通算14戦4勝2着3回3着4回。ステークスは初優勝。前走、ペンナショナル競馬場のロシアンリズムS.は先行馬に厳しい競馬だったが、逃げ粘って3着していた。

2着アクイテイン Aquitaineはステークス競走に初出走。ダート・オールウェザーでは結果が残せていなかったものの、芝替わりのメイデン⇒クレーミング⇒アローワンスと3連勝中で、ここは2番人気でした。今回の George Rosenberger S.は、1,3,4着が道中1,2,3番手と先行決着でしたが、アクイテインは後方から追い込んでの2着で、良く走りました。

で、注目のバンベラは1番人気での出走。先行力は前走同様見せてくれましたが、最後は逃げ馬に離され、後方からも差しきられて3着。骨折明け2戦目とはいえ、このメンバーで負けるのは、ベネズエラでの実績からすると関係者やファンにとっては期待はずれでしょう。ここ2走は芝を使っているので、まだ大事を取っているのでしょうが。次走はまだ不明です。


バンベラのアメリカでの2戦目については、過去記事「Bambera、アメリカ2走目は2着」でレース動画ともに紹介しています。

愛セントレジャー、ポップロックは最下位

現地時間9月11日にアイルランド・カラ競馬場で行われたG1アイリッシュセントレジャーに、日本からアイルランドに移籍したポップロックが出走しましたが、8頭立て最下位に終わりました。

愛セントレジャーのレース映像は At The Racesで見れます(英語サイト、無料ですが要登録)。
2010年愛セントレジャーのレース映像 - At The Races
ポップロックが勝ったアイルランド初戦のレース動画 - At The Races
YouTube だとこちら。(すぐ消されるかも)

アイリッシュセントレジャー Irish St. Leger
カラ競馬場・芝14ハロン(約2800m)、3歳以上G1

着差はひとつ前の馬との着差です。
着順馬名英語名(血統表)騎手斤量(kg)着差
1サンズフロンティアズSans Frontieresペリエ(62.1)3分10秒30
2プロファウンドビューティProfound Beautyスマレン(60.8)3/4
3フライングクロスFlying Crossムルタ(57.1)1・3/4
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8ポップロックPop Rockベリー(62.1)27

ポップロックは1着から約50馬身差離された最下位に終わりました。道中は先頭から6-10馬身ほど離れた最後方を追走、直線手前でベリー騎手が仕掛け始めてもポップロックは反応せず、直後にベリー騎手がポップロックの左後肢の状態をうかがう様子を見せて追うのを止めました。

追記
以上があったのは右前脚で、浅屈腱炎だそうです。(参考
追記ここまで


勝ったサンズフロンティアズは、7月に芝12ハロンのG2プリンセスオブウェールズS.を勝って重賞初優勝すると、前走8月のG3ジェフリーフリーアS.(芝・約2670m)も勝って、愛セントレジャー前までグループレース2連勝中でした。3走前のG2ハードウィックS.(芝12ハロン、4着)で初めて芝2000m以上のレースを使ってから快進撃で、とんとん拍子でG1のタイトルを手にしました。

さらに距離延長となったこの舞台で、父ガリレオ(その父サドラーズウェルズ)×母父シャーリーハイツの欧州クラシックディスタンスを中心におなじみの配合が花開いた感があります。2着のプロファウンドビューティも母母父にサドラーズウェルズ、3着フライングクロスも父サドラーズウェルズで、また馬場状態(Yielding To Soft)を考えると、ポップロックは故障がなくてもあまり向かなかっただろうなと思います。


サンズフロンティアズはこの後、オーストラリアに遠征して、G1メルボルンカップへ向かう模様。メルボルンカップは2006年にデルタブルースとポップロックの日本馬2頭が1,2着したレースです。

ポップロックの故障の状態は不明。ベリー騎手が追うのを止めたといっても、ゴール板までの数百メートルは普通に走っていますから、それほど重い怪我ではないと思うのですが。

2010年9月11日土曜日

ナカヤマフェスタが出走するフォワ賞(フォア賞)のほかの出走馬について

日本の4歳牡馬ナカヤマフェスタが現地時間9月12日、フランス・ロンシャン競馬場で行われる4歳以上G2フォワ賞に出走します。フォワ賞は、10月3 日に行われるG1凱旋門賞の前哨戦のひとつで、凱旋門賞と同コース・同距離で行われます。ナカヤマフェスタ以外の出走メンバーについて簡単に紹介します。

距離延長に対応できるならバイワードと、牝馬だけどダリャカナとの2頭がナカヤマフェスタにとって強敵です。ただしこのメンバーにあっさり負けるようだと、ナカヤマフェスタはトライアルより本番向きのタイプだとは思いますが、それでも凱旋門賞では厳しいかなと。

凱旋門賞公式サイト(フランス語。英語選択可)
フォワ賞の出馬表 - Paris Turf
フォワ賞の出馬表 | Racing Post(英語)

フォワ賞 Qatar Prix Foy
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時45分、日本時間午後11時45分の発走予定
ニエル賞・フォア賞はグリーンチャンネルで衛星生中継されます(JRAホームページ

ナカヤマフェスタ以外の成績はRacing Post などから。重賞(G1,G2,G3のグループレース)のみの成績です。馬名リンクは5代血統表へ移動します。RPR はレーシングポスト誌算出のレーティング。

馬番枠番馬名グループ競走成績RPR
31ナカヤマフェスタ Nakayama Festa133
42ティモス Timos4戦2着1回125
53ダンカン Duncan5戦2着1回3着1回135
64ダリャカナ Daryakana5戦2勝3着2回130
15バイワード Byword6戦2勝2着1回3着1回138
26シンション Chinchon13戦3勝2着1回3着3回127

1番ナカヤマフェスタは宝塚記念勝ち馬。ブエナビスタを負かしているから、ロンシャンの長い直線でも実力を発揮できるタイプなら、凱旋門賞でも勝負になると思うのだが。

2番枠ティモスは、5月のロンシャン・芝2400mのG3戦で、6頭立て5着。6月シャンティー・芝2200mのG2戦で2着。ただしG1メンバーがそろっているフォワ賞では厳しそう。

3番枠ダンカンは、主にイギリスで走っている。09年に英G1コロネーションカップで8頭立て4着があるが、メンバーが弱いG2、G3、リステッドでも勝ち鞍がない。ただし2走前、ハードウィックステークスでは、キングジョージ11馬身圧勝のハービンジャーの3馬身差2着に食い下がり、3着には6馬身差をつけているので、強いメンバー相手に好走するタイプかもしれない。

4番枠ダリャカナは、昨年末、ジャガーメイルが4着だった香港ヴァースを勝って5戦5勝とした。今年は3戦して牝馬G2コリーダ賞3着、G1サンクルー大賞3着(1着からクビ差)、G1キングジョージ6頭立て4着(1着から14馬身差)。サンクルー大賞とキングジョージではどちらもユームザイン(過去3年連続で凱旋門賞2着)からクビ差。というわけで結構強い。

5番枠バイワードは、今年になって本格化。5月にマイルG2でG競走初制覇。続くイスパーン賞(芝1850m)でゴルディコヴァに半馬身差2着。6月にG1プリンスオブウェールズS.(芝10ハロン)でG1初制覇。前走英G1インターナショナルS.(芝約2100m)は1着から1・3/4馬身差の3着。前走が自身最長距離で、2400mのレースはフォワ賞が初めてですが、距離さえ持つならダリャカナと並んでナカヤマフェスタの強敵になりそう。

6番枠シンションは、前走はアメリカに遠征して芝G1ユナイテッドネーションS.でG1初制覇。ただし英仏のレースではあまりたいしたこと無い相手のG3をやっと勝てる程度で、ここでは厳しいか。

2010年9月10日金曜日

ヴィクトワールピサが走るニエル賞(ニエユ賞)の出走メンバー概略

日本の3歳牡馬ヴィクトワールピサが現地時間9月12日、フランス・ロンシャン競馬場で行われる3歳限定G2ニエル賞に出走します。ニエル賞は、10月3日に行われるG1凱旋門賞の前哨戦のひとつで、凱旋門賞と同コース・同距離で行われます。ヴィクトワールピサ以外の出走メンバーについて簡単に紹介します。

ベガバッド、プランテュール、ヴィクトワールピサの三つ巴ですね(ヴィクトが向こうの環境・馬場に適応できているなら)

凱旋門賞公式サイト(フランス語。英語選択可)
ニエル賞の出走表 - Paris Turf(フランス語)
ニエル賞の出走表 | Racing Post(英語)

ニエル賞 Qatar Prix Niel
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時15分、日本時間午後11時15分の発走予定
ニエル賞・フォア賞はグリーンチャンネルで衛星生中継されます(JRAホームページ

ヴィクトワールピサ以外の成績はRacing Post などから。重賞(G1,G2,G3のグループレース)のみの成績です。馬名リンクは5代血統表へ移動します。
馬番枠番馬名G競走成績
41ヴィヴレリーブレ Vivre Libre2戦0勝
12ベカバッド Behkabad4戦3勝
73ヴィクトワールピサ Victoire Pisa
64アプレヴー Après Vous未出走
25シャマルガン Shamalgan6戦2着1回3着2回
36プランテュール Planteur3戦1勝2着2回
57キッドナッピング Kidnapping2戦3着1回


1番枠ヴィヴレリーブレはG1フランスダービー22頭立て最下位、G1パリ大賞9頭立て最下位とまったくふるわず。同馬主で6番枠プランテュールのペースメーカー。

2番枠ベカバッドは09年9月にマイルG3優勝、2010年5月に1800mのG3勝ち。フランスダービーこそ4着に敗れたが、G1パリ大賞(ロンシャン競馬場・芝2400m)に優勝しており、フランス3歳牡馬では凱旋門賞最有力。パリ大賞は重馬場での勝利だったから、良馬場でも好走できるか見極めたい。

3番ヴィクトワールピサはG1皐月賞優勝、G1日本ダービー3着。

4番枠アプレヴーは、7月29日仏・クレールフォンテーヌ競馬場の芝2400mを5馬身差で勝ったばかりの1戦1勝馬。馬主マイケル・テイバー、調教師アンドレ・ファーブル。

5番枠シャマルガンは、フランス2000ギニー3着、仏ダービー11着。前走7月の3歳G2ユージーンアダム賞(芝2000m)はクビ差2着。ただしこのメンバーではすこし厳しいか。

6番枠プランテュールは、4月にノアイユ賞勝ち。このとき2着のリワイルディングは3着に5馬身差をつけており、のちにG1英ダービー3着、G2グレートヴォルティジュールS.4馬身差快勝している。プランテュールはノアイユ賞後、フランスダービー3馬身差2着、パリ大賞ではベカバッドに3/4馬身差に迫る2着と好走している。

7番枠キッドナッピングは、過去6戦はイタリアのレースに出走。09年に2歳G3グイドベラルデリ賞(芝1800m)3着、2010年にG2イタリアダービー6着。かなり馬場の悪かった伊ダービーは除くと、過去3戦はいずれも準重賞(リステッド)に出走して、芝2000mを 2馬身差1着、芝2000mを 2・1/4馬身差1着、芝2400mを 3・1/2馬身差1着している。

2010年9月8日水曜日

クオリティロードがウッドワードS.優勝

現地時間9月4日に行われたG1ウッドワードステークスは、単勝1.3倍の圧倒的1番人気に押されたクオリティロードが優勝しました。


ウッドワードステークス Woodward Stakes
アメリカ・サラトガ競馬場、ダート10ハロン、3歳以上G1
1着クオリティロード Quality Road
2着ミスティカルパワー Mythical Power
3着トランクイルマナー Tranquil Manner

