2012年10月20日土曜日

2012英チャンピオンS.出走馬紹介(フランケル引退レース)

フランケルの引退レースに予定されている英G1チャンピオンS.に出走する全6頭についてです。ペースメーカー1頭を除く5頭がG1勝ち馬。日本時間21日午前0時05分発走予定。ネット中継サイトはこちらをご覧ください。

なお、馬場状態を陣営が確認した結果、フランケルが出走することが日本時間19時10分ごろに明らかにされています。

Today's Racing Cards & Runners | 20 October 2012 | Racing Post
英チャンピオンS 2012 出走馬展望【おうまのアイコン wire-to-wire】

◎フランケル(単勝オッズ1.28倍程度)
○シリュスデゼーグル(5倍)
▲パストリアス(51倍)
△ナサニエル(12倍)

フランケル Frankel
13戦13勝。G1は8連勝含む通算9勝。前走の英G1インターナショナルS.でマイルを超える距離初出走したが7馬身差で圧勝した。公式レーティングでダンシングブレーヴの141にまだ届いていないが、140以上を2回出したのはフランケルが史上初めてである。

雨で Heavy の不良馬場になることも予想されていたが、20日朝時点で基本 Soft、場所によりHeavyと発表されている

フランケル自身はデビュー戦で一度だけ Softの馬場を走ったことがあり、2着ナサニエルに着差こそ1/2馬身差であったが楽勝している。しかし当日はその1時間前まで、よりましな"Good To Soft"の馬場状態でもあった。

今回はそれよりはるかに悪い馬場であり、また後述シリュスデゼーグルは重馬場を得意にしている。


シリュスデゼーグル Cirrus Des Aigles
2011年の本格化後は、「2010年ジャパンカップ9着」が冗談に聞こえるほどの実績で、昨年のこのレースではソーユーシンク、スノーフェアリー、ナサニエルらを負かしてG1初勝利を挙げた。欧州最優秀古馬にも選ばれている。公式レーティングで現役世界2位で、フランケルとはこれが初対戦である。

特に重・不良馬場に強く、仏G3ゴントートビロン賞(芝2000m)8馬身差、仏G2ドーヴィル大賞(芝2500m)10馬身差、仏G1ガネー賞(芝2100m)8馬身差で勝っており、前走、凱旋門賞前日の仏G2ドラール賞(芝1950m)も9馬身差で勝っている。

今年はAW良馬場でそれぞれ1回ずつ取りこぼし、また順調に使えない時期も合ってドラール賞が4ヶ月ぶりの競馬ではあったが、何とか間に合って雨の恵みもある。最も力を発揮できる条件で一発なるか。


ナサニエル Nathaniel
デビュー戦でフランケルの1/2馬身差2着。これはフランケルの全13勝のうち最小着差である。2頭の再戦はそのデビュー戦以来のこと。

昨年の"キングジョージ"勝ち馬。今年は英G1エクリプスS.を制し、"キングジョージ"でもデインドリームのハナ差2着した。G1愛チャンピオンS.でスノーフェアリーの1・1/4馬身差2着したが凱旋門賞は熱発のため回避。

7ヶ月ぶりの出走だったエクリプスS.で1/2馬身差2着に負かしたファーがインターナショナルS.でフランケルの7馬身差2着。そのインターナショナルS.でファーからハナ差の3着だったセントニコラスアビーは愛チャンピオンS.でナサニエルから3/4馬身差の3着。普通の馬場ならフランケルとは明らかに分が悪いが。

Soft より悪い馬場で走るのはデビュー戦以来のことだが陣営はナサニエルについて以前から硬い馬場を嫌っていた。また全妹のグレートヘヴンズが Soft のG1愛オークスを3馬身差で完勝し、Heavy の凱旋門賞でも11馬身差6着に入っており、シリュスデゼーグルのように得意かはまだ分からないが、フランケルとの馬場適性の比較では特に不利でもないはず。

なお、騎乗予定のW.ビュイック騎手はフランケルが勝つと明言している


パストリアス Pastrius
デットーリ騎手に乗り替わって初コンビで参戦。上の3頭とはこれが初対戦。また6頭中唯一の3歳馬である。

今年のG1独ダービー(芝2400m)優勝。その次走、古馬初対戦の独G1ダルマイヤー大賞(芝2000m)は8馬身差で圧勝した。独G1バーデン大賞(芝2400m)でデインドリームから1馬身差の3着。前走の独G3で重賞4勝目を挙げた。

今年唯一重馬場(Soft)を走ったのがダルマイヤー大賞であり、その勝ちタイム2分12秒04は過去10年で2番目に遅く、かなり馬場状態が悪かったと考えられる。そのときの2着馬で前年の勝ち馬ダーバンサンダーは前走、良馬場のG3でパストリアスの1・1/4馬身差に入って差を詰めている(斤量差も詰まったのだが)。パストリアスは良馬場でもドイツトップクラスだが重馬場も得意である可能性が高い。

父ソルジャーホロウは現役時代、重馬場に強く、母の父モンズンも初期の産駒の活躍が重馬場で目立った。また1999年以来の悪い馬場だった今年の凱旋門賞当日でも、父モンズンのシラソルが仏G1マルセルブサック賞1着し、同産駒のマスターストロークとイエローアンドグリーンが凱旋門賞3,5着、また2代母がモンズンの全妹モリーマローンが仏G1カドラン賞1着と人気以上に走っていた。

今回はダルマイヤー大賞以来の重・不良馬場。今回がドイツ国外で初出走だが力を発揮できればナサニエルを負かす可能性はある。


マスターオブハウンズ Master Of Hounds
 エイシンアポロンの半弟である。

昨年の米G1ケンタッキーダービー5着。今年ドバイでG1ジェベルハッタ(芝1800m)優勝。ドバイワールドカップ8着以来の出走だった前走9月のトルコローカルG2で頭差1着からの参戦で、R.ムーア騎手とはG2 UAEダービーのハナ差2着以来となる1年半ぶり2度目のコンビ。

芝10ハロンを走るのはこれが初めて。また芝の重馬場も初めてだが、キングマンボ×サドラーズウェルズの血統だから重馬場が大得意の可能性もある。良から稍重ならG1馬とはいえ5番手評価にすんなり落ち着くのだが。


ブレットトレイン Bullet Train
フランケルの1歳上の半兄(3/4同血)。弟を先導してやるのも今回が最後。 

 2010年に英G3ダービートライアルS.1着。同レースは"Good to Firm"の硬い馬場だった。

その次走、5番人気で出走したG1英ダービーで12頭立て最下位に敗れるとそれ以降低迷を続け、昨年の英G1クイーンエリザベス2世S.から前走のインターナショナルS.まで5戦連続でフランケルのペースメーカーを務めるようになった。

ちなみにその5戦のうち、G1クイーンアンS.で11頭立て6着、G1インターナショナルS.では9頭立て5着と、他のペースメーカー以外の馬、たとえば前走G2勝ち馬などにも先着することがあった。

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