6月3日に行なわれる安田記念に出走予定の香港馬
グロリアスデイズ Glorious Days (5歳セン馬)について紹介します。
「
安田記念出走外国馬(香港馬)の成績(2005年以降) 」で書いたように、好走条件にグロリアスデイズは当てはまっています。
香港の国際マイルG1を外国馬が制したのは、ハットトリックが香港マイルを勝った2005年が最後です。それだけレベルの高い香港マイル路線で、今年5月6日の国際G1チャンピオンズマイルはグロリアスデイズが2着、ラッキーナインが3着しました。
グロリアスデイズはニュージーランドでデビュー戦を勝ち香港へ移籍。条件戦を全て1番人気で4連勝し、重賞を3戦連続2着。通算8戦してパーフェクト連対中。重賞3走とも、昨年12月のG1香港マイル覇者エイブルワンに先着しています。グロリアスデイズは重賞未勝利馬ですがトップクラスで良績を残しており、全く侮れない相手です。
グロリアスデイズの成績(
JRA公式PDF 、
香港公式 )
通算8戦3勝【5-3-0-0】
年月日 レース名 着順/
頭数 馬場 勝ちタイム
(着差) 騎手
2011年
3月19日 ニュージーランド・新馬戦
テラパ競馬場・芝1200m 1着/11頭 G 1分09秒70
3馬身 V.コルガン
11月5日 クラス3(ハンデ戦)
香港シャティン競馬場・芝1400m 1着/14頭 GF 1分22秒57
3・1/2馬身 D.ホワイト
11月27日 クラス3(ハンデ戦)
香港シャティン競馬場・芝1400m 1着/14頭 G 1分21秒74
1・3/4馬身 D.ホワイト
12月17日 クラス2(ハンデ戦)
香港シャティン競馬場・芝1400m 1着/14頭 GF 1分22秒00
1・1/4馬身 D.ホワイト
2012年
1月25日 クラス1(ハンデ戦)
香港シャティン競馬場・芝1400m 1着/8頭 GY 1分22秒89
短アタマ D.ホワイト
3月4日 LG1クイーンズシルバージュビリーC.
香港シャティン競馬場・芝1400m 2着/11頭 G 1分21秒30
アタマ D.ホワイト
4月1日 LG2チェアマンズトロフィー
香港シャティン競馬場・芝1600m 2着/9頭 G 1分34秒43
クビ D.ホワイト
5月6日 G1チャンピオンズマイル
香港シャティン競馬場・芝1600m 2着/14頭 G 1分35秒23
1/2馬身 F.コーツィー
G=Good(良)、GF=Good To Firm(堅良)、GY=Good To Yield(稍重)
安田記念の斤量は58kg。グロリアスデイズのG1・2戦は約57kgでしたが、11月27日からの条件戦3戦は約59kgを背負って勝っています。
勝ちタイムを日本流換算値にする には1.4秒減じればOKと。表中のタイムは減らしていませんが、換算すると持ち時計は1400mで1分19秒9、1600mで1分33秒0ですね。次に述べるようにマイル2戦はペースが遅かったので、タイムを縮めることは可能だと思いますが。安田記念の過去4年の勝ち時計は次のとおりです。
2008年:1分32秒7
2009年:1分33秒5
2010年:1分31秒7
2011年:1分32秒0
重賞3走のラップと通過順位は次の表をご覧ください。1400mのクイーンズシルヴァージュビリーカップは前傾ラップ、マイル2戦はいずれも後傾ラップでした。特にチャンピオンズマイルは2004年以降でもっとも遅い前半800mです。安田記念は過去4年とも前傾ラップであり、グロリアスデイズがそのペースでもマイル戦をこなせるか試されたことがありません。
しかし東京競馬場の芝マイルが下って上るコース形態だから自然と前傾ラップになりやすいのだろうし、グロリアスデイズもシルヴァージュビリーカップで前傾ラップ戦を刻んでいるので追走すること自体は当然可能。また同レースの猛烈なハイペースを見ると安田記念のマイルなら持ちそうかなとは思うのですが、この辺はご自分で判断してください。
着順
馬名
1st Sec.
2nd Sec.
3rd Sec.
4th Sec.
クイーンズシルヴァージュビリーC.(1400m)勝ち馬から0.04秒差
-
レースラップ
13.16
34.39
57.50
1.21.30
-
区間ラップ
13.16
21.23
23.11
23.80
1
ラッキーナイン
13.36(3)
21.35(3)
22.91(3)
23.68(1)
2
グロリアスデイズ
13.72(8)
21.55(10)
22.55(6)
23.52(2)
チェアマンズトロフィー(1600m)勝ち馬から0.03秒差
-
レースラップ
25.11
48.49
1.11.68
1.34.43
-
区間ラップ
25.11
23.38
23.19
22.75
1
アドミレーション
25.47(4)
23.58(4)
23.15(4)
22.23(1)
2
グロリアスデイズ
25.67(6)
23.58(5)
23.11(5)
22.10(2)
チャンピオンズマイル(1600m)勝ち馬から0.08秒差
-
レースラップ
25.05
49.36
1.13.00
1.35.23
-
区間ラップ
25.05
24.31
23.64
22.23
1
エクステンション
25.25(3)
24.35(3)
23.56(4)
22.07(1)
2
グロリアスデイズ
25.61(7)
24.39(8)
23.48(9)
21.83(2)
3
ラッキーナイン
25.09(2)
24.39(2)
23.56(2)
22.36(3)
安田記念の過去4年
08
レースラップ
23.2
46.2
1.09.3
1.32.7
-
区間ラップ
23.2
23.0
23.1
23.4
09
レースラップ
22.6
45.3
1.09.5
1.33.5
-
区間ラップ
22.6
22.7
24.2
24.0
10
レースラップ
22.7
44.9
1.07.6
1.31.7
-
区間ラップ
22.7
22.2
22.7
24.1
11
レースラップ
23.0
45.4
1.08.2
1.32.0
-
区間ラップ
23.0
22.4
22.8
23.8
2012年クイーンズシルヴァージュビリーカップのレース映像。2頭いる緑の勝負服のうち、手前側の枠からの発走がグロリアスデイズ。以下同じ勝負服。
VIDEO
2012年チェアマンズトロフィーのレース映像
VIDEO
2012年チャンピオンズマイルのレース映像
VIDEO
グロリアスデイズの血統 (
5代血統表 、豪州産馬)
Hussonet Mr.Prospector Raise A Native
Gold Digger
Sacahuista Raja Baba
Nalees Flying Flag
San Century Centaine Century
Rainbeam
Sandarac Grosvenor
Sellou
父
ヒューソネット Hussonet はチリで00年から7年連続リーディングサイアーになり、2003年からはオーストラリアに移っています。G1馬は28頭、うちチリ産馬23頭、オーストラリア産馬4頭、アルゼンチン産馬1頭という内訳。チリ生まれの2頭は米G1も勝っています。
チリ時代の産駒G1勝ちは、ざっと見た感じではダートが芝より多そうかなというくらいで大きな偏りは無さそう。チリはダートG1の方が数レース多いからこれを反映しているだけでしょう。1頭は米G1ターフマイルS.(芝1マイル)を勝ちました。馬場・距離を問わずG1を勝ちまくっており、まさに「チリの大種牡馬」(『世界の種牡馬』全訂第4版ヒューソンの項より)。
オーストラリアでは4頭がG1を10勝。うち1頭が、G1を7勝し年度代表馬になったウィークエンドハスラーです。同馬のG1勝利は1600mが2勝、1500mで1勝、1800mで1勝など。2000mG1は8着、2400mG1は12着に敗れています。他3頭は1200m以下のG1を1勝ずつ。G2、G3、準重賞でも1400m以下での勝ち鞍がほとんどなのは気になる。
ヒューソネットはまだ現役種牡馬で、2012年度の種付け料は
2万5000豪ドル とブラックキャビアの父ベルエスプリを10%下回るだけ。しかしこれはピーク時の1/5まで下がった水準です。ちなみに後継種牡馬ヒューソンは2011-2012豪ファーストクロップリーディングで現在2位です。
母の父
センテイン Centaine はニュージーランドの名種牡馬で、母の父としても20頭ほどのG1馬を出しておりニュージーランドのリーディングBMSに3年連続含む5回なっています。直近の活躍馬としては、ジミーシューが2010から2011年にニュージーランド3歳2冠など豪・新併せてG1競走5勝し、うち3勝はマイルG1でした(昨年の香港マイルは2・1/2馬身差9着)。
グロリアスデイズの半姉
スパーセント Spurcent (父フライングスパー)はG1豪1000ギニー(芝1600m)3馬身差3着馬。重賞は9戦して3着2回が最高でした。
ちなみに母の全姉の産駒で最もよく走ったのは香港の
キルデア (父オライリーは今シーズンNZリーディングサイアー)だと思いますが、 1000mの香港ローカルG3を勝つなど、特に1000mで活躍しました。
オーストラリアでの実績では父にスプリント色が強く、それを補うほど母方に長い距離への適性があるとも言い切れない感じでしょうか。「極端なハイペースの1600m」に対しては少し不安があるように思うのですが。ただ実際に国際マイルG1で2着しているので、過度に気にする点でもなさそう。もうひとつの不安点は近走の競馬でスタートが悪くないのにいつも後方に下げている点で、こちらは安田記念当日の東京競馬場が前がとまらない馬場だったときに差し損ねる懸念がありますね。
とはいえ、実力上位だと思いますのでそれを含めても3、4番手以内の評価には出来ると思っています。