昨年は日本馬のワンツーでした。今年の外国馬は、欧州、アメリカそれぞれの大将(ソーユーシンク、ゲームオンデュード)が強くなった印象です。その2頭が先行型であり、スマートファルコンとトランセンドにとって難しいレース運びが求められます。
表記の注意
- 次のように省略することがある(f=ハロン、S.=ステークス、T.=トロフィー、C.=カップ、D=ダート、AW=オールウェザー、米BC=ブリーダーズカップ、英BC=ブリティッシュチャンピオンシリーズ)
- 主な成績で2011年以降のレースは施行年を記載しない。
- リンク先は主に当ブログ過去記事だが、他サイト・ブログの場合もある。
- 内容の正確性は保証しない
2012年3月31日、ドバイ・メイダン競馬場、オールウェザー
G1、14頭、総賞金1000万米ドル、1着賞金600万米ドル
グリーンチャンネル放送予定(無料)、ドバイ公式サイト出馬表(英語)
枠 番 馬 番 | 馬名 | 性齢 斤量 騎手 | 通算成績 主な成績 |
1 | マスターオブハウンズ Master of Hounds(USA) | 4牡 57.0kg C.スミヨン | 13戦【2-4-3-4】 G1ジェベルハッタ1着、UAEダービー2着 |
2 | エイシンフラッシュ Eishin Flash(JPN) | 5牡 57.0kg C.ルメール | 16戦【4-3-4-5】 2010日本ダービー1着、有馬記念2着 |
3 | ザズー Zazou(GER) | 5牡 57.0kg O.ペリエ | 19戦【7-1-4-7】 伊G1ローマ賞1着、G1香港カップ3着 |
4 | ソーユーシンク So You Think(NZ) | 5牡 57.0kg J.オブライエン | 20戦【12-4-1-3】 G1競走8勝 |
5 | スマートファルコン Smart Falcon(JPN) | 7牡 57.0kg 武豊 | 33戦【23-4-1-5】 G1帝王賞1着、G1東京大賞典2連覇 |
6 | プランテュール Planteur(IRE) | 5牡 57.0kg R.ムーア | 14戦【5-4-0-5】 仏G1ガネー賞1着 |
7 | ロイヤルデルタ Royal Delta(USA) | 4牝 55.0kg J.レスカーノ | 9戦【5-2-1-1】 米G1 BCレディースクラシック1着 |
8 | モンテロッソ Monterosso(GB) | 5牡 57.0kg M.バルザローナ | 14戦【6-2-1-5】 昨年の3着馬、G1アルマクトゥームCR3・4着 |
9 | シルヴァーポンド Silver Pond(FR) | 5牡 57.0kg J.ムルタ | 12戦【4-2-3-3】 G1香港ヴァーズ3着 G1アルマクトゥームCR3・2着 |
10 | トランセンド Transcend(JPN) | 6牡 57.0kg 藤田伸二 | 20戦【10-5-0-5】 G1ジャパンカップダート1着 G1フェブラリーS.1着 |
11 | カッポーニ Capponi(IRE) | 5牡 57.0kg A.アジュテビ | 13戦【6-2-0-5】 G1アルマクトゥームチャレンジR3優勝 |
12 | プリンスビショップ Prince Bishop(IRE) | 5セン 57.0kg L.デットーリ | 15戦【6-1-1-7】 G1アルマクトゥームCR3・3着、昨年10着 |
13 | メンディップ Mendip(USA) | 5牡 57.0kg S.サウザ | 10戦【6-0-1-3】 G2アルマクトゥームCR2優勝 |
14 | ゲームオンデュード Game On Dude(USA) | 5セン 57.0kg C.サザーランド | 15戦【6-4-1-4】 米G1グッドウッドS.1着、BCクラシック2着 |
◎スマートファルコン
○エイシンフラッシュ
▲ソーユーシンク
△ザズー
△ゲームオンデュード
△トランセンド
△カッポーニ
カッポーニ Capponi は重賞初出走だった前走のG1アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド3で、3番手以下を離す2番手を追走し、4コーナーで先頭に立つとゴール前では一度詰められた差を広げて優勝。2着の香港ヴァーズ3着馬シルヴァーポンドには4馬身差をつけた。メイダン競馬場・AW1900mと2000mは3戦連続で1位入線(1戦は失格)している。勢いはあるし、前走も強かったが、本番の今回は展開もメンバーも異なる。
2012年G1アルマクトゥームチャレンジR3のレース映像。6番枠、濃緑色の勝負服、白帽子がカッポーニ。ドバイWC ではゴドルフィンの勝負服に変わるので注意。
ゲームオンデュード Game On Dude は後方待機馬が1,3着だった昨年の米G1 BCクラシック(D10ハロン)で逃げて1・1/2馬身差2着。これまでもほとんど逃げまたは先行しています。米G1競走2勝しているダートのほうが得意だと思いますが、AW10ハロンG1でもハナ差2着があります。C.サザーランド騎手は、女性騎手としてはこのレース初騎乗となる点も注目されています。2月の米G2は後方からになりましたが5馬身差で勝っており、順調な様子。
2011年BCのレース映像。逃げる8番がゲームオンデュード。その直後追走する5番が後述ソーユーシンク。特に4コーナーから直線入り口にかけていったん他の先行馬に並ばれたのに、また突き放すところに注目。