レース動画(予備1)。買ったクオリティロードは内から3番枠の発走、黒の帽子、黄色の勝負服で、道中は2番手を追走。


前走ホイットニーハンデキャップではブレイムにアタマ差で負けたものの、それ以外ではG1・3勝、G3・1勝と、今年準パーフェクトのクオリティロードが楽勝。ウッドワードS.では他にG1勝ち馬がマインザットバードしかおらず、そのマインザットバードも、昨年前半こそケンタッキーダービー1着、プリークネスS.2着、ベルモントS.3着などすばらしい成績でしたが、それ以降は5戦連続で連対していないと調子がイマイチで、クオリティロードには楽な相手でした。

クオリティロードはこのあとブリーダーズカップ・クラシックに向かう模様。昨年はG1フロリダーダービーなどを勝ってケンタッキーダービーの本命と目されていながら裂蹄の影響で回避した同馬にとって、今年のBCクラシックがケンタッキーダービーと同じチャーチルダウンズ競馬場ダート10ハロンで行われることは、最強の証明と昨年の雪辱とを兼ねることが出来る願ってもない機会でしょう。

2010年9月7日火曜日

バーデン大賞は牝馬ナイトマジックが優勝

2010年のバーデン大賞(独G1)は、昨年のドイツオークス馬ナイトマジック Night Magic が最後方から大外を一気に差して優勝、G1競走2勝目を挙げた。2着キジャーノ Quijano は、07年のこのレースの勝ち馬で、他に伊G1レース2勝している。09年パリ大賞(3歳G1)の勝ち馬で凱旋門賞3着のキャバルリーマン Cavalryman が3着。

バーデン大賞 Grosser Preis von Baden
独・バーデンバーデン競馬場・芝2400m、3歳以上G1、7頭立て

レース映像は以下から。大外枠発走の白い勝負服がナイトマジック。



ナイトマジックは前述どおり09年ドイツオークス優勝。前走はドイツの中距離最強決定戦バイエリシェスツフトレネン(2000m)で1馬身差2着。父はショロコフ(伊2歳G1グランクリテウム1着、愛ダービー2着、その父サドラーズウェルズ)で、産駒のG1馬はナイトマジックのみ。母父はドイツのサンデーサイレンスと称されるモンズン。ナイトマジックは、09年リディアテシオ賞(伊カパネッレ競馬場・芝2000m、牝馬G1)でアタマ差2着。このときの勝ち馬エヴァズリクエストは京都のマイルチャンピオンシップに出走し10着でした。

ナイトマジックは3週間後に独G1オイロパ賞(Preis Von Europa、ドイツのシーズン最後のG1戦)を走った後、日本のレースに出走するつもりらしいです。エリザベス女王杯かジャパンカップなのかは不明。力はあると思うのですが、血統やバーデン大賞のレース振りからは京都の瞬発力勝負では分が悪いような気もするので、思い切ってジャパンカップのほうに出走したほうが良い結果が得られそうな気がします。


ちなみに2着キジャーノの国際派ぶりがすごくて、ドイツの他にアメリカ、カナダ、ドバイ、フランス、イタリア、香港と7ヶ国で走っている。G2・G3勝ちとG1競走3着以内の成績は次のとおり。
国名競馬場レース名
07年ドバイナドアルシバG3ドバイシティーオブゴールド
07年ドイツバーデンバーデンG1バーデン大賞(1着)
07年カナダウッドバインG1カナディアン国際S.(3着)
07年香港シャティンG1香港ヴァース(2着)
08年イタリアサンシーロG1ミラノ大賞(1着)
08年ドイツデュッセルドルフG1ドイツ賞(2着)
08年カナダウッドバインG1ノーザンダンサーターフS.(2着)
09年イタリアサンシーロG1ミラノ大賞(1着)
09年アメリカベルモントパークG1マンノウォーS.(3着)
09年カナダウッドバインG1ノーザンダンサーターフS.(3着)
10年ドイツハンブルグG1ハンブルクロト大賞(3着)
10年ドイツバーデンバーデンG1バーデン大賞(2着)

フュイッセがムーランドロンシャン賞を勝ってG1初優勝

6頭立てで行われたムーラン・ド・ロンシャン賞は4番人気の フュイッセ Fuisse が優勝、2着には6番人気のリオデラプラタ Rio De La Plata が入った。マイルG1競走3勝の1番人気パコボーイ Paco Boy は進路を失ったこともあったのかイマイチ伸びず4着に敗れた。今年の仏3歳クラシック2冠馬ロペデベガは5着だった。

ムーラン・ド・ロンシャン賞 Prix du Moulin de Longchamp
仏・ロンシャン競馬場・芝8ハロン(約1600m)、3歳以上G1

レース映像は以下から。パコボーイは3頭いる赤い勝負服のうち、道中3番手につけている。勝ったフュイッセは道中最後方の赤い勝負服、黒い馬体。



動画には映っていませんが、フュイッセはスタート前に放馬。どうやら放馬してからスタート地点に戻ってくるまでに1マイル以上は歩いた・走ったようですが、回復のため、15分遅れでのスタートとなったことも助けになったか、見事な末脚で優勝しました。


フュイッセは09年仏ダービーで2着。仏ダービーを最後に09年シーズンを終え(理由は不明)、2010年4月に復帰すると、8月のG3シュマン・ド・フェール・デュ・ノール賞、7月のG3メシドール賞と芝マイル重賞を連勝していた。前走のG1ジャックルマロワ賞は1着から約9馬身差の4着だった。次走は10月16日の英チャンピオンS.が有力。パコボーイはBCマイルに向かう模様。

愛チャンピオンS.はケープブランコが優勝

アイリッシュチャンピオンステークス(愛G1)は、今年の愛ダービー馬で、キングジョージ2着のケープブランコ Cape Blanco が逃げ、最後は5馬身差をつける楽勝。G1英インターナショナルS.の覇者で1番人気のリップヴァンウィンクル Rip Van Winkle が後方から追い込んで2着に入った。3着は今年のG1エクリプスS.、09年の英チャンピオンS.で10ハロンのG1を2勝しているトワイスオーヴァー Twice Over。ガリレオ産駒のワンツーでした。



愛チャンピオンステークス Irish Champion Stakes
愛・レパーズタウン競馬場・芝10ハロン、3歳以上G1

(レース動画予備1予備2、以上YouTube、予備3(要登録)

1,2着馬を管理するオブライエン調教師は、ケープブランコについて「英チャンピオンS.(10月6日)、凱旋門賞(10月3日)、BCターフ(11月6日)あたりが今後の出走候補」「愛ダービーを勝ったが、10ハロンが最もあっていると思う」(RacingPost)としているので、ケープブランコが凱旋門賞に出走するかどうかは未定です。リップヴァンウィンクルについては「優れたマイラーで、速い馬場なら10ハロンもこなせる」としていて、今回は馬場がちょっと合わなかったと考えている模様。次走は9月25日の英G1クイーンエリザベス2世S.が有力。

過去記事
ケープブランコが愛ダービー制覇
"キングジョージ"はハービンジャーが11馬身差圧勝
英インターナショナルステークスはリップヴァンウィンクルが勝利

2010年9月5日日曜日

映画「セクレタリアト」のTVコマーシャル版予告編

名馬セクレタリアトのオーナーブリーダー、ヘレン・チェナリーの伝記映画「Secretariat」の新しい予告編が米ディズニーのサイトで公開されています。

Secretariat | Disney

上のリンク先⇒「VIDEOS」から見れます。「TRAILER」のほうは以前紹介した予告編で2分30秒あります。「TV SPOT」が新しく追加された予告編で、長さは1分。たぶんテレビコマーシャルに使われるものでしょう。


映画「Secretariat」はアメリカでは10月8日公開予定。日本での公開日は不明。公開するかどうかも分かりません。映画データベースサイト「IMDb」によると、アメリカ以外にスペイン(11月12日)、イギリス(12月10日)、アルゼンチン(2011年1月20日)に公開されるようです。


