2011年6月5日日曜日

英ダービー、フランスのプルモワが優勝

現地時間6月4日に行われた英ダービーは、2番人気のプルモワが道中最後方、最後の1ハロンでも前に5頭いましたが、そこからぐんと伸びて2着に頭差の接戦を制して勝ちました。フランス調教馬としては1976年のエンペリー以来の優勝です。エリザベス女王の所有馬として注目された1番人気のカールトンハウスは惜しくも3着に終わりました。

追記: JRAは「プールモア」と表記しています。

2011年の英ダービーのレース映像。13番枠(画面向かって一番左)発走がカールトンハウス。勝ったプルモワは真ん中の7番枠発走。
YouTube - Investec Derby 2011

英ダービー(Investec Derby)
2011年6月4日、イギリス・エプソム競馬場・芝1m4f10y、約2423m
3歳牡牝、G1、13頭、Good To Firm、レース結果
着順馬名性齢
オッズ
騎手着差通算成績
主な成績
1プルモワ
Pour Moi
3牡
4/1
M.バルザローナ2分34秒545戦【3-0-1-1】
G2グレフュール賞1着(9頭)
2トレジャービーチ
Treasure Beach
3牡
25/1
C.ドノヒューアタマ7戦【3-3-1-0】
G3チェスターヴァース1着(5頭)
3カールトンハウス
Carlton House
3牡
5/2F
R.ムーア3/44戦【2-1-1-0】
G2ダンテステークス1着(6頭)

プルモワは昨年デビューし、2戦目で初勝利をあげシーズンを終えると、今年初戦のG3ラフォルス賞(ロンシャン競馬場・芝2100m、5頭立て)で1着から1・1/2馬身差の3着、つづく前走の仏G2グレフュール賞(サンクルー競馬場・芝2000m、YouTube)で 1・1/2馬身差1着となり初重賞制覇していました。2戦目から4戦連続でバルザロナ騎手とのコンビです。

■凱旋門賞を7勝などしているアンドレ・ファーブル調教師ですが英ダービーは今回が初優勝。「加速力に優れたとてもすばらしい馬です。抜きん出た末脚を(前走に続き?)2度見せてくれました。」「このレースを自厩舎の若いジョッキーと多くの人々の前で勝つことができて本当に嬉しいです。」(フランスの調教師が英ダービーを35年ぶりに勝ったことについて)「私の関心ごとではありません」と述べました。

弱冠19歳で英ダービーを勝ったミカエル・バルザローナ(Mickael Barzalona)騎手は「すばらしい。ほんとにすごいことです。フランキー・デットーリが15年かかったことを初騎乗で達成できた」「アンドレ・ファーブル調教師にとって初優勝であるというのが特に良かった」

バルザローナ騎手はこのレースでのムチの過剰使用で1日の騎乗停止、また決勝戦手前で立ち上がったことについて警告が出されています。(ゴール前のガッツポーズについて)「なぜそうしたのか分からない。自然とああなったのです」

プルモワはスー・マグナーの勝負服で走りました。夫のジョン・マグナーは「カールトンハウスの馬主が誰か別の人であったら良かったのにと思っています。アンドレはこの1週間ずっと自信を見せていました。彼は『この馬は(1997年の凱旋門賞馬)パントルセレブルよりも速い』と話していました。普段ならレースが近いと落ち着いていますが、彼はずっと自信があったのです」

オーナーの一人であるマイケル・テイバーは「センセーショナルな勝利でした。言うまでもなく勝ちたいと思っていましたが、もし勝てなかったとしたら、ぜひ女王の勝利を見たかった。」

ファーブル調教師は「凱旋門賞まで大事に使います。このあとは休養に入り、1走してから凱旋門賞を使うことになるでしょう」と述べました。

プルモワの父モンジューは2005年のモティヴェーター、07年のオーソライズドに続く、英ダービー3勝目です。

■からここまでほぼ Pour Moi storms to Derby success under Barzalona - Racing Postの翻訳


↓ これは叱られても仕方ない(笑)
Investec Derby: Mickael Barzalona stood up celebration

2着は今年初戦だった前走G3チェスターヴァース(チェスター競馬場・約2474m)を勝っていたトレジャービーチ(A.オブライエン調教師)。2歳時は5戦して2勝2着2回、唯一のグレードレース出走だった英G3ロイヤルロッジS.(1マイル)はフランケルから11馬身差の3着でした。トレジャービーチにとっては12ハロンぐらいの距離があうのでしょう。父ガリレオ、母父マークオブエスティーム(その父ダルシャーン)。プルモワが父モンジュー、母父ダルシャーンなので、1,2着はサドラーズウェルズ×ミルリーフというよく見かけるニックスで決着しています。

またプルモワの母母母 Royal Statute はラムタラの母母母でもあります。

プルモワの5代血統表
トレジャービーチの5代血統表


3着カールトンハウスは2歳時に2戦目のメイドン戦を9馬身差で勝つと、今年初戦、5月の英G2ダンテS.(レース映像)も勝ってここに望んでいました。エリザベス女王は英2000ギニー、英セントレジャー、英1000ギニー、英オークスとあわせてクラシック完全制覇がかかった1戦でしたが、勝てませんでした。鞍上のライアン・ムーア騎手も昨年のワークフォースに続く2連覇ならず。

カールトンハウスの5代血統表

カールトンハウスはドバイのモハメド殿下からエリザベス女王への贈り物です。以前に書いた文を再掲します。
エリザベス女王は2009年秋、ドバイの首長で大馬主としておなじみのモハメド殿下から代理人を通じて、持ち馬の Highland Glenを買い取らせてほしいと高額のオファーを持ちかけられたが、Highland Glen はゲート入りを嫌がる気難しいところを見せていたため、エリザベス女王は無料で譲ったそうです。シェイク・モハメドは息子のために手に入れたこの馬を、翌年ドバイで走らせ見事に1着になったことから、自家生産馬から自ら選んだ1歳馬4頭をお礼としてエリザベス女王に贈り、そのうちの1頭がカールトンハウスだったのでした。
エリザベス女王のカールトンハウスがダンテステークス優勝

ダンテS.で1・1/4馬身差2着のセヴィルが4番人気10着、G3で2勝し、英2000ギニーでも3着だったネイティヴカーンが5番人気5着、アガカーン殿下のヴァダマールは7人気7着、ゴドルフィンのオーシャンウォーは6人気11着でした。


2010年の英ダービーはワークフォースが優勝
英2000ギニーは無敗のフランケルが楽勝(レース映像あり)
英オークス、ダンシングレインが逃げ切り勝ち

0 件のコメント: