2010年12月12日日曜日

強すぎる!スノーフェアリーが香港カップ優勝

12日に香港・シャティン競馬場で行われたG1香港カップは、日本エリザベス女王杯を勝って望んだ英愛オークス馬スノーフェアリーが優勝しました。G1通算4勝目で、牡馬相手の重賞勝利は初めて。

動画予備1予備2


スノーフェアリーは最後の直線を向いた時点(残り約400m)で後ろから2頭目。そこから猛然と追い込んでゴール直前で地元・香港のイリアン Irian を交わしました。スノーフェアリーは牡馬相手だとリステッドレース勝ちはありますが、重賞ではG1英セントレジャー4着などがあるだけでこれまで未勝利でした。

上から残り800m、400m、200m地点。残り800m地点で1着 Snow Fairy は後方2番手、2着 Irianは 後ろから6番手、3着 Packing Winner は先頭、4着Vision D'Etat は後ろから3頭目と、先行馬に厳しいレースでした

2着イリアンは前走G2キャセイパシフィックジョッキークラブカップ(シャティン芝2000m)優勝。09年独2000ギニー勝ち馬でもあります。休養を経た2走前ぐらいから調子が良かったようです。

3着は前述G2キャセイパシフィックJCでイリアンの2着だったパッキングウィナー Packing Winner。ほかにあまり良成績の無いこの馬が人気薄で3連系の馬券は高配当になりました。

4着に前走英チャンピオンS.2着で昨年のこのレース勝ち馬ヴィジョンデタ Vision D'Etat。G1競走4勝馬ですが、今年はあまり順調に使えていないようで、完調ならもっとやれたかと思います。5着はプランテュール Planteur、凱旋門賞は19着でしたが、仏ダービー2着、パリ大賞2着とG1戦2着2回のほか、凱旋門賞の前哨戦G2ニエル賞ではヴィクトワールピサにも先着して2着でした。6着スーパーサテン Super Satin は今年の香港ダービー馬。8着スタセリタ Stacelita は仏牝馬G1競走4勝馬。

過去記事:
フェイムアンドグローリー3連勝、英オークスは伏兵スノーフェアリーが勝利
スノーフェアリーが愛オークス快勝で英愛オークス連覇
スノーフェアリーが2着だった英G1ナッソーS.のレース結果・動画の紹介

香港マイルはエーシンフォワードが1・1/4馬身差4着

12月12日、香港・シャティン競馬場で G1香港マイルが行われ、日本から出走したエーシンフォワード(牡5、栗東・西園)は4着でした。勝ったのは地元・香港のビューティフラッシュ Beauty Flashでした。

香港マイルのレース映像はこちら。"Broadband"をクリックすると、動画ページが開きます。YouTube の動画はなぜかマイルだけ見つからないです。


1着ビューティフラッシュは今年の安田記念でショウワモダンの11着でした。今年1月のG1香港クラシックマイルで重賞初勝利。その後はG1香港ダービー4着、G1チャンピオンズマイル3着などがあるが、G2、G3戦でも4,5着が続いていました。この勝利で重賞2勝目を挙げています。父は英2000ギニーやキングジョージを勝ったゴーラン、母父はニュージーランドでこれまで8回リーディングサイヤーに輝いている Volksraad(その父グリーンデザート)。


3/4馬身差2着はフランスから出走したロイヤルベンチ Royal Bench(3牡)。フランスダービー14着のあと、リステッド競走1勝をはさんで G1ジャック・ル・マロワ賞5着、前走仏マイルG2ダニエル・ウィルデンシュタイン賞は3馬身差で快勝していた。その実績に比べるとここはすこし人気薄で高配当になりました。


1着から1・1/4馬身差3着は英G1サンチャリオットS.2連覇のサプレザ(5牝)。2年連続で来日し、G1マイルチャンピオンシップで09年3着、2010年4着しており日本の競馬ファンにもおなじみ。

サプレザから1/4馬身差4着にエーシンフォワードでした。ほかにシンコウキング産駒で09年G1香港クラシックマイル勝ちなどがあるサムズアップ Thumbs Upが6着、安田記念で6着(09年)、5着(2010年)があるサイトウィナー Sight Winnerが7着、昨年まで香港マイル3連覇していたグッドババ Good Ba Baは10着、09年英2歳G1デューハーストS.勝ち馬ベートーベンは12着。英仏でG1競走3勝があるなど、欧州マイル路線で上位安定しており欧州勢では最有力と見られていたパコボーイ Paco Boyはまさかの最下位13着でした。

2010年香港スプリントはジェイジェイザジェットプレーンが優勝

香港ヴァースに続いて行われたG1香港スプリントは南アフリカのジェイジェイザジェットプレーン J J The Jet Planeが優勝。シンガポールの最強スプリンターロケットマン Rocket Manが2着、香港の最強スプリンターセイクリットキングダム Sacred Kingdom が3着でした。

香港スプリントのレース映像はこちら。(動画予備。香港ジョッキークラブのサイト)


勝ち馬ジェイジェイザジェットプレーンの経歴についてはこの記事が詳しい。

前走のG2香港ジョッキークラブスプリントでロケットマンと1着同着だったワンワールド One Worldは13着、今年日本のスプリンターズステークスを勝ったウルトラファンタジーが最下位14着、そのスプリンターズステークス7着だったグリーンバーディー は10着でした。

ジャガーメイル、香港ヴァースは今年も4着

12月12日に行われた香港ヴァースは、日本から出走したジャガーメイルが昨年と同じ4着に終わりました。


レース映像はこちら。香港ジョッキークラブのレース映像はこちら。着順の上にある"Broadband"をクリックで映像が再生されます。2番枠発走が勝ち馬マスタリー。ジャガーメイルは7番枠発走。



ジャガーメイルが香港ヴァースに出走するのは3年連続3回目。08年は重賞未勝利ながら、G2アイルランド共和国杯(東京芝2500m)2着のあと香港ヴァースに出走し、3着と好走しました。09年もまだ重賞未勝利で、天皇賞(春)5着、G2目黒記念2着、アルゼンチン共和国杯5着などのあと、香港ヴァース4着。そして今年2010年は天皇賞(春)を勝って重賞初勝利したジャガーメイルでしたが、またも4着でした。


香港ヴァースの勝ちタイムは2分27秒69。前半1200m通過が 1分15秒57、後半1200mは 1分12秒12というスローペース。ジャガーメイルは出走13頭のメンバーで、道中10番手あたりを追走。先着を許した3頭はいずれもジャガーメイルより前につけていた馬で、すこし位置取りが悪かったか。



2010年の香港ヴァースを勝ったのは09年英セントレジャー勝ち馬のマスタリー Mastery5代血統表)。騎手はデットーリ、ゴドルフィンの持ち馬。スタート直後から3番手につけ、残り400m付近でほぼ先頭に並び、最後は2着に2・1/2馬身差をつける快勝、G1競走2勝目を挙げました。

マスタリーは09年にG2イタリアダービーDerby Italiano Better(GII、芝2200m)優勝。続くアスコット競馬場のクイーンズヴァース(GIII、芝3200m)に出走して、4・3/4馬身差の3着だった。7月にパリ大賞典(GI、ロンシャン競馬場、芝2400m)をキャバルリーマンの3着。2400mの芝GII 2着を挟んで、英セントレジャー(ヨーク競馬場、芝3000m)で GI 初制覇。BC マラソン(サンタアニタ競馬場、オールウェザー2800m)は 2・1/4馬身差3着だった。

2010年はこれまで3走だけ。3月に G1ドバイワールドカップに出走し、グロリアデカンペオンから1・1/2馬身差5着。10月に英G2 Richard Hambro Darley Stakes(ニューマッケット競馬場、芝約1800m)3着。前走リステッドレースを同着1着でした。


2着はレッドウッド Redwood5代血統表)。これまでにグループ(グレード)レースを9戦して2勝2着3回3着1回。2走前のカナダG1ノーザンダンサーターフS.で G1初勝利。前走G1カナダインターナショナルS.はジョシュアツリー(ジャパンカップ10着)の3着だった。ほかに芝12ハロンの英G2で2着、芝2500mの仏G2で2着があった。


3着アメリカイン(血統表)は今年の豪G1メルボルンカップ優勝
アメリカインはフランスからの遠征馬で、8月の仏G2ケルゴルレイ賞を含む3000mレースを3連勝したあと、メルボルンカップを目指して渡豪。前走の豪 G3ギーロンC(芝2400m)でも優勝していた。ほかに Prix Vicomtesse Vigier(仏G2、芝3200m、2009年)を勝ち、2008年には仏G3 Prix de Lutece(芝3000m)1位入線2着降着があるなど、3000mを超えるレースを得意としている。
2010年メルボルンカップのレース映像(日本馬トウカイトリック出走)



ほかに今年のGIクイーンエリザベス2世カップ(シャティン競馬場、芝2000m、定量約57kg)でネヴァブションを負かしたヴィヴァパタカ Viva Pataca は8着、アメリカ芝G1競走3勝のウインチェスター Winchester は11着でした。

2010年11月13日土曜日

ゴルディコヴァ、BCマイル4連覇目指す

先日のBCマイルで3連覇を達成した牝馬ゴルディコヴァ Goldikovaが6歳になる2011年も現役を続行し、BCマイル4連覇を目指すことが分かりました。

Goldikova to Go for Mile 'Four-Peat' in 2011 - BloodHorse.com
GOLDIKOVA TO RACE ON IN 2011 | Sporting Life

3連覇はブリーダーズカップ全レースを含めても史上初めての偉業です。過去記事「2009年BCマイル」「2010年BCマイル


ゴルディコヴァのオーナーブリーダー(馬主兼生産者)、Alain Wertheimer 氏は次のように述べています。「(4連覇は)ゴルディコヴァにとって唯一、真の目標です。彼女の状態はとても良いため、私たちは現役続行させることに決めました。また他の理由として、もしファンが見慣れた古馬がより多く現役を続ければ、より多くの競馬ファンたちに競馬場に来てもらえると考えるからです。仮に実質1年しか現役を続けないのであれば、人々は十分にその馬を見ることが出来ず、魅了されることもないでしょう。私はもっと多くの人々が競馬を好きになる機会があればよいと思っています。(優れた成績を挙げた馬が現役続行することは)牡馬の場合、(種牡馬として)多額のマネーがかかっているため、(難しい問題であると)理解しています。しかし、(私たちのように)多くの競走馬・繁殖馬を所有するのであれば、この牝馬を現役続行させない理由はありません。」

ゴルディコヴァの来年のスケジュールは未定で、来年になってから決定されるとのことです。

2010年11月8日月曜日

BCクラシック勝ち馬ブレイム引退

現地時間11月6日に行われたブリーダーズカップ・クラシックでゼニヤッタを負かしたブレイム Blame が引退することが発表されました。

Blame Retired; Available for Inspection - BloodHorse.com

来春からケンタッキー州にあるクレイボーンファームで種牡馬入りするとの事。11月8日と9日に、キーンランドで開催中のセールにおいて生産者向け展示会が行なわれるようです。


ブレイムは BC クラシックのほかに、2010年スティーヴン・フォスターH.および2010年ホイットニーH.を勝ちG1競走3勝しています。G2は2勝、G3を1勝し、通算13戦9勝2着2回3着2回の成績。

ブレイムの5代血統表はこちら。3代母スペシャル(Special)-4代母ソング(Thong)という良血馬で、種牡馬としても活躍が期待されます。

ブレイムの父 Arch はG1スーパーダービー勝ち馬で、その父クリスエス Kris S.×母 Aurora。Kris S.はご存知シンボリクリスエスの父でもある。Aurora(父ダンチヒ)は Arch のほかに、2010年10月にG1スピンスターS.を勝つなどグレードレース7勝の牝馬 Acoma、2001年のゴドルフィンマイル(当時G3)勝ち馬 Festival of Light を産んでいる。

ブレイムの母 Liable はステークス戦(非グレード競走)入着2回。Liable の母 Bound はG1エイコーンS.3着があるが重賞勝ちはない。Bound は父ニジンスキー×母スペシャル。その Bound×父シーキングザゴールド(ドバイミレニアム、シーキングザゴールドなどの父)で、ブレイムの母 Liable が誕生しました。


サドラーズウェルズやヌレイエフなど名種牡馬の宝庫であるスペシャル-ソング-ラフショッド系の出身であり、また、ロベルト、ダンチヒ、シーキングザゴールド、ニジンスキーと欧州でも活躍馬を出す血統で構成されており、世界中で産駒が活躍する可能性もありそうです。

2010年11月7日日曜日

ゴルディコヴァが史上初BCマイル3連覇

2010年もゴルディコヴァ Goldikova が BC マイルを勝って3連覇達成。ブリーダーズカップ全レースを通じても3連覇は史上初です。

ブリーダーズカップ・マイルのレース映像


ゴルディコヴァは中段外目を追走し、直線を向いたときは6番手。そこからグングン加速してこともなげに勝ちました。2着は昨年クラシック2着の Gio Ponti ジオポンティ、3着はG1エディーリードS.勝ちがある The Usual Q Tが入りました。欧州マイルG1競走3勝馬 Paco Boy が4着、米牝馬G1・5勝の牝馬 Proviso プロヴィソは7着。

ゴルディコヴァはBCマイルを3連覇して、通算21戦15勝、G1競走12勝。
BCマイルレース映像(08年08年予備09年09年予備)。加速してからの脚が1頭だけ別格で、3連覇も当然に思える強さでした。

追記:ゴルディコヴァ陣営は、BCマイル4連覇を目指して来年も現役を続行すると発表しました。「ゴルディコヴァ、BCマイル4連覇目指す

2010年BCクラシック、ゼニヤッタ2着に敗れる。ブレイムが優勝、エスポワールシチーは10着

現地時間10月7日に行われたブリーダーズカップ・クラシックはブレイム Blame が優勝、注目のゼニヤッタ Zenyatta はアタマ差2着に敗れました。日本から遠征したエスポワールシチーは10着でした(12頭立て)。

昨年牝馬としては初めてこのレースを制した19戦無敗のゼニヤッタが、アメリカ近代競馬史上初の20連勝、および牝馬としては初めて(牡馬含めてもティズナウ以来となる史上2頭目)のBCクラシック連覇なるかが最大の注目点でした。


勝ったブレイムはこれで通算13戦9勝2着2回3着2回。BCクラシックのほかに、6月12日スティーヴンフォスターH.および8月7日ホイットニーH.とG1競走 2連勝し、当時重賞5連勝していた。G1戦2走を連勝して挑んだ前走10月2日のG1ジョッキークラブゴールドカップでは、ハイネスフィールド Haynesfield(BCクラシック11着)の逃げ切りを許し4馬身差2着だった。

(追記:ブレイムは BCクラシック優勝を最後に引退し種牡馬入りすることが決まりました。詳しくは「BCクラシック勝ち馬ブレイム引退」)


ゼニヤッタは昨年のBCクラシック以来6戦ぶりとなる牡馬との対戦。今年はこれまで牝馬限定G1競走5連勝中でした。ゼニヤッタはチャーチルダウンズ競馬場は初めての出走、一方ブレイムはスティーヴン・フォスターH.のほかに昨年のG2クラークH.勝ちがあるなど、チャーチルダウンズで4戦3勝3着1回の成績。経験の差がアタマ差につながったかもしれません。


2010年ブリーダーズカップ・クラシックのレース映像(英語)

レース展開
スタートはゼニヤッタが出遅れ気味。エスポワールシチーが内のクオリティロード Quality Road、ハイネスフィールド、ファーストデュード First Dude らと1,2コーナーで先頭争いをしているころ、ゼニヤッタはすでに先頭から15馬身以上離された最後方に位置し、ブレイムは7馬身差の7番手を進んでいました。

向こう正面でも4頭が5番手以降に6馬身ほどの差をつけてハイペースで先行し、5番手エッチド Etched から11番手プレザントプリンス Pleasant Prince まで7頭が5馬身差ほどの固まりで進む。ゼニヤッタはすこし差を詰めて2馬身差最後方を追走。

4コーナーでクオリティロードとファーストデュードが脱落し、直線入り口ではエスポワールシチーが先頭に立つが、すぐ後ろにはルッキンアットラッキーやブレイムが迫っており後続に飲み込まれる。エスポワールシチーはこの後ポジションを落とすだけで10着でフィニッシュしました。

ブレイムは4コーナーから直線で先頭に立つまで、内を選んだにもかかわらず、一度も前の馬に進路に入られることがなく進むことが出来ました。直線に入って狭いところを抜け出したブレイムをゼニヤッタがいつもの通り最後方からの直線勝負で追い上げましたが、いつもと違ったのはブレイムもゼニヤッタ並みの勝負根性を見せた、というところでしょう、やすやすとゼニヤッタが交わしていくはずの場面で、ブレイムは最後まで脚を伸ばしゼニヤッタに抜かせませんでした。ゼニヤッタがこの脚質で19連勝した事自体が奇跡ですが、ブレイムほどの実力馬にここまでスムーズに競馬をされると、さすがに差しきれなかった。


まだはっきりと発表されたことは一度もないですが、ゼニヤッタはこれが引退レースと考えられています。ただし、昨年BCクラシックを勝ったあと引退するはずだったのが、撤回され今年も現役を続けているので、引退が明言されるまで現役続行を期待するのも悪くないと思います。


3着は今年のG1ベルモントS.、G1トラヴァースS.いずれも2着だったフライダウン Fly Down。4着ルッキンアットラッキー Lookin' at Lucky は、プリークネスS.、およびハスケル招待H.と3歳G1競走を連勝し、前走3歳G2インディアナダービーも勝って3連勝で、ここは2番人気だった。

他にエスポワールシチーとともに先行した3頭は。今年2月のG1ドンH.を12馬身差圧勝、G1メトロポリタンS.優勝、ホイットニーH.でブレイムの頭差2着などがあるクオリティロード Quality Road は最下位12着。前走G1ジョッキークラブゴールドC逃げ切り勝ちハイネスフィールドは11着。今年プリークネスS.2着のほかにG1競走3着4回があるファーストデュードはいったん遅れたもののわずかに盛り返して8着に入りました。米G1実績がある先行馬も総崩れで、エスポワールシチーにとっても厳しいレースだったでしょう。

2010年11月6日土曜日

レッドディザイア4着、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ

現地時間11月5日に行われた BCフィリー&メアターフに日本からレッドディザイアが出走しましたが4着に終わりました。

レッドディザイアが出走した G1 ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフのレース映像。レース動画予備1(JRA)予備2(BC公式サイト)予備3(BloodHorse)、いずれも英語実況です。

5,6番手を進む赤帽子、赤い勝負服がレッドディザイア。




レッドディザイア4着、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ
約400メートル通過時点。矢印左から順に、3着Keertana、4着レッドディザイア、2着 Midday、1着 Shared Acccount


レッドディザイア4着、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ
約1000m地点。矢印左から順に、3着Keertana、4着レッドディザイア、2着 Midday、1着 Shared Acccount



レッドディザイア4着、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ
残り300m地点。矢印左から順に、3着Keertana、4着レッドディザイア、2着 Midday、1着 Shared Acccount

レッドディザイアは4コーナーで外から追い上げ、300メートル地点あたりで先頭に立ちましたが、内をすくって伸びてきた2頭に再び交わされ、外から伸びてきた Keertana にも差されました。

Breeders’ Cup Filly & Mare Turf(G1)
ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ
チャーチルダウンズ競馬場・芝11ハロン(約2200m)
3歳以上牝馬、11頭立て、現地時間11月5日午後6時53分発走
総賞金200万ドル、1着賞金108万ドル(約8800万円)
着順馬名
騎手名前走レース前走成績着差
1.Shared Account牝4 E.プラードフラワーボウル7頭5着2分17秒74
2.Midday牝4 T.クウィリーヴェルメイユ賞12頭1着クビ
3.Keertana牝4 J.レスカーノフラワーボウル7頭4着クビ
4.レッドディザイア牝4 K.デザーモフラワーボウル7頭3着1馬身
5.Hot Cha Cha牝4 J.グラハムスピンスターS.10頭3着クビ
6.Eclair de Lune牝4 J.アルバラードビヴァリーDS9頭1着クビ
6.Forever Together牝6 A.ナプラヴニクフラワーボウル7頭6着同着
8.Hibaayeb牝3 L.デットーリイエローリボン9頭1着クビ
9.Miss Keller牝4 J.カステリャーノE.PテイラーS10頭2着1・3/4
10.Harmonious牝3 J.ロザリオQE2チャレンジ8頭1着4・1/2
11.Plumania牝4 O.ペリエヴェルメイユ賞12頭2着1・3/4
斤量は3歳2頭(8着 Hibaayeb、10着 Harmonious)が 54.8kg。他9頭は 56.2kgでした。

出走11頭はすべて前走G1競走でした。

勝ったシェアードアカウントはこれが G1初勝利。2走前のG1ダイアナS.で、米G1競走7戦5勝2着1回の Proviso(明日のBCマイル出走予定)に頭差2着。他09年QE2チャレンジカップ(G1)2着、09年ガーデンシティーS.(G1)2着があった。前走はレッドディザイアが3着した G1フラワーボウル招待S.5着だったためか、単勝47倍の10番人気と人気薄でした。

2着ミッデイは昨年のこのレース勝ち馬。今年はクビ差2着で惜しくも2連覇を逃しました。今年ナッソーS.、ヨークシャーオークス、ヴェルメイユ賞とG1競走3連勝。昨年3歳時は英オークス2着、愛オークス3着のあと、ナッソーS.、BCフィリー&メアターフを勝っており、G1通算5勝の強豪で、単勝1.9倍のダントツ1番人気に押されていました。

3着 Keertana は G1勝利経験なし。09年にG3リグレットS.優勝。ほかに 9ハロン以下の重賞で2,3着が多かったが、2走前G3グレンフォールズH.で11ハロン(約2200m)のレースを使われると、2着に3馬身以上をつけて快勝。BCフィリー&メアターフも11ハロンのレースで距離が良かったかもしれません。単勝33倍の8番人気でした。

4着に日本から遠征したレッドディザイア。単勝6.1倍の3番人気でした。前走G1フラワーボウル招待S.では3着で、4着の Keertana に3馬身差、5着シェアードアカウントに3・3/4馬身差つけていましたが、逆転を許してしまいました。フラワーボウル招待S.もいったん先頭に立った後、内を抜けてきたアーヴェイとチェンジングスマイルに差されていて、レッドディザイアの使える脚が短くなっているかもしれません。Eclair de Lune ら他にも数頭いた米G1勝ち馬に先着しており、実力のあるところを見せましたが、ミッデイはともかく他の馬に先着されるとは思わなかったです。

レッドディザイアの次走は不明です。ただ米遠征は「アメリカでは鼻出血防止剤を使えるから」という理由があったはずなので、日本で出走させるでしょうか? そろそろ引退の可能性もありそうな?

Sunday Bess の新馬戦を画像で紹介(英デビューしたディープインパクト産駒)

日本で生まれ、イギリスでデビューしたディープインパクト産駒 Sunday Bess のデビュー戦の様子をキャプチャ画像で紹介します。ちなみに、無料会員登録をすればこのページ(英語サイト)からレース映像を見れます。

E.B.F. Showcasing Standing At Whitsbury Manor Stud Maiden
新馬・未勝利戦、7頭立て
現地時間2010年10月28日14時10分発走
リングフィールド競馬場・オールウェザー7ハロン(約1400m)
着順
(枠番)
馬名
斤量騎手名オッズ前走成績着差
1(6)Tulliusセン258.5J.Crowley26倍14頭11着1分25秒85
2(5)Sunday Bess牝256.2R.Kingscote5倍初出走ハナ
3(4)Motivado牡258.5S.Sanders8.5倍10頭4着1・1/4馬身
4(1)Trojan Nights牡258.5K.Fallon2.25倍12頭5着2・1/4馬身
5(2)Hugely Exciting牡258.5L.Morris17倍初出走3/4馬身
6(7)Sammy Alexander牡258.5A.Atzeni21倍9頭7着頭差
7(3)Red Mercury牡258.5C.Catlin5倍4頭3着3・3/4馬身


スタート直後、矢印の左から順に 1着 Tullius、2着 Sunday Bess、3着 Motivado


1コーナーに入った直後、Sunday Bess が2番手追走、勝ち馬はそれ見る位置で3番手、3着する Motivado は後方外を追走


向こう正面の様子。ほぼ一群となってレースが進む。矢印の左から順に 3着 Motivado、1着 Tullius、2着 Sunday Bess。



3-4コーナー中間あたり。矢印の左から順に 3着 Motivado、1着 Tullius、2着 Sunday Bess。


最後の直線に入ってすぐ。逃げ馬がふくらんだため直線外目を進む。矢印一番右 Sunday Bess はほぼ先頭に並ぶ。勝ち馬 Tullius もその外にぴったりと。3着 Motivado も外に


残り1ハロンを過ぎたあたり。内を突いた4着馬 Trojan Nights が一瞬見せ場を作る。上位3頭矢印の左から順に 3着 Motivado、1着 Tullius、2着 Sunday Bess。


残り100m通過時点。上位3頭が抜け出す。1着 Tullius、2着 Sunday Bess が先頭争い。その1馬身後に3着 Motivado。


ゴール地点。Tullius が Sunday Bess にハナ差だけ先着して1着。Motivado が1・1/4馬身が3着。

栗山守ブログ: ディープ産駒 Sunday Bess、英デビュー戦で2着
母リーサはチリ産で、同国の1000ギニー(智G1・芝1700m)、ナシオナルリカルドリヨン賞(智G1・芝2000m)などを制し、チリ2歳牝馬チャンピオン、チリ芝牝馬チャンピオンに輝きました。母の父 Hussonet(父 Mr.Prospector)は00年から7年連続リーディングサイアーとなった大種牡馬。その母 Sacahuista はブリーダーズCディスタフ(米G1・ダ10f)の勝ち馬で、米3歳牝馬チャンピオンとなった名牝です。
http://www.pedigreequery.com/hussonet

Sunday Bess 自身は社台コーポレーション白老ファームの生産馬。セレクトセール2008で3300万円の値が付き、1歳時にイギリスへ輸出されました。

Sunday Bess はかなり良血のようですね。5代血統表はこちら

1着 Tullius は7月にデビューし、1着から26馬身差の14頭立て11着でした。3ヶ月で完全に立て直した形で、人気薄でしたが初勝利を挙げました。5代血統表はこちら。父はフォルリ直系 Le Vie Dei Colori(G1競走1勝2着1回含む重賞5勝)。母父キングマンボです。