過去記事「映画「セクレタリアト」の予告編」から引用
メドウ・ステーブルのオーナー、クリストファー・チェナリーが重い病で長期間入院していたため、クリストファーの兄弟は赤字続きだったその牧場を他人に売却しようとするが、その意見に反対だったヘレンは父のメドウ・ステーブルを購入し自ら経営に乗り出すことにした。18年ものあいだ専業主婦だったヘレンだが....というストーリーで、ハイライトが映画のタイトルでもあるセクレタリアトを巡る物語。ちなみにメドウ・ステーブルがセクレタリアトのオーナーブリーダーです。

2010年9月4日土曜日

ハービンジャーの母系

今年の「キングジョージ」で11馬身差の圧勝を見せたイギリスの競走馬ハービンジャーが日本で種牡馬入りすることになりました。キングジョージの2週間後に骨折が判明、そのまま引退しましたが、社台グループが購入したとのこと。

HARBINGER SOLD TO JAPAN - Sporting Life
Harbinger heading to Japan - Sky Sports
King George Winner Harbinger to Japan - BloodHorse

ハービンジャー Harbinger は通算9戦6勝、G1競走1勝を含む、グループレース5勝を挙げている。1勝目は10ハロン戦だが、重賞勝ちはいずれも12ハロン以上のレースである。父は2006年の凱旋門賞馬レイルリンクを輩出したダンシリ。

ハービンジャーの全レース映像へのリンクは過去記事「"キングジョージ"はハービンジャーが11馬身差圧勝」で紹介しています。


ハービンジャーは、デインヒル系ということで日本では実績が無く(そもそもあまり産駒が無い)、ハービンジャー自身は長距離で成績を残した競走成績からも日本で種牡馬として成功できるか不安は大きい。またハービンジャーの母系は3代以上さかのぼると活躍馬がちらほら見える程度。



すこし詳しく見ていくと
ハービンジャーの母、Penang Pearl(その父ベーリング)からは、ハービンジャーの他に3頭が競走馬になっているが、Gレース活躍馬はいない。(馬名リンク先は JBIS、成績はRacingPostなどで調べたもので、国によっては集計からもれている可能性がある、障害競走含む)。

馬名生年通算成績主な勝ち鞍
Penang Pearl1996ベーリング16戦3勝オクトーバーS.(準重賞)
Penang Sapphire2002Spectrum12戦1勝なし
Penang Cinta2003Halling57戦10勝なし
Autour Du Monde2004スピニングワールド5戦0勝3着1回なし



ハービンジャーの祖母である Guapa(その父Shareef Dancer)からは、Penang Pearl のほかに Chantilly(牝)とイルプリンシーペ(牡)が、また Chantilly からは3頭の子供が確認できました。

馬名生年通算成績主な勝ち鞍
Guapa1988Shareef Dancer8戦2勝なし
Chantilly1995Sanglamoreなし(不明?)なし
Flamingo Palace2001クロコルージュ1戦0勝なし
Cream of Esteem2002Mark of Esteem15戦0勝2着1回なし
Jebel Tara2005ディクタット28戦2勝なし
イルプリンシーペ1997Machiavellia1戦0勝なし


ちなみに3代母(ハービンジャーの母母母)Sauceboat はイギリスのGレースで1勝2着3回、また、Sauceboat は2頭の重賞勝ち馬(Kind of Hush と Dusty Dollar)を産んでいる。

Dusty Dollar の産駒のミスシャグラが繁殖牝馬として日本に輸入され、兵庫ジュニアグランプリを勝ったミスイロンデル、神戸新聞杯と中日新聞杯を2着したフロンタルアタックなどの母となっている。(ハービンジャー - Wikipedia

4代母Cranberry Sauce までさかのぼっても子孫の活躍馬は、ハービンジャー、Sauceboat、Kind of Hush、Dusty Dollar、フロンタルアタックぐらいしかいないようで、最近はあまり活力のない牝系だと思います。この豪華とは言えない牝系出身であることと、長距離での実績しかないという好ましくない要素のために、キングジョージであれだけのパフォーマンスを見せた直後でありながら、社台はハービンジャーを種牡馬として数百万ドルという比較的安い価格で購入できたのだろうと思います。