エイシンアポロンの半弟であるマスターオブハウンズ Master of Hounds は、3月10日のドバイG1ジェベルハッタ(芝1800m)でいつもと戦法を変え、思い切って逃げると2着に3/4馬身差をつけて優勝し、G1初勝利を挙げた。その2走前G2アルマクトゥームチャレンジ・ラウンド2(AW1900m)はメンディップの3着に敗れた。昨年はUAEダービー(AW1900m)ハナ差2着。米G1ケンタッキーダービー(D10ハロン)は後方を進み約5馬身差5着で、ゲームオンデュードより下に見て良いのではないかと。
2012年ジェベルハッタのレース映像。
昨年のドバイデューティーフリー6着のメンディップ Mendip は今年はこちらに。G2アルマクトゥームチャレンジ・R2は後方2番手追走からマスターオブハウンズらを差し切って勝ったが、G1アルマクトゥームチャレンジ・R3はカッポーニから大差の11着。直線途中では届かないのが明らかだったからか追うのを止めていることが確認でき、そこまで実力差は無いが、2010年UAEダービーでも3馬身差3着どまりで格下です。
2012年アルマクトゥームチャレンジ・R2のレース映像。濃緑色の勝負服、赤色の帽子がメンディップ。黄色の勝負服・青色の帽子がマスターオブハウンズ。
昨年ヴィクトワールピサから3/4馬身差3着だったモンテロッソ Monterosso は、アルマクトゥームチャレンジR3でそれ以来の出走。4,5番手を追走し、カッポーニから6・1/2馬身差の4着に入った。約1年ぶりの出走としては上出来で、昨年の結果を重視するなら。
2011年ドバイワールドカップのレース映像。最内を先行する青色の勝負服、白色の帽子がモンテロッソ。ゴール直前でもう一度伸びていました。
プランテュール Planteur は昨年の仏G1ガネー賞(芝2100m)でサラフィナ(仏G1・3勝。ナカヤマフェスタとヒルノダムールが出走したフォア賞1着)を破って優勝。しかし2010年G1香港カップ(芝2000m)でスノーフェアリーから2馬身差5着、昨年の英G1プリンスオブウェールズS.で7馬身差4着など、後述ソーユーシンクとの比較では明らかに劣る。
デットーリが騎乗するのはプリンスビショップ Prince Bishop。昨年はヴィクトから5馬身差10着。今年はG1アルマクトゥームチャレンジ・R2でメンディップの5着、R3でカッポーニの3着では上位は狙えないでしょう。
G1アルマクトゥームチャレンジ・R3でカッポーニの4馬身差2着だったシルヴァーポンド Silver Pond はガネー賞でプランテュールから3馬身差5着。12月のG1香港ヴァーズ(芝2400m)で1・1/2馬身差3着は素晴らしいが(トレイルブレイザーが4・1/2馬身差6着)、2400mの方が向いていると思うし、その距離でも欧州の一流とは言えなくて。
ソーユーシンク So You Think は2010年までにオーストラリアでG1を5勝し、昨年アイルランドのA.オブライエン厩舎に移籍。愛G1タターソールズゴールドカップ、英G1エクリプスS.(2着は凱旋門賞馬ワークフォース)、G1愛チャンピオンS.(2着スノーフェアリー)と10ハロンのG1を3勝した。
英G1プリンスオブウェールズS.ではリワルディング(ドバイシーマクラシック勝ち馬)の2着、G1英チャンピオンS.ではシリュスデゼーグルの2着(スノーフェアリーが3着)に敗れているが、欧州の芝10ハロンG1を5戦してパーフェクト連対とヨーロッパ中距離最強クラス。豪州でも1800-2040mは6戦全勝(すべて重賞。うち5戦はG1)。逃げ馬のすぐ後ろでレースを運ぶことが多く、スマートファルコンとトランセンドにとってきわめて厄介な相手です。
また2ヶ月で4戦目だったBCクラシックでもゲームオンデュードから2馬身以内の6着に入っており、オールウェザー適性次第で十分逆転可能。ただしBCクラシック以来、約5ヶ月ぶりの出走である。
エクリプスS.のレース映像。ピンクの帽子が2010凱旋門賞馬ワークフォース。紫の帽子・勝負服がソーユーシンク。
愛チャンピオンS.のレース映像。黄色と赤の勝負服はスノーフェアリー。
ザズー Zazou は昨年10月の伊G1ローマ賞(芝2000m)で優勝し、G1香港カップ(芝2000m)は1・1/2馬身差の3着。前走3月の仏メイダンホテル賞(AW1900m)で優勝し、2戦連続でシリュスデゼーグル(2011年ヨーロッパ最優秀古馬)に先着した。そのシリュスデゼーグルは前述どおり10ハロンの英G1チャンピオンS.でソーユーシンクに先着している。外国2強を負かすならこの馬ではないか。
メイダンホテル賞のレース映像はこちら(有料)。
2011年ローマ賞のレース映像。
唯一頭の牝馬であるロイヤルデルタ Royal Delta は昨年の米3歳牝馬G1アラバマS.と、G1 BCレディースクラシック(ダート9ハロン)を勝ち、最優秀3歳牝馬に選ばれた。ただし米国内でも同じ牝馬相手に負けるのが普通で、BCの前には米牝馬G1ベルデイムS.(ダート9ハロン)でハヴルドグレース(年度代表馬)から8馬身差2着、また3月の米G2サビンS.(ダート8.5ハロン)でも、牝馬G1馬オーサムマリアから8馬身差の2着に敗れています。ここでは厳しい。
2 件のコメント:
エイシンフラッシュは5歳のはずですが……
訂正しました。ありがとうございます。
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