2011年4月26日火曜日

天皇賞・春に出走予定のジェントゥーについて

今年の天皇賞・春にはフランス長距離G1競走2勝のジェントゥー Gentoo が出走します。日本の馬場適正が気になりますが、ジェントゥー は鋭い末脚を武器にしているだけに、意外と侮れないかもしれません。

ジェントゥー疲れ見せず体調良好/天皇賞 - 競馬ニュース : nikkansports.com
【天皇賞・春】~ジェントゥー(フランス)の調教状況 | ラジオNIKKEI

ジェントゥーは6歳だった昨年の4月までは下級条件を走り、33戦して【6-4-4-16】の成績で、この間、グループ(グレード)競走には一度も出走がありませんでした。快進撃が始まったのは昨年5月以降のことで、9戦して【4-5-0-0】とパーフェクト連対しています。特に3000m以上のレースに使われ始めると5戦して4勝2着1回という成績で、ステイヤーとして完全に開花しました。

通算39戦目の G3 Prix Gladiateur で初めて重賞挑戦および初めて 3000m以上のレースに出走するとこれを2馬身差で快勝、続くカドラン賞(4000m)ではほぼ最後方から直線鋭く抜け出し 2着に2・1/2馬身差をつけて G1初優勝(レース映像)、さらにロイヤルオーク賞(3100m)に出走すると、中団待機からきっちり差し切ってG1競走2勝目を挙げています(レース写真)。


今年は1走のみで、ロイヤルオーク賞以来となったリステッド(準重賞)Prix Right Royal(3100m)ではこれも後方待機から直線で追い込みましたが、ほぼ同じ位置から競馬をしたカスバーブリス Kasbah Blissを交わしきれず、3/4馬身差の2着に敗れています。カスバーブリスは2010年カドラン賞でジェントゥーの3着があるほかに、09年にはカドラン賞2着と香港ヴァースで3着(4着は日本馬ジャガーメイル)、また今年3月にG3ドバイシティーオブゴールド(芝2485m)で4着しているなかなかの実力馬です。カスバーブリスにとっては Prix Right Royal が今年2戦目で有利だったかもしれません。

フランスの長距離馬といえば昨年、フランスからオーストラリアに遠征し、オーストラリア競馬の祭典メルボルンカップに優勝したアメリカイン Ameicainがいますが、アメリケインは Prix Right Royal でカスバーブリスから 5・1/2馬身差6着でした。

勝ったアメリカインはフランスからの遠征馬で、8月の仏G2ケルゴルレイ賞を含む3000mレースを3連勝したあと、メルボルンカップを目指して渡豪。前走の豪G3ギーロンC(芝2400m)でも優勝していた。ほかに Prix Vicomtesse Vigier(仏G2、芝3200m、2009年)を勝ち、2008年には仏G3 Prix de Lutece(芝3000m)1位入線2着降着があるなど、3000mを超えるレースを得意としている。このあとは香港ヴァースに向かう模様。
2010年メルボルンカップのレース映像(日本馬トウカイトリック出走)

アメリカインはメルボルンカップ優勝の後、G1香港ヴァース(シャティン競馬場2400m)に出走し3着しています(日本からジャガーメイルが出走し4着、過去記事、レース映像あり)。



というわけでジェントゥーの実力は確かです。ただしジェントゥーが勝ったカドラン賞とロイヤルオーク賞はどちらも日本でいえば不良馬場で行われています。

3000m以上のレースにおける持ち時計は以下の通りです。
年/月/日距離馬場状態勝ち時計
10/06/27ハンデ戦3100Good To Soft3'15''50
10/09/12G33100Soft 3'34''10
10/10/03G14000Very Soft4'40''80
10/10/24G13100Soft3'36''00
11/04/08準重賞3100mGood To Soft3'22''80(+3/4馬身)

馬場状態は Racing Post の物を使用。上4レースは全勝、一番下のレースのみ 3/4馬身差2着なのでプラス0.1秒ぐらいでしょう。比較的馬場状態の良かった昨年6月に、61kgを背負って 3100mを3分15秒50(2着と短クビ差)で走っているのが最速です。また、前走 Prix Right Royal もマシな馬場状態でしたが、3100mのレースで3分22秒80の勝ちタイムでした。京都競馬場・外回りで行われ、良馬場なら上がり3ハロン33秒台も当たり前の天皇賞・春だけに切れ味が要求される展開になるとまだ未知数ではあります。それでもゆっくり追走して直線ではじけるように伸びるという天皇賞で良く見られる好走パターンはジェントゥーのレース振りと一致し、レースはしやすいでしょう。


ジェントゥーの血統表(英語)
父の父リアファンはロベルト系で、中山で行われた02年ジャパンカップ2着馬サラファンの父でもある。母の母の父レインボウクエストは天皇賞・春(96年)の勝ち馬サクラローレルの父としておなじみです。さらにジェントゥーの4代母 Bold Lady はサクラローレルの祖母であり、つまりジェントゥーの母母はサクラローレルと3/4同血です。

0 件のコメント: