2012年2月16日木曜日

フランケル対ブラックキャビア戦の可能性を整理。実現するなら6月のクイーンアンS.が最有力だが

ソース:theage.com.au
超スローペースをきっちり折り合って初めての1400mも難なくこなしたことにより、ブラックキャビア Black Caviar が6月の英ロイヤルアスコット遠征で1マイル戦のG1クイーンアンS.に出走し、フランケル Frankel と対戦する可能性がわずかに出てきました。フランケル陣営が腹を決めて早めにクイーンアンS.出走を明言すれば実現するかもしれません。

ブラックキャビアのピーター・ムーディー調教師が前走2月11日のG1オーアS.後に「世界は彼女が支配している。パンドラの箱を開けたくは無いが、フランケルとの対決さえ可能だろう。(BHA英国競馬統轄機構が?)十分に大きなにんじんをぶら下げてくれれば私たちは考慮するかもしれない。そうなれば世界で最も優れた競走馬がどの馬かがはっきり決まる。」と述べ、オーナーの少なくとも一人も同様に考えているようで、ブラックキャビア陣営は条件次第で対フランケルを1マイル戦で構えるつもりです。

ムーディ師のコメントなどから対戦が成立する条件として
  • フランケルがクイーンアンS.に出走する(は当然として)
  • 賞金の増額
ことが最低でも必要になりそうです。

ところで Mahmoud さんが「勝った時の特別ボーナスを設けて、Frankelともども安田記念あたりに招待すれば盛り上がる」とコメントをくれたのですが、たしかに安田記念なら高額賞金と、両者からほぼ等距離の中立の地を用意できるわけで、JRAはロイヤルアスコットでの対戦が決まってしまう前に勧誘してほしいですね。提案するだけでも世界中の競馬ファンに喜んでもらえると思います。



さて、まずフランケルの予定について。フランケルの今年のスケジュールのうち、ほぼ確定しているのは次の2レースであり、ロッキンジS.で始動予定です。
  • 5月19日 G1ロッキンジS.(ニューベリー競馬場・芝1マイル)
  • 7月7日 G1エクリプスS.(サンダウンパーク競馬場・芝10ハロン)
フランケルがこの2レースの間に1走挟むならロイヤルアスコットになるでしょう。その場合、予定を早めて10ハロン戦に出走するなら6月20日のプリンスオブウェールズS.(今年が創設から150年目)、1マイル戦なら6月19日のクイーンアンS.です。

ただしフランケルのオーナーであるカリッド・アブドゥラ殿下のレーシングマネージャー、テディ・グリムソープ氏は「ロイヤルアスコットのどのレースに出るか、言明するには早すぎます。またクイーンアンS.の賞金が増額されるとしてもその決定にはほとんど影響しないでしょう。クイーンアンに出走するかもしれませんが、今年はあくまで10ハロン戦をこなすこと主に考えています。」と述べたようです。「10ハロン」について同じことを1月にも述べていました。

アブドゥラ殿下は昨年7月、フランケルの古馬初対戦だったG1サセックスS.後に「セシル調教師がそうしたいなら来年も現役として走らせます」と述べていたので、セシル調教師が対戦を決めれば殿下も承認すると思いますが、2月15日現在、セシル師のコメントはありません。



次に賞金についてですが、ダイヤモンドジュビリーS.とクイーンアンS.はほぼ同額で1着賞金15万ポンド(約1800万円)ほど。それよりブラックキャビアに関して重要なのはグローバル・スプリント・チャレンジ(GSC)と、豪G1パティナック・ファーム・クラシックに関するボーナスについてです。

ブラックキャビアがイギリス遠征でスプリント路線を走るなら
  • 6月23日 G1ダイヤモンドジュビリーS.(アスコット競馬場・芝6ハロン)
  • 7月14日 G1ジュライカップ(ニューマーケット競馬場・芝6ハロン)
の2戦を予定しています。クイーンアンに出走するならダイヤモンドジュビリーS.は出走し無いでしょう。

ブラックキャビアは2月18日の豪G1ライトニングS.に出走予定で、3月31日のドバイゴールデンシャヒーンに出走する可能性も高く、どちらも勝った場合、英スプリント2戦のうち、どちらかを勝てば GSC の100万米ドル(約7700万円)ボーナスを受け取る最低条件をクリアします。そのためクイーンアンS.に出走するなら、7700万円のボーナスがジュライカップの1戦に懸かってしまうことになります。


また GSC第9戦でもある豪G1パティナック・ファーム・クラシックにはオーストラリアで独自のボーナス(60万豪ドル、約5000万円)が設定されており、これは

1)パティナックファームクラシック勝ち馬が GSC対象競走のうちのひとつ(豪開催以外)を翌年7月31日までに勝利する
または
2)過去1年以内のグローバル・スプリント・チャレンジ(GSC)対象競走(豪開催以外)勝ち馬がパティナックファームクラシックを勝利する
という条件です。

ブラックキャビアは昨年パティナックファームクラシックを勝っています。ドバイで勝てば関係ないですが、ドバイで負けてクイーンアンS.に出走するなら、(1)のボーナスと、条件(2)の前半を満たす機会がこれもジュライカップの1戦に懸かってしまいます。

と、そういうわけでクイーンアンを選ぶなら、なんらかの保障というか賞金を増額して欲しいとブラックキャビア陣営が思うのも当然でしょう。

ただ賞金増額は2頭の対戦のためなら容易だろうし、最近だとアメリカの事例ですが、2010年にゼニヤッタと前年の年度代表馬レイチェルアレクサンドラとの対戦のため、米G1アップルブロッサム招待の総賞金が2頭の出走を条件に50万ドルから500万ドルに引き上げられたこともありました(レイチェル回避のため実現せず、元の50万ドルで施行)。



長くなりましたが、2頭の事情はこんなところです。まあ、6月と先の話ですから、他に対戦が実現しない理由としてブラックキャビアがドバイで惨敗した場合などいろいろと考えられますが、とりあえずいまはフランケル陣営の決定を待つ段階です。

そして、以前にムーディー師がたしか「イギリスで1200mを走るならオーストラリアで1400mは走っておきたい」というようなことを仰っていたと記憶していますが、クイーンアンに出走するなら4,5月にオーストラリア内で1600m戦にブラックキャビアを経験させておきたいとも考えるでしょう(1800m戦出走は無さそうですが)から、フランケルの決定も早いほうが良いですね。

なんとしても実現して欲しいですが、どうなりますか。


ブラックキャビアの次走、18日のG1ライトニングS.は8頭立ての予定で、G1・2勝、ブラックキャビアの2着3回があるヘイリストとは昨年5月のG1BTCカップ以来の対戦です。またG1クールモアスタッドS.でセポイに0.2馬身差まで詰め寄ったフォックスウェッジも出走予定。

フランケル Frankel
4歳牡馬。9戦9勝(7-8ハロン)
2011年度ワールドサラブレッドランキング1位
2011年カルティエ賞欧州年度代表馬
G1競走5勝(レーシングポストトロフィー、英2000ギニーセントジェームズパレスS.サセックスS.クイーンエリザベス2世S.

ブラックキャビア Black Caviar
5歳牝馬。18戦18勝(1000m-1400m)
2011年度ワールドサラブレッドランキング2位
2010-2011年度オーストラリア年度代表馬
G1競走8勝(パティナックファームクラシック2連覇、ライトニングS.、ニューマーケットH.、ウィリアムレイドS.、TJスミスS.BTCカップ、オーアS.)。

0 件のコメント: