2011年7月5日火曜日

スプリンターズS.、ブラックキャビアとロケットマンの頂上決戦に?(たぶんそうはならない)

1ヶ月前と比べて実現の可能性がすごく低くなっているとは思うのだけれども、この話題を取り上げないわけにはいかないのです。

Rocket Man to challenge Black Caviar at Nakayama and Flemington - www.thoroughbrednews.co.nz

シンガポールに所属する連対率100%のスプリンターで、今年ドバイゴールデンシャヒーンとクリスフライヤーインターナショナルスプリントと国際G1を2勝しているロケットマンが10月2日のスプリンターズステークス出走を検討されていると7月3日付の記事が伝えています。

Fred Crabbia オーナーは「ブラックキャビアが(スプリンターズステークスに出走するため)日本に行くと聞いたので、われわれも日本に行くつもりです」と述べています。ブラックキャビア陣営は6月3日、スプリンターズS.に出走する可能性を述べていました

ブラックキャビアはオーストラリアのみで走り13戦13勝、G1はいずれも楽勝の6勝という女傑。7月1日に発表されたワールドサラブレッドランキング(PDF)で、フランケルと並び130ポンドでランキングトップに立っています。またロケットマンは125ポンドでランキング6位であり、スプリント路線に限ればこの2頭がトップ2のため、スプリンターズS.に両頭が出走すれば世界中が羨むスプリント最強決定戦になるでしょう。


ただし私が実現可能性が低くなっていると思うのは、そもそもブラックキャビアがスプリンターズS.に出走する可能性が低くなっているからです。まず日程的に、当初は9月10日の G3 McEwen Stakes で復帰、その後の選択肢としてスプリンターズS.も含まれるということでした。しかし現在、短期休養を終えて調教を再開したブラックキャビアについて、先週の記事ではピーター・ムーディー調教師が復帰は10月中旬になるだろうと考えていることが報告されています。当然10月2日のスプリンターズS.出走の可能性はなくなり、記事中に12月の香港スプリントの名前はあってもスプリンターズS.はありません。

もうひとつの理由はブラックキャビア陣営が不満を述べていた豪G1パティナックファームクラシック(芝1200m)に関するボーナス条件が変更されたことです。パティナックFCはもともと外国馬誘致のため、グローバルスプリントチャレンジ(GSC)対象レース(豪開催除く)を勝った外国馬がパティナックFC も勝った場合、60万豪ドル(約5200万円)のボーナスを出す予定でした。クリスフライヤースプリントを勝っているロケットマンはボーナス対象馬ですが、ロケットマンのようにパティナックFC を狙う外国馬だけが高額ボーナスの対象であることにオーストラリアの強豪馬陣営が猛反発していました。ブラックキャビアがスプリンターズS.出走、つまりパティナック回避をちらつかせていたのはボーナス交付条件を変更させるためでありました。

VRC は6月28日、ボーナス条件を変更し、外国馬のみを対象としていた規定を取り除いています。また、過去1年に GSC レースを勝利していない馬がパティナックFC を勝利した場合、その後1年間(今年の勝ち馬であれば2012年7月31日まで)に豪開催以外の GSC レースを勝てば60万豪ドルのボーナスを出すという条件を付け加えています。GSC には香港スプリントや高松宮記念のほかに、イギリスで6,7月に開催される3つのスプリントG1も含まれており、ブラックキャビア陣営はもともと2012年のイギリス遠征の可能性を述べていました。これでブラックキャビア陣営にとって、シーズンはじめというリスクの大きい時期にスプリンターズS.を優先する理由はなくなりました。


と、そういうわけで2頭の対戦はぜひ実現して欲しいニュースですが、ロケットマンがスプリンターズS.に来る理由がブラックキャビアと対戦することだけであれば、ブラックキャビアがスプリンターズS.に来なさそうな現在ではロケットマンも来ないことになるので、最強2頭が来るはずが、どちらも来ないというひどい肩透かしになるかもしれません。

なお、パティナックFC のボーナス変更により、母父サンデーサイレンスで豪G1を6勝(1400m、1500mを1勝ずつ、1600mを3勝)のモアジョイアスもパティナックFCに出走する可能性があるといわれています。

ロケットマン (競走馬) - Wikipedia
ブラックキャビア - Wikipedia

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