Sunday Bess の次走は不明です。


(フランスで走るディープインパクト産駒 Barocci のデビュー戦はこちら「ディープインパクト産駒 Barocci の仏デビュー戦を写真で紹介」)

2010年11月3日水曜日

バンベラ引退、ケンタッキーで繁殖入り

ベネズエラからアメリカに移籍した牝馬バンベラ Bamberaは、10月11日のロゼナステークスで1着から24馬身差、4着から13馬身差の最下位5着に敗れました。レース後、共同オーナーの一人、José Gregorio Castro は引退を認めています。

Castro: "Bambera será servida en Kentucky" - YVKE Mundial

オーナーのカストロ氏は「(バンベラは)競馬場ですべてを発揮しました。引退させ、ケンタッキーの牧場で繁殖入りさせるつもりです。こちらの優良な種牡馬と交配させたいと考えています」と述べています。

最後のレースになった前走 Rossena S. では不可解なほど惨敗しましたが、状態に問題はないそうです。11月15日にケンタッキーに移動する模様。オーナーは、アメリカのチャンピオン(特に同じ牝馬のゼニヤッタやレイチェルアレクサンドラのことでしょう)と戦わせるために米移籍させたことを後悔していると述べました。

調教師の Gustavo Delgado 氏は、「(Rossena S.)の結果は悲しいもので失望している。繁殖にあげるのがバンベラにとってべストだろう」と述べました。

バンベラの通算成績は23戦16勝。2009年には、ベネズエラの牡牝それぞれの三冠レース計6戦に出走して5勝を挙げるなどし、ベネズエラ時代は通算18戦16勝、G1競走10勝。2010年からアメリカに移籍しました。アメリカでは5戦しましたが、初戦ランパートS.で骨折した影響を引きずったのか、米では未勝利のまま引退することになりました。

バンベラの北米でのレースは過去にも記事にしました。詳しくはそれぞれの記事をどうぞ。レース映像も載せています。

第1戦、G3ランパートS.(ダート1700m、3月20日、8頭立て8着)
バンベラ、北米デビュー戦敗れる、レース中に故障か

第2戦、オプショナルクレーミング(芝1700m、8月5日、4頭立てハナ差2着)
Bambera、アメリカ2走目は2着

第3戦、George Rosenberger Memorial S.(芝1700m、9月11日、10頭立て3着)
Bambera、米移籍3戦目は3着

第4戦目は9月28日のオプショナルクレーミングレース(デラウェアパーク、ダート1マイル17ヤード、3歳以上牝馬限定)を4頭立て3着(1着から5馬身差、レース映像)、第5戦目は Rossena S.(デラウェアパーク、ダート1700m、3歳以上牝馬限定)を5頭立て5着でした(レース映像)。

ベネズエラ時代の成績「今年の世界名牝十傑 - 名牝達の後宮 - 創造は力」より
牝馬三冠緒戦のラリンコナダ競馬場賞を6馬身差で圧勝すると、その翌週には牡馬三冠緒戦のホセアントニオパエス賞も4馬身半差で快勝。2週間後の牝馬二冠目プレンサイピカナシオナル賞を5馬身3/4差で勝って、翌週の牡馬二冠目クリアナシオナル賞へ挑んだ。しかし、連戦の疲れが出たのか、ゴール前で Harriman に強襲されてダブル二冠はならず。しかし、それでもへこたれない Bambera は、中2周で挑んだ牝馬三冠最終戦のホアキンクレスポ将軍賞で牝馬三冠を達成すると、牡馬三冠最終戦のヴェネズエラボリヴァル賞は12馬身差ぶっちぎって五冠を達成した。その後古馬相手のG1も制した彼女は、クラシコデルカリブでメキシコの三冠牝馬 Vivian Record との激闘を制し10個目のG1タイトルを獲得している。


個人的にはアメリカに長距離レースがほとんどないのが、バンベラの活躍の可能性を狭めたかなと。ベネズエラ時代には短距離実績もあったものの、アメリカの1700m付近のレースで結果が出なかったのだから、もっと長い距離で見てみたかったなぁ。一番残念だったのは米移籍初戦で骨折してしまったこと。スタートでつまづいた事が原因と見られる完全にアクシデント。復帰後も骨折の影響があったのかは分かりませんが、順調な状態ならどこまでやれたのか分からないまま、ベネズエラの名牝のキャリアが終わることになりました。

2010年11月2日火曜日

2010年メルボルンカップのレース映像(日本馬トウカイトリック出走)

11月2日に行われた、オーストラリア競馬最大の祭典メルボルンカップのレース映像を YouTube から紹介します。



動画予備1予備2

日本から出走したトウカイトリックは、次の画像のように(赤の矢印)スタートから内に入り先行馬を見る形での競馬になりました。
japanese Tokai Trick 12th in Melbourne Cup
白い帽子、白基調の勝負服がトウカイトリック
トウカイトリックは4コーナーで内を突き、残り400m付近で一旦先頭に並んだものの、残り300m付近で直線で外に持ち出した先行馬ハリスツイードやソーユーシンクらに突き放され、よく粘りましたが12着に終わりました。

レースは、トウカイトリックも出走した G1コーフィールドカップ2着馬ハリスツイードや、G1コックスプレート勝ち馬ソーユーシンクらが最後の直線で一旦抜け出したものの、アメリカインが外から差しきって優勝。2着にマラッキーデイが入りました。

トウカイトリックは内を突いたことで見せ場は作りました。ただ、勝ち馬アメリカインは道中、トウカイトリックの1馬身後ろの外に、2着マラッキーデイはトウカイトリックに馬体を並べて外側に位置していました。この上位2頭のほかにも8着までを直線外に持ち出した馬たちが占めたことを考えると、トウカイトリックも内に進路をとったのはあまり得策ではなかったかもしれません。

勝ったアメリカインはフランスからの遠征馬で、8月の仏G2ケルゴルレイ賞を含む3000mレースを3連勝したあと、メルボルンカップを目指して渡豪。前走の豪G3ギーロンC(芝2400m)でも優勝していた。ほかに Prix Vicomtesse Vigier(仏G2、芝3200m、2009年)を勝ち、2008年には仏G3 Prix de Lutece(芝3000m)1位入線2着降着があるなど、3000mを超えるレースを得意としている。このあとは香港ヴァースに向かう模様。

着順
メルボルンカップ Melbourne Cup
オーストラリア・フレミントン競馬場、芝3200メートル、3歳以上ハンデ
23頭立て
総賞金4億9400万円、1着賞金2億8800万円(1豪ドル=80円で計算)
勝ち時計3分26秒87、上がり3ハロン 36.70
着順馬名英語斤量(kg)騎手着差(馬身)
1アメリカインAmericain54.5G.モッセ
2マラッキーデイMaluckyday51.0L.Nolen2.8
3ソーユーシンクSo You Think56.0S.Arnold3.3
4ジッピングZIPPING55.5N.ホール5.0
5ハリストウィードHarris Tweed55.0B.ローウィラー5.5
12トウカイトリックTokai Trick54.5藤田 伸二12.7

2010年10月16日土曜日

トウカイトリックは12着、コーフィールドカップのレース映像

オーストラリアのコーフィールド競馬場で行われた G1コーフィールドカップに日本からトウカイトリック(藤田伸二騎手)が出走しましたが、18頭立て12着に終わりました。

コーフィールドカップのレース映像はこちら。トウカイトリックは白い帽子に白地にピンクの横線が入ったお馴染みの勝負服、外から2頭目の発走。(レース動画予備YouTube


トウカイトリックは 3、4コーナーで良い感じにポジションをあげていたのですが、直線に入る手前あたりでゴチャついて、すこし後方に押し下げられたのが痛かったです。スムーズなら、入着は無理だったでしょうが、9着には入れたと思いますが。

今後は、予定どおりなら11月2日にオーストラリア・フレミントン競馬場で行なわれるメルボルンC(GI、芝3200m)に出走することになっています。

G1コーフィールドカップ Caulfield Cup
オーストラリア・コーフィールド競馬場・芝2400m、3歳以上ハンデ
賞金総額2億円、1着賞金1億2000万円(1豪ドル = 約80円で計算)
着順馬名英語性・齢斤量(kg)騎手
1デスカラードDescaradoセン452.5G.マンス
2ハリストウィードHarris Tweedセン554.0B.ローウィラー
3モナココンサルMonaco Consul牡454.0C.ウィリアムズ
12トウカイトリックTokai Trick牡954.5藤田 伸二

勝ったデスカラードはこれが G1初制覇。これまでにAJCオーストラリアンダービー(G1)2着があります。父ハイチャラパル(血統表)。2着モナココンサルも父ハイチャラパルで(モナココンサルの血統表)、昨年3歳時にヴィクトリアダービーなどG1競走2勝しています。3着ハリスツイードの父はモンジューで、3歳時にG2競走1勝、AJCオーストラリアンダービー(G1)2着がありました。上位3頭はいずれも父父がサドラーズウェルズです。

2010年10月12日火曜日

映画「セクレタリアト」、初登場週の全米興行収入は第3位

10月8日、米クラシック三冠馬"セクレタリアト Secretariat"と、セクレタリアトのオーナーブリーダーであるペニー・チェナリーの伝記映画「Secretariat」がアメリカで公開されました。映画「Secretariat」は、8日から10日までの全米興行収入で第3位を記録しています。

10月8日(金)から10月10日(日)までの全米興行収入成績






タイトル日本語題興行収入上映映画館数
11The Social Networkソーシャル・ネットワーク12.7億円2,771
2-Life as We Know It不明11.9億円3150
3-Secretariat不明10.4億円3072
42The Owls of Ga'Hooleガフールの伝説5.7億円3225
5-My Soul to Take不明5.6億円2572
(1ドル = 82円で計算)
(第4位の映画の正式タイトルは Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole と長いので略)
(6位以降は元の英語ページをどうぞ。日本語紹介記事「全米映画チャート 『ソーシャル・ネットワーク』が首位をキープ」)

という感じ。「セクレタリアト」が日本で公開されるかは不明です。最近は日本のテレビ局が自社製作映画を優先して猛プッシュするため、洋画は認知度不足に陥って売り上げが上がらないこともあるそうです。そういう状況なので、日本での公開につなげるためにも宣伝しやすい「初登場第1位」になりたかったところですが、残念なことに世界最大のSNS「フェイスブック」創業者をあつかった伝記映画「ソーシャル・ネットワーク」などに負けてしまいました。

公開されるか微妙なところかもしれませんが、映画関係者の皆様には、アメリカにくらべて日本における競走馬セクレタリアトの知名度は「シービスケット」をはるかに上回る(たぶん)ことを考慮してもらって、ぜひ公開して欲しいです。


ちなみに英語版の公式サイトでは現在、壁紙をダウンロードできます。5パターンの壁紙が
1600px×1200px、1280px×1024px、1024px×768px
の3通りの大きさで用意されていますので、こちらからお気に入りを探してください。左メニューの"Downloads"をクリックすると一覧が現れます。また"Video"からは、以前紹介した時よりも多く予告編動画が用意されているのであわせてどうぞ。

2010年10月10日日曜日

ディープインパクト産駒 Barocci の仏デビュー戦を写真で紹介

日本で生産され、先日フランスでデビューしたディープインパクト産駒バロッチ Barocci の初戦プリンスビオ賞(2歳新馬戦)のレース中の写真です。パリスターフから拝借しました。画質が悪いのは元からです。

まず上位馬の勝負服はこちら。上から着順どおりに並んでいて、2着がディープ産駒バロッチ。


残り約500m。中央の緑の帽子・勝負服が 1着Ziyarid。その右の、青と白の縦縞帽が3着になる Durer。バロッチは、ピンクの帽子の右上にいる白い帽子。青い勝負服は前の馬に隠れてほとんど見えない


残り400mを切ったところで、Ziyarid と Durer が先に抜け出している。一方、白帽、青の勝負服のバロッチは、ピンクの帽子の馬のすぐ後ろ。前が壁に


残り200m付近では、壁になっていた馬たちの外に並ぶ。Ziyarid らとは4馬身以上の差がありそう


先頭に立っていた2頭から Ziyarid が突き放す。バロッチも壁の外に出すと鋭く伸びて3番手に上がる


残り100mも無いかな? バロッチが前との差をグングン詰める


ゴール前。手前の9番がバロッチ。ゴール通過時には内の Durer をハナ差交わして2着でゴール。1着馬2番 Ziyarid とは2馬身差。
プリンスビオ賞のレース映像が見つからないので画像で紹介しました。好スタートから逃げた Ziyarid が優勝、2番手追走していた Durer が3着。先行決着のレースでしたが、中段待機のバロッチは馬群をさばくロスがあったにもかかわらず、1頭だけ良く伸びて2着に食い込む競馬を見せました。今後どういう予定か分かりませんが、少なくとも末脚は確かで、2戦目以降も期待できそうです。


バロッチの血統解説などは過去記事「ディープインパクト産駒"Barocci"がフランスでデビュー」をご覧ください。

また、イギリスで走るディープインパクト産駒 Sunday Bess のデビュー戦の様子はこちら「Sunday Bess の新馬戦を画像で紹介(英デビューしたディープインパクト産駒)

ナカヤマフェスタ惜敗、凱旋門賞の感想(結果とレース映像も)

日本からナカヤマフェスタヴィクトワールピサとの2頭が出走した第89回凱旋門賞は、ナカヤマフェスタが頭差の2着で本当に惜しい結果でした。11年前に2着したエルコンドルパサーは半馬身差だったから、もっとも凱旋門賞に近づいた日本馬といえるでしょう。着差がさらに詰まった分、あのときよりも悔しい気持ちが強いです。

凱旋門賞を優勝したのは、今年の英ダービーを7馬身差レコードで勝ったワークフォース Workforce

凱旋門賞のレース映像。これが一番高画質です。日本語実況はこちら。1着ワークフォースは中段後ろ最内を進むピンクの帽子。2着ナカヤマフェスタは赤い帽子、赤い胴に青の袖の勝負服。7着ヴィクトワールピサは白と青の縦じまの勝負服。



第89回凱旋門賞 Qatar Prix de l'Arc de Triomphe
2010年10月3日、ロンシャン競馬場・芝2400m、3歳以上牡牝G1
不良馬場、勝ちタイム2分35秒50、公式サイト

着順馬名性・齢斤量(kg)騎手着差今年の主な勝ち鞍
1.ワークフォース牡356R.ムーア2.35.50G1英ダービー
2.ナカヤマフェスタ牡459.5蛯名正義アタマG1宝塚記念
3.サラフィナ牝354.5G.モッセ2・1/2G1仏オークス
4.ベカバッド牡356C.ルメール1・1/2G1パリ大賞
5.フェイムアンドグローリー牡459.5J.ムルタ1G1コロネーションカップ
7.ヴィクトワールピサ牡356武豊-G1皐月賞

勝ったワークフォースは、09年9月に7ハロンのデビュー戦を優勝。2戦目は2010年5月のG2ダンテS.で、のちに愛ダービーを勝つケープブランコ(凱旋門賞16着)から約3・1/4馬身差2着でした。その次走G1英ダービー(過去記事)では、ラムタラのコースレコードを1秒近く上回るコースレコードで優勝。しかし4戦目キングジョージでは1番人気に押されたものの、11馬身差で圧勝したハービンジャーから17馬身はなされる5着(6頭立て)に終わっていました(過去記事)。凱旋門賞を勝って、通算5戦3勝2着1回。G1競走2勝。

ワークフォースは、父キングスベスト×母父サドラーズウェルズの血統です。キングスベストの父がキングマンボだから、キングマンボ×サドラーズウェルズのエルコンドルパサーとかなり似た配合であり、そんな血統のワークフォースが、当時エルコンドルパサーでコンビを組んで凱旋門賞に挑んだ二ノ宮調教師と蛯名騎手との前に立ちはだかったというのも歴史の妙というか・・。

また、ワークフォースはキングジョージで予想外の惨敗して以来、調教はこなしていましたが「状態を観察するため」として出走しておらず、そもそも8月ごろに「今年はもう出走しない可能性も」というような話を聞いた覚えもあるのですが、直前の9月30日(木曜日)になって凱旋門賞に向かうことが正式に表明され、そして凱旋門賞に出走すると見事に勝ちきるという驚くような結果になりました。

今年の凱旋門賞に出走した日本馬2頭は、宝塚記念以来ぶっつけで挑んだディープインパクトなどの結果を経て、現地で1戦使ってから挑むという万全の準備をしていたにもかかわらず、こんなローテーション(失礼)で出走したワークフォースにわずかに先着されるという結末に。ワークフォースは月曜時点で調教は良かったようですが、イマイチ納得がいかない。しかし差し返そうとしたフェスタを振り切ったレース振りは本当に強く脱帽するしかないです。


日本馬2頭について
フォア賞に続き2着を確保したナカヤマフェスタは父ステイゴールド譲りの海外遠征上手なのかも。あとステイゴールドはサンデーサイレンス系の中ではスタミナ系に分類できるし、ナカヤマフェスタの母母父が欧州を席巻するデインヒルというのも血統的に向いた印象があります。

また成績的に、京成杯、セントライト記念、宝塚記念という、東京や京都のG1競走に関連性があまり無いレースで活躍した馬が凱旋門賞で2着だったというのも今後の日本馬が遠征するときのポイントかと。凱旋門賞は直線でバテた馬をさばきながらじわじわとポジションを上げていき、最後の1ハロンぐらいで末脚を爆発させるのが勝利のセオリーのように見えますが、中山や阪神内回りで強い馬の、坂を上がって最後の100mで鋭く末脚を伸ばせる特徴が凱旋門に向くのかなと。ナカヤマフェスタの宝塚記念はそんな感じのレースでしたしね。

G1レース1勝馬を連れて行くことにしたオーナーの英断が導いた2着は、日本の「普通の」強豪馬にとって、適性さえあれば凱旋門賞のタイトルが十分に手の届くところにあることを確認させるもので、日本競馬界にとって大きな財産になりそう。ナカヤマフェスタは来年も現役続行して春はドバイにも行く模様。また、凱旋門賞出走を検討されており、来年にも日本馬による凱旋門賞制覇を目撃することが出来るかもしれません。


一方、皐月賞馬ヴィクトワールピサは7着に終わりました。そもそも 2400mの距離や不良馬場は1-4着馬と比べれば適性を欠いたのは明らかだと思えるのですが、それでも、前哨戦ニエル賞でベカバッドにつけられた8馬身差を約4馬身差にまで詰め、さらに今年の愛ダービー馬や仏ダービー馬に先着しており、よく頑張ったと思います。この後はジャパンカップ直行ということで、2400mは不向きだと思いますが、健闘を期待したい。


最後に録画中継をしてくれた関西テレビに感謝。実は私、夕飯を済ませた後、ついつい寝てしまいまして、目覚めたのは凱旋門賞の生中継が終わったころ。愕然としましたが、1時間遅れぐらいの録画中継を関西テレビが 12時25分から地上波で行う予定なのを思い出したので、レースの結果・映像を見ないようネットやらを完全に遮断したうえで、関テレで凱旋門賞のレース映像を見ることが出来ました。当たり前だけど、関テレがレース放送前のスタジオで結果を述べたりしなかったおかげで、寝過ごしたにもかかわらず、生と変わらない興奮を味わうことが出来てホント良かったです。競馬で今年一番興奮した瞬間で楽しかった。

2010年10月8日金曜日

ディープインパクト産駒"Barocci"がフランスでデビュー

現地時間10月7日、フランス・サンクルー競馬場で行われた2歳新馬戦に父ディープインパクトバロッチ Barocci が出走し、1着から2馬身差の2着でした。

(追記:「ディープインパクト産駒 Barocci の仏デビュー戦を写真で紹介」でレースぶりを詳しく紹介しています)

海外競馬解説でおなじみ「世界の合田」こと合田直弘さんによると、バロッチは
父ディープインパクト産駒の日本産馬。フランスのヴィルデンシュタイン家が、所有する牝馬を日本へ送り、ディープを交配されて日本で出産。
合田直弘Official Blog: 欧州の父ディープインパクトより一部引用
調教師はエリー・ルルーシュで、今回騎乗したジョッキーは、短期免許で来日したこともあるアントニー・クラストゥス

レース前には仏スポーツ紙レキップが、「日本の競走馬で凱旋門賞にも出走したあのディープインパクトの産駒であるバロッチがプリンスビオ賞に出走予定、ディープインパクト産駒がフランスで走るのはこれが初めて」と報じるなど、バロッチは仏競馬界からも注目されていた模様。

プリンスビオ賞 Prix Prince Bio
サンクルー競馬場・芝1600m、未出走2歳牡セン
15頭立て、不良馬場
1着 Ziyarid C.ルメール 1分50秒00
2着 Barocci(2番人気)A.クラストゥス、2馬身差
3着 Durer(1番人気)C.スミヨン、ハナ差

馬場状態が悪く 1600m戦の勝ちタイムが1分50秒00ですから、サンデーサイレンス系ディープインパクト産駒であるバロッチには厳しかったかもしれません。それでも2着は確保し、フランスの2歳戦はこのサイトによると、11月中旬ごろまで重賞戦線があるので、2歳戦だけでもまだまだこれからなので注目です。

このレースは良血馬が多く、たとえば3着 Durer は、仏G1フォレ賞勝ち馬 Dedication と、仏グループレース2勝 Dunkerque の弟です。また6番人気13着だった Rock Climber は、G1仏2000ギニー(2009年)勝ち馬シルヴァーフロストの弟。9着 Mambonut(父キングマンボ)の母Nutcase は自身未勝利なものの、G3勝ち馬でマキャベリアンなどG1馬3頭の母でもある Coup de Folie の妹であり、さらに3代母がノーザンダンサーの母であるナタルマ。1着 Ziyarid の5代母は、2008年に無敗で凱旋門賞を制覇した7戦全勝の名牝ザルカヴァの4代母であるザーラです。


そしてバロッチはというと。バロッチの日本語の5代血統表はこちら。母バステットはフランスで準重賞1勝、G3で2着と3着が1度づつある。またバロッチの祖母 Benediction はオーストラリアの名種牡馬ザビールとの間に、G1メルボルンカップ(芝3200m)などオーストラリアの中・長距離G1競走7勝のマイトアンドパワーを生んでいます。バロッチもかなりの良血です。
母父ジャイアンツコーズウェイは現役時代G1競走5連勝を含むG1レース6勝を挙げた名馬。種牡馬としては、仏3歳クラシック2冠馬シャマルダルなど多数のG1馬を輩出し、世界中で産駒が大活躍しています。日本ではスズカコーズウェイやエイシンアポロンなど比較的短いところで産駒が活躍し、海外でも、レースの多くが2000mぐらいまでのアメリカはともかく、長距離レースもそろっているヨーロッパでもマイルから2000mぐらいまでで産駒が活躍していて、日本での産駒成績と同様距離に上限がある感じです(シャマルダルは仏ダービーが2100mに短縮された最初の年の勝ち馬)。

産駒がデビューしてまだ数ヶ月の父ディープインパクトの距離適性が不明なため、確かなことはいえませんが、バロッチは 2100mの仏ダービーならいけそうですが、2400mの凱旋門賞は難しそうな感じもします。でも大活躍できるよう応援したい。


バロッチの馬名の由来はおそらく、16世紀イタリアで活躍した画家のフェデリコ・バロッチと思われます。馬主のウィルデンシュタイン家は画商ですしね。

2010年10月3日日曜日

ゼニヤッタ、レディースシークレットS.を勝って19連勝

現地時間10月2日、米・ハリウッドパーク競馬場で牝馬限定G1レディースシークレットS.(オールウェザー8.5ハロン、約1700m)が行なわれ、昨年のBCクラシック勝ち馬ゼニヤッタ Zenyattaが勝ってとうとう19連勝達成、次走BCクラシックで米現代競馬史上初の20連勝を目指します。

19 Down, One Big One to Go for Zenyatta - BloodHorse.com

レディースシークレットS.で19連勝したゼニヤッタ
ゴール前で2着スイッチを交わすゼニヤッタ
レディースシークレットS.のレース映像。いつものとおり最後方で競馬するのがゼニヤッタ(動画予備1予備2)。


毎度毎度「今日は勝てないか」と思わせてから差しきるところがレースを見ていて楽しい。2着のスイッチ Switchは重賞2勝馬。強豪牝馬ブラインドラックがコティリオンS.に回ってくれたことでメンバーは楽でした。

ゼニヤッタはこの勝利でレディースシークレットS.3連覇。ヴァニティハンディキャップ、クレメント・L・ハーシュS.も3連覇しています。G1競走は13勝目。次走はブリーダーズカップ・クラシックの予定で、ティズナウ以来2頭目、牝馬としては初めての2連覇を目指します(昨年のゼニヤッタが牝馬初の勝利だったから当たり前ですが)。

上にリンクをはったブラッドホース誌の記事は「BCクラシックがゼニヤッタの最後のレースになる可能性がある」と紹介しています。ゼニヤッタがBCクラシックを勝てば無敗の20連勝。アメリカでのこれまでの記録はペッパーブライドの19連勝(ただしこの19勝はすべてニューメキシコ産牝馬限定戦)で、これを塗り替えることになります。引退レース?で達成できるか注目です。

ライバル候補は今度また記事にしようと思います。もちろんエスポワールシチーも出走予定です。

レッドディザイアは約1馬身差3着、フラワーボウル招待ステークスの結果

現地時間10月2日に行なわれた米G1フラワーボウル招待ステークス1着アーヴェイが2着チェンジングスカイを頭差差しきって、G1初勝利を挙げました。日本から出走したレッドディザイアは1番人気に押されたものの、2着から3/4馬身差の3着に終わりました。勝ちタイムは2分08秒54で、10ハロン(約2000m)のレースとしては遅め。極端なスローペースと前日までの雨のため重馬場だったことも影響し、過去20年で2番目に遅い時計でした。

レッドディザイアが出走したフラワーボウル招待ステークスのゴール前
フラワーボウル招待ステークスのゴール前、赤い勝負服がレッドディザイア

フラワーボウル招待S.のレース動画はこのリンク先本文中の VIDEO をクリックで見れます。

追記 YouTube はこちら

追記ここまで


レースは道中内で脚をためたレッドディザイアが最後の直線でいったん先頭に立ったものの、外から伸びてきたチェンジングスカイズに交わされ、さらにレッドディザイアとチェンジングスカイズの間を伸びたアーヴェイがゴール前で2頭を差しきって優勝しました。レッドディザイアは4着キーアタナに3馬身差つけています。

1着アーヴェイと2着チェンジングスカイズは2頭ともヨーロッパで競馬をしたあとアメリカに移籍。アメリカでの成績を見れば、レッドディザイアはもちろん5着シェアードアカウントや6着フォーエヴァートゥギャザーらと比べても格下ですが。イギリス産アーヴェイの父は欧州で重馬場を得意とするらしいデインヒルダンサー、母父がサドラーズウェルズ系インザウイングス、またアイルランド産チェンジングスカイズの父がサドラーズウェルズと欧州血統が上位に入り、レッドディザイアをのぞくほかの4頭は全頭アメリカ産馬であることを考えると、やはり渋った馬場が結果に大きく影響したと考えるのが妥当でしょう。


1,2着馬は8月以来の競馬、一方レッドディザイアは5月のヴィクトリアマイル以来でかつ日本からの遠征であることを考慮すると、前哨戦としては良い結果でした。レッドディザイアはこのあと11月5日のBCフィリーアンドメアターフに出走予定。ここには昨年の勝ち馬でほかに欧州G1競走4勝のミッデイ(G1計5勝)も出走予定で、フラワーボウル招待の結果を見ると、とりあえず良馬場で行なわれることを期待したい。

2010年10月2日土曜日

レッドディザイア出走、フラワーボウル招待S.の予想

レッドディザイアが出走するフラワーボール招待ステークスの出馬表が発表されたので、予想と展望を書いておこうと思います。レースはグリーンチャンネルで生中継(10月3日日曜、午前4:30-5:30、再放送は午前8:00-9:00)されるので、視聴時の参考にでもしてもらえればと思います。ネット中継は公式ではされないはずです。ただしHRTVという英語の有料サイトはあります。


フラワーボウル招待ステークス Flower Bowl Invitational S.(G1)
ベルモントパーク競馬場・芝10ハロン(約2000m)、3歳以上牝馬限定
総賞金50万ドル、1着賞金30万ドル
現地時間10月2日15時59分(日本時間10月3日午前4時59分)頃発走

馬番馬名英語性・齢斤量(kg)騎手
1ゴジップガールGozzip Girl牝454.8J.ルパルー
2レッドディザイアRed Desire牝454.8K.デザーモ
3チェンジングスカイズChanging Skies牝553.9J.ヴェラスケス
4タリップTarrip牝453.9R.マラージ
5アーヴェイAve牝453.9J.カステリャーノ
6フォーエバートゥギャザーForever Together牝654.8G.ゴメス
7シェアードアカウントShared Account牝453.9E.プラード
8キアターナKeertana牝453.9J.レスカーノ

◎レッドディザイア
○シェアードアカウント
▲フォーエバートゥギャザー
△キアターナ

まず馬場状態について、フラワーボウル招待が行なわれるベルモントパーク競馬場は、金曜の競馬開催が中止になるほどの風雨だったとの事。土曜は快晴のようですが、この季節それほど気温が上がるわけでもなく、おそらくかなり水分を含んだ馬場で行なわれるでしょう。


出走8頭のうちタリップ以外の7頭がグレード競走の勝ち鞍がある。G1勝ちがあるのは、レッドディザイアのほかに、ゴジップガールとフォーエバートゥギャザーのみ。ただしこの3頭とも今年は G1未勝利である。

ゴジップガールは09年の G1アメリカンオークス(2005年にシーザリオが制覇)勝ち馬。しかしそれ以降は調子を落としているのか、6戦して連対が無い。今年は3戦して、落馬、G3戦4着、G2戦6着の成績で、今はちょっと買えない。

フォーエバートゥギャザーは、レッドディザイアが出走予定のブリーダーズカップ・フィリードメアターフ(G1)を08年に優勝。09年の同レースは2・1/2馬身差3着。成績的にはG1を3勝した08年が明らかにピークで、6歳になった今年は重賞未勝利。前走G3グレンフォールズH.ではキアターナから4・1/2馬身差3着に敗れている。ただし今年もG1競走では2着1回3着1回で、それほど強くない相手にもころっと負けているが、強い相手に底力を試されるとまだまだ好走する感じがある。無視は出来ない。

シェアードアカウントは、前走のG1ダイアナS.で、米G1競走6戦4勝2着1回の強豪プロヴィソに頭差2着し、3着だったフォーエバートゥギャザーにハナ差先着。まだG1未勝利だが強くなっているのは明らかで、2番手評価。10ハロンが初めてであることと7月以来の出走がどうか、という懸念はある。

キアターナは8.5ハロンや9ハロンの重賞で2,3着が多かったが、前述どおり前走11ハロンのグレンフォールズH.でフォーエバートゥギャザーに4・1/2馬身差つけて優勝。2着には3・1/4馬身差つけた。重馬場が予想されるフラワーボウル招待では持ち前の先行力が生かせそう。指し馬のレッドディザイアと、ずぶくなっているっぽいフォーエバートゥギャザーにとってはスイスイ行かれると怖い。


レッドディザイアは。アメリカの芝路線はそれほどレベルが高いとは思われないし、実力はこのメンバーでは明らかに最上位で、重馬場と小回りに対応できれば、勝てると思うのですが。レッドディザイアは京都競馬場内回りの秋華賞を勝っているから小回りは大して問題ではないはず。あとは馬場状態を考えても位置取りだけですが、ここはあくまでBCのための前哨戦であり、さらに5月のヴィクトリアマイル以来の出走であることを考えると、力任せに勝ちきるような競馬をするかは疑問で、本命視は出来ても取りこぼす可能性も相当高いと思います。


タリップはステークス勝ちも無いので、気にするようなことは無いでしょう。ほかにヨーロッパで産駒が活躍する父デイヒルンダンサーのアーヴェイ、父サドラーズウェルズのチェンジングスカイは重馬場なら、血統的に注目です。

2010年9月29日水曜日

レイチェルアレクサンドラ引退

昨年の米年度代表馬レイチェルアレクサンドラ Rachel Alexandra の引退が発表されました。前走の G1 パーソナルエンスンステークス2着をもって競走馬としての生活を終え、繁殖に入るとの事。オーナーのジェス・ジャクスン氏が明らかにしました。引退理由は「3歳時の動きを取り戻せないから」ということです。

3歳だった09年には、牝馬としては1924年ぶりにプリークネスS.を制するなど、G1競走5勝(うち牡馬混合G1・3勝)、8戦8勝して圧倒的な力を示していたレイチェルアレクサンドラですが、オーナーの合成馬場嫌いのため、無敗の連勝を続けるもう1頭の名牝ゼニヤッタとの対戦も期待されたブリーダーズカップは回避(開催馬場のサンタアニタパーク競馬場では合成素材プロライドを使用)。ゼニヤッタは牝馬としては始めてBCクラシックに優勝しました。その後2010年4月にアップルブロッサムでゼニヤッタと対戦することが一時決まったものの、レイチェルは2010年初戦を2着に負けて、これも回避しました。結局レイチェルが引退したことでゼニヤッタとの対決はなりませんでした。

End of Rachel Alexandra's racing career - Racing Post

プリークネスS.優勝時のレイチェルアレクサンドラ(Getty Image)

ジャクスンオーナーは声明の中で、
「ご存知のように、レイチェルアレクサンドラは最高の調教をつんで我慢強く使われてきましたが、昨年のような動きを取り戻すことはありませんでした。」

「私は、私たちのチャンピオンホースを引退させ、今よりストレスの少ない生活を与えるべき時が来たと信じています。私たちは彼女を健康なまま引退させられることをとても嬉しく思っていますし、ケンタッキーに所有するわれわれの美しい牧場にとっても幸せなことです。」
とコメントしています。繁殖入り後は、ジャクスン氏が所有し 07年08年と米年度代表馬に輝いたカーリン Curlin(その父スマートストライク、ミスタープロスペクター系)が種付けされる予定だそうです。両馬とも米年度代表馬(エクリプス賞)に輝き、またプリークネスS.の勝ち馬であるというカップルです。


記事によると、今週はじめの調教を終えた直後は、G1ベルデイムS.(10月2日)に向かう予定で、そのあとはブリーダーズカップ・レディースクラシックが検討されていた模様ですが、使われないまま引退することになりました。


私の感想としては、昨年のブリーダーズカップ・クラシックでゼニヤッタとの対戦を逃げた形になった事で、けちが付いてしまったなと。オーナーは昨年BCが行なわれたサンタアニタが使用する合成馬場(ポリトラック、オールウェザー)が馬の健康のために良くないと考えていたようですが、多くの馬がダートに比べても問題なく走っている以上、そんなのは理由になってないので。さらに今年春に一時予定されていたアップルブロッサムでのゼニヤッタとの対戦も、レイチェルがニューオーリンズレディースS.を2着になった後、レイチェル側が回避したことで運の尽きたような気がします。根拠は無いですが勝負する機会があったのにそれを避けた結果として、牡馬相手に果敢に挑戦しG1競走3勝した3歳の頃より縮こまってしまった印象です。

ゼニヤッタはBCクラシックに優勝したあとも連勝を続け、現在18連勝中であり、次走予定のG1レディースクラシック(10月2日)および引退レースになるかもしれないBCクラシックも勝てばアメリカ競馬史上初の20連勝がかかるところまで来ていることが両牝馬の明暗をくっきり分けています。

ちなみに、ジェクスン氏の合成馬場嫌いは、競走馬の健康に悪影響を与えるという彼の持論のほかに、自身の所有する名馬カーリン(07年ジョッキークラブ金杯、BCクラシック、08年ドバイワールドカップなど優勝)が、引退レースだった08年のBCクラシック(この年もサンタアニタパークで開催)でヨーロッパ芝路線から遠征して来た2頭にワンツーを決められるなどして4着に敗れたことをきっかけに拍車がかかったような気がします。ジェクスン氏にこの経緯があることも、レイチェルvs.ゼニヤッタから逃げたような印象を強めています。同時にサンタアニタ競馬場の合成馬場が従来のダートに戻るかもしれない(決定したかも?)というアナウンスが最近あったばかりなのがなんとも皮肉です。


20馬身差で圧勝したケンタッキーオークスのレース動画



レイチェルアレクサンドラとは
(戦跡。19戦13勝2着5回。レース名リンク先は、過去記事かYouTubeです)
レイチェルアレクサンドラは09年、3歳牝馬G1ケンタッキーオークスを20馬身差で優勝したあと、現在のオーナーグループが買収。次走に米牡馬クラシック第2弾プリークネスS.を選び、ケンタッキーダービー馬マインザットバードを1馬身差2着に負かして、牝馬としては1924年以来となるプリークネスS.優勝を成し遂げました。このときはレイチェルの主戦騎手であるカルヴィン・ボレル騎手が、ケンタッキーダービーでコンビを組んでいたマインザットバードではなく、レイチェルアレクサンドラのほうを選んだことも話題になりました。


その後は牝馬限定G1マザーグースS.を19馬身差で再び圧勝して、牡馬相手のG1ハスケル招待H.に出走すると、同年のベルモントS.馬サマーバードに6馬身差をつける楽勝。サマーバードは後にBCクラシックで米ダート路線を使われてきた馬としては最先着となる4着に入っていました。

次走は古馬牡馬相手となる9月のウッドワードS.へ向かい、マッチョアゲインやブルズベイら古馬G1馬を相手にクビ差で優勝しました。「冬から使い続けだったから」との理由で09年はこれを最後に休養に入りました。ブリーダーズカップ出走は先述どおり、サンタアニタ競馬場が合成馬場を使用しているから、という理由で最初から考慮にされず。


2010年になると、09年のBCクラシックで牝馬としては初めて同競走を優勝し14連勝を記録していたゼニヤッタ Zenyattaとの初対戦が、アップルブロッサム招待S.で行なわれることが決定しました。しかし、あくまでそのためのステップレースとして選んだはずのニューオーリンズレディースS.で米ダート競走初出走のザルダナに敗れ、翌日ゼニヤッタとの対戦を回避することが発表されました。

その後は、牝馬限定G2ラトロワンヌS.でアンライヴァルドベル(後に2走連続牝馬G1競走2着)の2着した後、牝馬G2フルールドリスH.を10馬身差で優勝してウッドワードS.以来の勝利をあげ、(非グレードレース)レディーズシークレットS.も勝って連勝しました。しかし最後のレースとなった8月29日の牝馬G1パーソナルエンスンS.では、08年に2歳牝馬G1・2着2回があるパーシステントリーに敗れていました。


レイチェルアレクサンドラの競走成績を列挙するとき、これで終わらなければならないのが残念でならない。たった1戦だけオールウェザーを我慢してBCを使い、ゼニヤッタと対戦していれば、仮にゼニヤッタに負けても、さらにその後のキャリアが現実と同じものだったとしても、もっと素直に受け入れられたような気がします。もちろん馬に罪は無いので、レイチェルにはお疲れ様でしたと言いたいです。

2010年9月27日月曜日

Bambera、Nellie Bly S.は取り消して火曜日のアローワンスに

9月26日にベルモントパーク競馬場で行われた Nellie Bly S.に出走予定だった Bambera は出走を取り消しました。現地時間28日火曜日にデラウェアパーク競馬場・ダート1700mで行なわれるアローワンス戦に出走予定です。

2010年9月26日日曜日

G1クイーンエリザベス2世ステークスはゴールドティアラの半弟 Poet's Voice がハナ差勝利

現地時間9月25日に行われた英G1クイーンエリザベス2世ステークスは、日本で活躍したゴールドティアラの半弟で3番人気の ポエツヴォイス が、前年の覇者で2番人気リップヴァンウィンクルをハナ差抑えて勝利。これが G1 初優勝です。

今年のクイーンエリザベス2世ステークスのレース映像は YouTube に見つからないので、このリンクから見てください。アスコット競馬場の公式サイトの動画ページに移動し、再生が始まります。


クイーンエリザベス2世ステーク
Queen Elizabeth II Stakes (Sponsored By Sony)

アスコット競馬場・芝1マイル(約1600m)、3歳以上
馬場状態(ちょっと柔らかめ、Good To Soft )、8頭立て

1. ポエツヴォイス Poet's Voice
2. リップヴァンウィンクル Rip Van Winkle
・・・
5. マクフィ Makfi
Frankie Dettori and Poet's Voice after winning Queen Elizabeth II Stakes
クイーンエリザベス2世ステークスを優勝したポエツヴォイスとフランキー・デットーリ
今年の英2000ギニーとジャック・ル・マロワ賞とのふたつのG1を勝っている 1番人気マクフィはまったく伸びを欠き5着に敗れました。

2着リップヴァンウィンクルは昨年のこのレースの覇者。去年はマイルG1競走2勝を上げましたが、今年はマイルG1で2着2回と惜しい結果が続いています。次走はマクフィと同じくBCマイルに向かう可能性が高い。リップヴァンウィンクルが昨年このレースを制したときの映像はこちら(YouTube)。リップヴァンウィンクルの成績や前走G1英インターナショナルS.優勝についての記事はこちら

勝ったポエツヴォイスはマクフィと同じドバウィの初年度産駒。ドバウィはクイーンエリザベス2世S.2着を最後に引退していましたが、見事に父の借りを返したことになります。昨年は2歳G2を制していましたが、仏2000ギニー8着など今年の春はイマイチに終わりました。前走は1マイルのG2セレブレーションマイルを4・1/2馬身差で快勝し復調した様子を見せていました。


ポエツヴォイスの母は、日本のダート重賞で活躍したゴールドティアラの母でもあるブライトティアラ Bright Tiara(その父チーフズクラウン)。ゴールドティアラは父シーキングザゴールドでしたが、ポエツヴォイスの父ドバウィはシーキングザゴールドの孫であり、かなり近い血統ですね。


マクフィが女傑ゴルディコヴァを退けG1競走2勝目を挙げたジャック・ル・マロワ賞のレース映像などはこの記事をどうぞ。

2010年9月24日金曜日

Bambera バンベラ、アメリカ4走目は Nellie Bly S.

ベネズエラからアメリカに移籍した牝馬バンベラ Bambera のアメリカでの4走目が、9月26日(日)に行われる Nellie Bly S. ネリーブライステークス に決まりました。米デビュー戦以来、3走ぶりのダート戦です。


ネリーブライS.は、ベルモントパーク競馬場・ダート8.5ハロン(約1700m)、3歳以上牝馬限定の条件で行われます。

バンベラを含む8頭立ての予定で、過去の実績は Don't Forget Gil ドントフォゲットギル が優れている。09年春に、
G3 フロリダオークス優勝
G2 カムリーステークス2着
G1 CCA オークス2着
などがあります。ただ、最近は調子を落としていて、今年2月にウェイワードラスS.を勝って以来、勝ち星は無し。むしろ Our Khrysty、Banker's Buy、Southern Accents あたりが、ステークス戦の好走歴が最近あって、ネリーブライS.の上位候補です。近2走は芝でのレースだったバンベラ、2走振りのダートで骨折明け3走目の今回はどんなレースが出来るでしょうか。


バンベラのベネズエラ時代の実績は、過去記事「ベネズエラ最強牝馬バンベラ、3月20日にアメリカで初出走」を、アメリカ初戦G3ランパートS.のレース映像は「バンベラ、北米デビュー戦敗れる、レース中に故障か」、2走目はこちら、3走目はこちら

2010年9月20日月曜日

レッドディザイアが出走するフラワーボウル招待S.の他の出走予定馬について

レッドディザイアが9月17日アメリカに到着しました。10月2日(日本時間10月3日早朝)のフラワーボウル招待S.を使った後、ブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフ(BCF&M、芝G1、チャーチルダウンズ競馬場芝2200m)に向かう予定です。

フラワーボウル招待S.は、BCフィリーアンドメアターフの主要な前哨戦のひとつで、過去5年の勝ち馬のフィリーアンドメアターフにおける成績は次のとおり。

馬名フィリー&メア着順
2009ピュアクラン2着(8頭)
2008ダイナフォース7着(10頭)
2007ラフドゥード1着(11頭)
2006ハニーライダー3着(10頭)
2005リスカヴァース13着(14頭)

BCの芝レースは欧州馬が優勝することが多い中で、この成績は立派といえるでしょう。というわけで、注目のフラワーボウル招待S.に登録している、レッドディザイア以外の13頭を紹介します。

各馬のこれまでの成績は、Equibase.com からです。重賞は特に記載が無い場合、牝馬限定のレースです。(英語OKの人はこちらから見たほうが早いです。)


ちょっと長くなりすぎたので、注目馬6頭には星2つ付けておきました。

★★アンタラ Antara (GER)
12戦6勝2着1回3着3回、4歳、血統表
父プラティニ、母父ジェネラルアセンブリー
馬主: ゴドルフィン
調教師: S.ビン・スルール
生産: Thomas Gehrig

重賞5戦【2-1-3-0】
1着
2009年ドイツ統一賞(独G3、3歳上牡牝混合、ホッペガルテン・芝2000m)
2010年プリンセスエリザベスS.(英G3、3歳以上、エプソム・9ハロン)
2着
2010年ジャンロマネ賞(仏G1、4歳以上、ドーヴィル・芝2000m)
3着
2010年ウインザーフォレストS.(英G2、4歳上、アスコット8ハロン)
2010年ナッソーS.(英G1、3歳以上、グッドウッド・芝10ハロン)

ドイツでデビューし、8戦目のドイツ統一賞で重賞初優勝。このあとゴドルフィンにトレードされる。移籍後初戦のプリンセスエリザベスS.に優勝。2走前ナッソーS.では勝ったミッデイから2・1/4馬身差3着、前走ジャンロマネ賞はスタセリタから頭差の2着に入った。ミッデイは昨年のBCフィリーアンドメアターフ勝などG1競走5勝、スタセリタはG1競走4勝で、どちらも今年のBCフィリーアンドメアターフの有力候補。というわけで本番でどれだけやれるかを見る上で物差し馬としては最適。


★エイヴ Ave
13戦4勝2着2回3着3回、4歳、血統表
父デインヒルダンサー、母父インザウイングス
馬主:スリーチムニーズレーシング
調教師: ロジャー・アトフィールド
生産: プランテーションスタッド

重賞7戦【1-1-2-3】
1着
2009年デニーコーデルフィリーズS.(愛G3、3歳以上、ゴールウェー・芝9ハロン)
2着
2010年ダンススマートリーS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・9ハロン)
3着
2010年ギャロレットH.(米G3、3歳以上、ピムリコ・8.5ハロン)
2010年ニューヨークS.(米G2、3歳以上、ベルモント・10ハロン)

09年まではイギリスのマイケル・スタウト厩舎所属。スリーチムニーズに購買され、2010年からはカナダのロジャー・アトフィールド調教師が管理している。前走の米G1ビバリーD.S.は9頭立て8着。愛G3を優勝し、他にも好走歴はあるが、相手もそれほど強くなくレッドディザイアにとっては格下の相手。


★カサブランカスマイル Casablanca Smile
15戦5勝2着5回3着2回、4歳、血統表
父オーシャンテラス、母父サドラーズコングレス
馬主: グリーンヒルズファーム
調教師: クロード・マゴーヒー
生産: HARAS EL SHEIK

米重賞2戦【0-1-1-0】
2着
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)
3着
2010年オールアロングS.(米G3、3歳以上、コロニアルダウンズ・芝9ハロン)

09年にG1ラスオークス(チリのオークス、10ハロン)、2010年1月にG1エルダービー(チリダービー、12ハロン)を勝つなどして12戦5勝としたあと、アメリカに移籍。チリ時代には他に12ハロンのG1戦で牡馬相手に2着、またG1チリ1000ギニーで2着などがある。アメリカでは上に上げた重賞成績のほかに、牝馬限定のワヤステークスにも出走して2着。前走G3グレンフォールズH.では、08年のBCフィリーアンドメアターフ勝ち馬フォーエバートゥギャザーに先着しているが、米G1では微妙に足りないような気もする。


★チェンジングスカイ Changing Skies
15戦4勝2着5回3着3回、5歳、血統表
父サドラーズウェルズ、母父シルバーホーク
馬主: スウェッテンハムスタッド
調教師: ビル・モット
生産: スウェッテンハムスタッド

重賞7戦【1-3-0-3】
1着
2010年ベリーワンS.(米G3、4歳以上、ガルフストリームパーク・芝11ハロン)
2着
2008年プシシェ賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝2000m)
2010年ビウィッチS.(米G3、4歳上、キーンランド・芝12ハロン)
2010年ニューヨークS.(G2、3歳上、ベルモント・芝10ハロン)

イギリスのスペンサー調教師の下でデビューし、08年に仏G3プシシェ賞で2着するなどした後、09年中ごろにアメリカに移籍。前走ワヤS.でカサブランカスマイルを負かしている。フラワーボウル招待S.に出走すればヨーロッパ時代も含めてG1初出走となるが、G1 ではきびしいか。


★★エクレアデルーン Eclair De Lune
10戦3勝2着2回3着1回、4歳、血統表
父マルシャンドサブル、母父アカテナンゴ
馬主: リチャード・ダチョソワ
調教師: ロナルド・マカナリー
生産: Th Kohler

重賞5戦【1-1-1-2】
1着
2010年ビヴァリーD.S.(米G1、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
2着
2010年モデスティH.(米G3、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
3着
2009年ノネット賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝10ハロン)

フランスでデビューしG1仏オークス8着などした後、アーリントンパーク競馬場のオーナーであるリチャード・ダチョソワに買われアメリカに移籍。前走の初G1勝ちを収めたビヴァリーD.S.というレース名は、ダチョソワ氏の亡き妻から取られたもの。ダチョソワ氏は4度目の挑戦で悲願を達成した。エクレアデルーンは2走前のモデスティH.で、米芝牝馬路線の主役だったダスカンイヴニングに頭差まで迫る好走を見せていた。また近2走は米G1勝ち馬でフラワーボウル招待S.登録もあるホットチャチャに2度続けて1・1/2馬身先着している。


★★フォーエバートゥギャザー Forever Together
24戦9勝2着5回3着7回、6歳、血統表
父ビロングトゥミー、母父リローンチ
馬主: Augustin Stable
調教師: J.シェパード
生産: White Fox Farm

重賞17戦【6-5-6-1】
1着
2007年フォワードギャルS.(米G2、3歳、ガルフストリームパーク・ダート7ハロン)
2008年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2008年ファーストレディーS.(米G1、3歳以上、キーンランド・芝8ハロン)
2008年BCフィリーアンドメアターフ(米G1、3歳以上、サンタアニタ・芝10ハロン)
2009年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2009年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2着
2007年ボーモントS.(米G2、3歳、キーンランド・ポリトラック7ハロン)
2007年ジャストアゲームS.(米G1、3歳以上、ベルモントパーク・芝8ハロン)
2009年カナディアンS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・芝9ハロン)
2010年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年ゲームリーS.(米G1、3歳以上、ハリウッドパーク・芝9ハロン)
3着
2008年ジャストアゲームS.(米G1、3歳以上、ベルモントパーク・芝8ハロン)
2008年カナディアンS.(加G2、3歳以上、ウッドバイン・芝9ハロン)
2009年ファーストレディーS.(米G1、3歳以上、キーンランド・芝8ハロン)
2009年BCフィリーアンドメアターフ(米G1、3歳以上、サンタアニタ・芝10ハロン)
2010年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)

デビューして3連勝でG2フォワードギャルS.に勝ち、初重賞制覇。8戦目まではダート(うち1戦はポリトラック)を、以降は芝のレースを走っている。08年BCフィリーアンドメアはアタマ差での勝利。09年はミッデイから2・1/2馬身差3着。芝では16戦して【6-4-6-0】と3着以内率100%。今年は1勝もしておらず、以前よりは力が衰えているようだが、実力馬の1頭であり、常に上位に来る安定感は、アンタラと並んで物差し馬としては最適。


★ゴシップガール Gozzip Girl
13戦5勝2着1回、4歳、血統表
父ダイナフォーマー、母父キングマンボ
馬主: マイロン・ミラー
調教師: M.ウォルフソン
生産: ストーンストリートサラブレッド

重賞9戦【3-1-1-4】
1着
2009年ヒアカムズザブライドS.(米G3、3歳、ガルフストリームパーク・芝9ハロン)
2009年サンズポイントS.(米G2、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年アメリカンオークス(米G1、3歳以上、ハリウッドパーク・芝10ハロン)
2着
2009年アッシュランドS.(米G1、3歳、キーンランド・ポリトラック8.5ハロン)
3着
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、キーンランド・芝9ハロン)

シーザリオが2005年に勝ったアメリカンオークスに優勝している。しかしそれ以降6戦して連対していない。今年は3戦して、落馬、G3戦4着、G2戦6着。アメリカンオークス時の調子を取り戻せるなら怖いがどうか。


★ホットチャチャ Hot Cha Cha
17戦6勝2着3回3着4回、4歳、血統表
父カクタスリッジ、母父ブロードブラッシュ
馬主: ネルソン・マクマキン
調教師: P.シムズ調教師
生産: ネルソン・マクマキン

重賞12戦【4-3-4-1】
1着
2009年ブルボネットオークス(米G3、3歳、ターフウェイ・ポリトラック8ハロン)
2009年パッカーアップ(米G3、3歳、アーリントン・芝9ハロン)
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、3歳、キーンランド・芝9ハロン)
2010年ミントジュレップH.(米G3、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)
2着
2009年アパラチアンS.(米G3、3歳、キーンランド・芝8ハロン)
2010年ディスタフターフマイルS.(米G2、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8ハロン)
2010年ビバリーD.S.(米G1、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)
3着
2009年リグレットS.(米G3、3歳、チャーチルダウンズ・芝9ハロン)
2009年アーリントンオークス(米G3、3歳、アーリントンパーク・ポリトラック9ハロン)
2010年ジェニーワイリーS.(米G2、4歳以上、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年モデスティH.(米G3、3歳以上、アーリントンパーク・芝9.5ハロン)

重賞で3着以内を外したのは1度だけ。とても安定して走っている。G1勝ちもあるが、最近2走はエクレアデルーンに2度続けて負けており、すこし分が悪い。10ハロンを経験したことが無く、血統的に距離延長は歓迎できるタイプでもないか。


★キーアタナ Keertana
19戦7勝2着5回3着4回、4歳、血統表
父ジョハー、母父ストームキャット
馬主: B.ハンター
調教師: P.プロクター
生産: B.ハンター

重賞8戦【2-2-3-1】
1着
2009年リグレットS.(米G3、3歳、チャーチルダウンズ・芝9ハロン)
2010年グレンフォールズH.(米G3、3歳以上、サラトガ・芝11ハロン)
2着
2009年レイクプラシッドS.(米G2、3歳、サラトガ・芝9ハロン)
2009年ミセスリヴィアS.(米G2、3歳、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)
3着
2009年ガーデンシティーH.(米G1、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年ヴァレーヴューS.(米G3、3歳、キーンランド・芝8.5ハロン)
2010年ミントジュレップH.(米G3、3歳以上、チャーチルダウンズ・芝8.5ハロン)

それほど強い感じでもなかったが、前走11ハロンのグレンフォールズH.では、2着カサブランカスマイルに3・1/4馬身差を、3着フォーエバートゥゲザーに4・1/2馬身差をつけている。父ジョハーが12ハロンのBCターフ勝ち馬であることが、距離延長に向いていたのかもしれない。10ハロンのここでも警戒は必要。


★★サンドバー Sandbar
7戦4勝3着2回、3歳、血統表
父オアシスドリーム、母父ヘルナンド
馬主: Lady O'Reilly
調教師: Francois Rohaut
生産: Petra Bloodstock Agency

重賞2戦【1-0-1-0】
1着
2010年クレオパトル賞(仏G3、3歳、サンクルー・芝2100m)
3着
2010年仏オークス(仏G1、3歳、シャンティ・芝2100m)

仏オークスでは1着サラフィナから3馬身差の3着。サラフィナはG1ヴェルメイユ賞で1着から1・1/2馬身差の3着だった。サンドバーの父オアシスドリームは、産駒が2007年にデビューすると、2009年にはアラクームがG1ムーラン・ド・ロンシャンを、ミッデイがG1ナッソーS.や BCフィリーアンドメアターフ、G1ヨークシャーオークスを、アルカノが仏G1モルニ賞を制しG1競走5勝を挙げるなど、絶好調の種牡馬。サンドバーも実力は確かなので、仏オークス以降出走はないが、出てくれば怖い。


★シェアードアカウント Shared Account
13戦5勝4着1回3着1回、4歳、血統表
父プレザントリーパーフェクト、母父スマートストライク
馬主: Sagamore Farm
調教師: G.モーション
生産: William A. Carl

重賞7戦【2-4-0-3】
1着
2009年レイクプラシッドS.(米G2、3歳、サラトガ・芝9ハロン)
2010年オールアロングS.(米G3、3歳以上、コロニアルダウンズ・芝9ハロン)
2着
2009年ヴァージニアオークス(米G3コロニアルダウンズ・芝9ハロン)
2009年ガーデンシティーH.(米G1、3歳、ベルモントパーク・芝9ハロン)
2009年クイーンエリザベスIIチャレンジカップ(米G1、3歳、キーンランド・芝9ハロン)
2010年ダイアナS.(米G1、3歳以上、サラトガ・芝9ハロン)

G2戦で2度大敗しているが、どちらも3歳3月のことで、3歳7月に再び重賞戦線に戻ってきてからは、上のような良績をあげている。前走2着になったG1ダイアナステークスでは、欧州から移籍してからアメリカでG1競走を6戦し4勝2着1回のプロヴィソ Provisoに頭差で敗れたものの、G1初勝利が4歳のBCクラシックだった父のように、シェアードアカウントも着実に強くなっている様子がうかがえます。フラワーボウル招待S.は7月以来の出走になることと、これまで1800mまでしか走っていないことがクリアできるかが課題になりそう。BCフィリーメアアンドターフにも出走予定。


★★ストロベリーダイキリ Strawberrydaiquiri
10戦6勝2着1回、4歳、血統表
父ダンジリ、母父トラヴェリングヴィクター
馬主: Renata J. Jacobs
調教師: Sir. Michael R. Stoute
生産: Newsells Park Stud

重賞5戦【2-0-0-3】
1着
2010年ダリアS.(英G3、4歳上、ニューマーケット・芝9ハロン)
2010年ウインザーフォレストS.(英G2、4歳上、アスコット8ハロン)

上の2勝したときには、後にG1ファルマスS.2着するスペイシャスに2度、またG1ジャンロマネ賞2着、G1ナッソーS.3着することになるアンタラに1度先着しているのだが、ストロベリーダイキリはファルマスS.、ナッソーS.ともに4着だった。他に牝馬マイルG1サンチャリオットS.も4着で、G1はなぜか連対も出来ずにいる。

父ダンジリは、英G1キングジョージ優勝のハービンジャーを輩出しているが、どちらかというとフランスのほうが活躍馬が多く(凱旋門賞のレイルリンクなど)、また、上でも紹介した「欧州から移籍してからアメリカでG1競走を6戦し4勝2着1回のプロヴィソ Proviso」もダンジリ産駒であり、イギリスからアメリカの平坦なコースに替わる事はプラス材料ではある。


★★トリートジェントリー Treat Gently
15戦5勝3着4回、5歳、血統表
父ケープクロス、母父インザウイングス
馬主: ジャドモントファーム
調教師: ビル・モット
生産: ジャドモントファーム

重賞12戦【3-3-1-5】
1着
2008年マルレ賞(仏G2、3歳、サンクルー・芝12ハロン)
2010年シープシェッドベイH.(米G2、3歳以上、ベルモントパーク・芝11ハロン)
2010年ロバートG.ディックメモリアルH.(米G3、3歳以上、デルマー・芝11ハロン)
2着
2008年ロワイヨモン賞(仏G3、3歳、シャンティ・芝12ハロン)
2008年ノネット賞(仏G3、3歳、ドーヴィル・芝10ハロン)
2010年サンゴルゴニオ(米G2、4歳以上、サンタアニタ・芝9ハロン)
3着失格
2008年ヴェルメイユ賞(仏G1、3歳以上、ロンシャン・芝12ハロン)

08年ヴェルメイユ賞は3着入線も失格になった。しかし1着ザルカヴァ(2008年凱旋門賞)からは2・1/2馬身差、2着ダーレミ(2010年ドバイシーマクラシック1着)からは1/2馬身差に食い下がっていた。次走オペラ賞4着を最後にアメリカに移籍。移籍後は9ハロンを中心に使われたものの、フランスでの実績からはすこし期待はずれ。しかし、距離を伸ばして11ハロンを使うと3走前シープシェッドベイH.、2走前ロバートG.ディックメモリアルH.と重賞を連勝した。前走9ハロンに戻ったビバリーD.S.はエクレアデルーンの5着。距離は長いほうが良いと思われ、フラワーボウル招待はともかく、11ハロンのBCフィリーアンドメアのほうが向くかもしれない。

2010年9月13日月曜日

ナカヤマフェスタ、フォワ賞2着で本番に向け視界良好

凱旋門賞の主要な前哨戦のひとつ、G2フォワ賞に出走したナカヤマフェスタは2着、凱旋門賞でも活躍が期待できそうです。フォワ賞のレース結果とレース映像は以下から。

フォワ賞 Qatar Prix Foy
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時45分、日本時間午後11時45分発走

レース動画は YouTubeから。スタートからすこしして先頭に立つ白い勝負服が勝ったダンカン。2着ナカヤマフェスタは赤い帽子。


RPR はレーシングポスト誌算出のレーティングで、レース前時点でのもの。
着順馬番枠番馬名英語表記騎手着差RPR
153ダンカンDuncanW.ビュイック2分35秒90135
231ナカヤマフェスタNakayama Festa蛯名正義3/4133
342ティモスTimosC.スミヨン1125
415バイワードBywordM.ギュイヨンクビ差138
564ダリャカナDaryakanaC.ルメール2・1/2130
626シンションChinchonO.ペリエ1・1/2127

スローペースを逃げて、いったんはナカヤマフェスタに差されたものの、差し返して勝ったダンカンはこれが重賞初制覇。2走前の英G2ハードウィックS.では、のちにキングジョージを11馬身差で圧勝するハービンジャーが直線でグングン伸びるところをただ1頭付いていき、ハービーンジャーからは位置取りの差もあって3馬身差をつけられるが、3着には6馬身差をつけていた。(レース映像、2分45秒頃から)。前走8頭立てのG3グローリアスステークス(レース映像)は、後方から追走した3頭が上位を独占する厳しい競馬を、4番手で競馬して、直線では狭くなり後退する場面もありながら4着。5歳になった今年、ようやく一皮むけた感のある馬で、フォア賞のように展開に恵まれれば、重賞を勝ってもおかしくないかと。


一方レース前には気性の激しいところを見せ、スタート直後はかかるように先頭に立ったナカヤマフェスタも、道中では落ち着きを取り戻し、最後はしっかり伸びて、2着確保。最後は差し返されたが、楽な展開だった逃げ馬との差はしっかり詰めてゴールできたし、4着のG1馬バイワードに匹敵する末脚を見せた上々の結果で、本番でも期待できそう。また Soft 発表の重めの馬場にも苦しそうな様子は見せず、良馬場の方が良いだろうとは思うものの、凱旋門賞でも馬場状態に左右されずに結果を出せそうなのもよかったなと。


凱旋門賞でライバルになりそうなのは、有力そうな順に、
  • ニエル賞の1,2着馬ベカバッドとプラントゥール
  • 昨年の愛ダービー馬で、今年G1コロネーションカップ勝ちなど5戦4勝G1・2勝のフェイムアンドグローリー
  • 昨年まで3戦連続凱旋門賞2着で今年も好調なユームザイン
  • それぞれ今年の英ダービー馬ワークフォースと愛ダービー馬ケープブランコ
あたりでしょう。

ダンカンも侮れないかもしれない。ちなみに昨年のBCフィリー&メアターフ勝ち馬で、今年牝馬G1・3連勝中、ニエル賞の前に行われたG1ヴェルメイユ賞(ロンシャン・芝2400m)勝ち馬ミッデイは、凱旋門賞には向かわずBC直行の模様。ヴェルメイユ賞2着のプルマニアは古馬G1サンクルー大賞でユームザインを破って優勝しており、これも出てこれば注目したいですが、どうするか不明。


ナカヤマフェスタは重めの馬体だったとのことで、前哨戦を叩いて万全の状態に持っていき、何とか日本馬初の凱旋門賞制覇を達成してもらいたいです。

ヴィクトワールピサは4着、ニエル賞のレース結果

ヴィクトワールピサが出走したニエル賞のレース結果とレース映像です。

ニエル賞 Qatar Prix Niel
ロンシャン競馬場・芝2400m、3歳限定G2
現地時間9月12日午後3時15分、日本時間午後11時15分の発走

勝ったベカバッドは緑の(08年凱旋門賞馬ザルカヴァと同じ)勝負服。2着プラントゥールは道中2番手追走の白い帽子、青い勝負服。



着順馬番枠番馬名英語表記騎手着差
112ベカバッドBehkabadC.ルメール2分30秒80
236プランテュールPlanteurA.クラストゥス頭差
357キッドナッピングKidnappingC.スミヨン4馬身
473ヴィクトワールピサVictoire Pisa武豊4馬身
525シャマルガンShamalganI.メンディザバル3馬身
664アプレヴーAprès VousM.ギュイヨン大差
741ヴィヴレリーブレVivre LibreS.ファルジャ6馬身


勝ったベカバッドは仏ダービー(芝2100m)4着のあと、G1パリ大賞典(ロンシャン競馬場・芝2400m)でプランテュールに3/4馬身差をつけて快勝していた。今回のニエル賞ではプラントゥールに頭差と、実力は接近しているが、それでも2度続けて本番・凱旋門賞と同じ舞台のロンシャン・芝2400mで連勝したのは大きい。プランテュールも仏ダービー3馬身差2着、パリ大賞典2着、ニエル賞2着と惜敗続きだが、やはり本番でも警戒が必要でしょう。

仏ダービーが2100mに距離短縮された2005年、パリ大賞典は2000mから2400mに延長され、2006年の勝ち馬レイルリンクは、続くニエル賞、凱旋門賞を連勝している。


ヴィクトワールピサは直線に入ってから、先に抜け出したプランテュールとベカバッドに楽な手ごたえでほぼ並び、そのまま突き抜けるようにも見えたが、いざ追われてからあまり伸びず、さらにはキッドナッピングにも4馬身離されて4着でのゴール。武豊騎手は「走り自体はよかったと思うが、最後は息切れした。レース間隔が空いていたのと、環境の違いで馬がのんびりしていたかな」とレース後に語っています


凱旋門賞は過去10年で8頭の3歳牡馬が連対、うち6頭はニエル賞経由で、そのうちの5頭はニエル賞を勝って凱旋門賞に出走しています。残りの1頭であるバゴもニエル賞では1馬身差3着だったものの、その2走前に当時2000mだったパリ大賞典を優勝しており、ロンシャン中距離での実績は十分でした(ニエル賞の次走、凱旋門賞優勝)。ヴィクトワールピサにとってかなり不利な状況ですが、このデータを跳ね返して本番では優勝してくれるよう期待します。

2010年9月12日日曜日

Bambera、米移籍3戦目は3着

ベネズエラからアメリカに移籍したバンベラ Bamberaが、現地時間9月11日、米・デラウェアパーク競馬場で行われた George Rosenberger Memorial S.に出走しましたが、3着でした。

レース映像は以下から(予備1予備2、いずれもYouTube)。道中2番手追走がバンベラ。


George Rosenberger Memorial S.
デラウェアパーク競馬場・芝1700m、3歳以上牝馬限定、9月11日第11レース
2010年にデラウェアパークで出走経験がある(ステークス以上は除く)ことが条件

10頭立て8番人気ながら見事に逃げ切って勝ったドメスティックブリス Domestic Blissは、この勝利で通算14戦4勝2着3回3着4回。ステークスは初優勝。前走、ペンナショナル競馬場のロシアンリズムS.は先行馬に厳しい競馬だったが、逃げ粘って3着していた。

2着アクイテイン Aquitaineはステークス競走に初出走。ダート・オールウェザーでは結果が残せていなかったものの、芝替わりのメイデン⇒クレーミング⇒アローワンスと3連勝中で、ここは2番人気でした。今回の George Rosenberger S.は、1,3,4着が道中1,2,3番手と先行決着でしたが、アクイテインは後方から追い込んでの2着で、良く走りました。

で、注目のバンベラは1番人気での出走。先行力は前走同様見せてくれましたが、最後は逃げ馬に離され、後方からも差しきられて3着。骨折明け2戦目とはいえ、このメンバーで負けるのは、ベネズエラでの実績からすると関係者やファンにとっては期待はずれでしょう。ここ2走は芝を使っているので、まだ大事を取っているのでしょうが。次走はまだ不明です。


バンベラのアメリカでの2戦目については、過去記事「Bambera、アメリカ2走目は2着」でレース動画ともに紹介しています。

愛セントレジャー、ポップロックは最下位

現地時間9月11日にアイルランド・カラ競馬場で行われたG1アイリッシュセントレジャーに、日本からアイルランドに移籍したポップロックが出走しましたが、8頭立て最下位に終わりました。

愛セントレジャーのレース映像は At The Racesで見れます(英語サイト、無料ですが要登録)。
2010年愛セントレジャーのレース映像 - At The Races
ポップロックが勝ったアイルランド初戦のレース動画 - At The Races
YouTube だとこちら。(すぐ消されるかも)

アイリッシュセントレジャー Irish St. Leger
カラ競馬場・芝14ハロン(約2800m)、3歳以上G1

着差はひとつ前の馬との着差です。
着順馬名英語名(血統表)騎手斤量(kg)着差
1サンズフロンティアズSans Frontieresペリエ(62.1)3分10秒30
2プロファウンドビューティProfound Beautyスマレン(60.8)3/4
3フライングクロスFlying Crossムルタ(57.1)1・3/4
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8ポップロックPop Rockベリー(62.1)27

ポップロックは1着から約50馬身差離された最下位に終わりました。道中は先頭から6-10馬身ほど離れた最後方を追走、直線手前でベリー騎手が仕掛け始めてもポップロックは反応せず、直後にベリー騎手がポップロックの左後肢の状態をうかがう様子を見せて追うのを止めました。

追記
以上があったのは右前脚で、浅屈腱炎だそうです。(参考
追記ここまで


勝ったサンズフロンティアズは、7月に芝12ハロンのG2プリンセスオブウェールズS.を勝って重賞初優勝すると、前走8月のG3ジェフリーフリーアS.(芝・約2670m)も勝って、愛セントレジャー前までグループレース2連勝中でした。3走前のG2ハードウィックS.(芝12ハロン、4着)で初めて芝2000m以上のレースを使ってから快進撃で、とんとん拍子でG1のタイトルを手にしました。

さらに距離延長となったこの舞台で、父ガリレオ(その父サドラーズウェルズ)×母父シャーリーハイツの欧州クラシックディスタンスを中心におなじみの配合が花開いた感があります。2着のプロファウンドビューティも母母父にサドラーズウェルズ、3着フライングクロスも父サドラーズウェルズで、また馬場状態(Yielding To Soft)を考えると、ポップロックは故障がなくてもあまり向かなかっただろうなと思います。


サンズフロンティアズはこの後、オーストラリアに遠征して、G1メルボルンカップへ向かう模様。メルボルンカップは2006年にデルタブルースとポップロックの日本馬2頭が1,2着したレースです。

ポップロックの故障の状態は不明。ベリー騎手が追うのを止めたといっても、ゴール板までの数百メートルは普通に走っていますから、それほど重い怪我ではないと思うのですが。

2010年9月11日土曜日

ナカヤマフェスタが出走するフォワ賞(フォア賞)のほかの出走馬について

日本の4歳牡馬ナカヤマフェスタが現地時間9月12日、フランス・ロンシャン競馬場で行われる4歳以上G2フォワ賞に出走します。フォワ賞は、10月3 日に行われるG1凱旋門賞の前哨戦のひとつで、凱旋門賞と同コース・同距離で行われます。ナカヤマフェスタ以外の出走メンバーについて簡単に紹介します。

距離延長に対応できるならバイワードと、牝馬だけどダリャカナとの2頭がナカヤマフェスタにとって強敵です。ただしこのメンバーにあっさり負けるようだと、ナカヤマフェスタはトライアルより本番向きのタイプだとは思いますが、それでも凱旋門賞では厳しいかなと。

凱旋門賞公式サイト(フランス語。英語選択可)
フォワ賞の出馬表 - Paris Turf
フォワ賞の出馬表 | Racing Post(英語)

フォワ賞 Qatar Prix Foy
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時45分、日本時間午後11時45分の発走予定
ニエル賞・フォア賞はグリーンチャンネルで衛星生中継されます(JRAホームページ

ナカヤマフェスタ以外の成績はRacing Post などから。重賞(G1,G2,G3のグループレース)のみの成績です。馬名リンクは5代血統表へ移動します。RPR はレーシングポスト誌算出のレーティング。

馬番枠番馬名グループ競走成績RPR
31ナカヤマフェスタ Nakayama Festa133
42ティモス Timos4戦2着1回125
53ダンカン Duncan5戦2着1回3着1回135
64ダリャカナ Daryakana5戦2勝3着2回130
15バイワード Byword6戦2勝2着1回3着1回138
26シンション Chinchon13戦3勝2着1回3着3回127

1番ナカヤマフェスタは宝塚記念勝ち馬。ブエナビスタを負かしているから、ロンシャンの長い直線でも実力を発揮できるタイプなら、凱旋門賞でも勝負になると思うのだが。

2番枠ティモスは、5月のロンシャン・芝2400mのG3戦で、6頭立て5着。6月シャンティー・芝2200mのG2戦で2着。ただしG1メンバーがそろっているフォワ賞では厳しそう。

3番枠ダンカンは、主にイギリスで走っている。09年に英G1コロネーションカップで8頭立て4着があるが、メンバーが弱いG2、G3、リステッドでも勝ち鞍がない。ただし2走前、ハードウィックステークスでは、キングジョージ11馬身圧勝のハービンジャーの3馬身差2着に食い下がり、3着には6馬身差をつけているので、強いメンバー相手に好走するタイプかもしれない。

4番枠ダリャカナは、昨年末、ジャガーメイルが4着だった香港ヴァースを勝って5戦5勝とした。今年は3戦して牝馬G2コリーダ賞3着、G1サンクルー大賞3着(1着からクビ差)、G1キングジョージ6頭立て4着(1着から14馬身差)。サンクルー大賞とキングジョージではどちらもユームザイン(過去3年連続で凱旋門賞2着)からクビ差。というわけで結構強い。

5番枠バイワードは、今年になって本格化。5月にマイルG2でG競走初制覇。続くイスパーン賞(芝1850m)でゴルディコヴァに半馬身差2着。6月にG1プリンスオブウェールズS.(芝10ハロン)でG1初制覇。前走英G1インターナショナルS.(芝約2100m)は1着から1・3/4馬身差の3着。前走が自身最長距離で、2400mのレースはフォワ賞が初めてですが、距離さえ持つならダリャカナと並んでナカヤマフェスタの強敵になりそう。

6番枠シンションは、前走はアメリカに遠征して芝G1ユナイテッドネーションS.でG1初制覇。ただし英仏のレースではあまりたいしたこと無い相手のG3をやっと勝てる程度で、ここでは厳しいか。

2010年9月10日金曜日

ヴィクトワールピサが走るニエル賞(ニエユ賞)の出走メンバー概略

日本の3歳牡馬ヴィクトワールピサが現地時間9月12日、フランス・ロンシャン競馬場で行われる3歳限定G2ニエル賞に出走します。ニエル賞は、10月3日に行われるG1凱旋門賞の前哨戦のひとつで、凱旋門賞と同コース・同距離で行われます。ヴィクトワールピサ以外の出走メンバーについて簡単に紹介します。

ベガバッド、プランテュール、ヴィクトワールピサの三つ巴ですね(ヴィクトが向こうの環境・馬場に適応できているなら)

凱旋門賞公式サイト(フランス語。英語選択可)
ニエル賞の出走表 - Paris Turf(フランス語)
ニエル賞の出走表 | Racing Post(英語)

ニエル賞 Qatar Prix Niel
ロンシャン競馬場・芝2400m
現地時間午後3時15分、日本時間午後11時15分の発走予定
ニエル賞・フォア賞はグリーンチャンネルで衛星生中継されます(JRAホームページ

ヴィクトワールピサ以外の成績はRacing Post などから。重賞(G1,G2,G3のグループレース)のみの成績です。馬名リンクは5代血統表へ移動します。
馬番枠番馬名G競走成績
41ヴィヴレリーブレ Vivre Libre2戦0勝
12ベカバッド Behkabad4戦3勝
73ヴィクトワールピサ Victoire Pisa
64アプレヴー Après Vous未出走
25シャマルガン Shamalgan6戦2着1回3着2回
36プランテュール Planteur3戦1勝2着2回
57キッドナッピング Kidnapping2戦3着1回


1番枠ヴィヴレリーブレはG1フランスダービー22頭立て最下位、G1パリ大賞9頭立て最下位とまったくふるわず。同馬主で6番枠プランテュールのペースメーカー。

2番枠ベカバッドは09年9月にマイルG3優勝、2010年5月に1800mのG3勝ち。フランスダービーこそ4着に敗れたが、G1パリ大賞(ロンシャン競馬場・芝2400m)に優勝しており、フランス3歳牡馬では凱旋門賞最有力。パリ大賞は重馬場での勝利だったから、良馬場でも好走できるか見極めたい。

3番ヴィクトワールピサはG1皐月賞優勝、G1日本ダービー3着。

4番枠アプレヴーは、7月29日仏・クレールフォンテーヌ競馬場の芝2400mを5馬身差で勝ったばかりの1戦1勝馬。馬主マイケル・テイバー、調教師アンドレ・ファーブル。

5番枠シャマルガンは、フランス2000ギニー3着、仏ダービー11着。前走7月の3歳G2ユージーンアダム賞(芝2000m)はクビ差2着。ただしこのメンバーではすこし厳しいか。

6番枠プランテュールは、4月にノアイユ賞勝ち。このとき2着のリワイルディングは3着に5馬身差をつけており、のちにG1英ダービー3着、G2グレートヴォルティジュールS.4馬身差快勝している。プランテュールはノアイユ賞後、フランスダービー3馬身差2着、パリ大賞ではベカバッドに3/4馬身差に迫る2着と好走している。

7番枠キッドナッピングは、過去6戦はイタリアのレースに出走。09年に2歳G3グイドベラルデリ賞(芝1800m)3着、2010年にG2イタリアダービー6着。かなり馬場の悪かった伊ダービーは除くと、過去3戦はいずれも準重賞(リステッド)に出走して、芝2000mを 2馬身差1着、芝2000mを 2・1/4馬身差1着、芝2400mを 3・1/2馬身差1着している。