昨年春に引退したキングストレイル Kings Trail がアイルランドで現役復帰することになり、2月にはすでにアイルランドへ移動、現地で開業している日本人の児玉敬調教師の元で調教が積まれているとサンケイスポーツが報じました。移籍初戦の時期は不明です。
昨春引退キングストレイル、愛で現役復帰 - 競馬 - SANSPO.COM
キングストレイルは05年セントライト記念(G2)、07年京成杯オータムハンデ(G3)で重賞2勝、G1競走ではスプリンターズステークス4着(07年)、マイルチャンピオンシップ6着(07年)、天皇賞・秋は2戦して16着(05年)と9着(08年)しています。マイル前後の距離を中心に、ハイペースになると好走することのあるタイプの競走馬でした。
アイルランド移籍は、「アイルランドから名馬サンデーサイレンスの血が欲しいとの理由で後継馬としての強いオファーがあり」と、サンデーサイレンスの血統を求める現地生産者の求めに応じてのようですが、わざわざ競走馬として現役復帰する理由は不明です。キングストレイルは父サンデーサイレンスの魅力のほか、近親にマイルCS勝ち馬シンコウラブリイなど重賞勝ち馬が多数いる牝系の出身、および自身が種牡馬としての価値が上がっているマイル近辺の活躍馬であることなどから競走成績に比べれば種牡馬として引き合いが強いのかもしれません。
ちなみに、マイルチャンピオンシップ→香港マイルとマイルG1を連勝したハットトリックが2008年、父サンデーサイレンスのG1勝ち馬としては初めて海外(アメリカ)で種牡馬入りしています。
父系馬鹿:ハットトリック - livedoor Blog(ブログ)
また、06年シンガポール航空インターナショナルカップ(G1)勝ち馬コスモバルク Cosmo Bulk もアイルランドで現役復帰プランがあると日刊スポーツが報じています。
バルクが現役復帰アイルランド参戦プラン - 競馬ニュース : nikkansports.com ← 画像有り
コスモバルクは昨年2010年もアイルランドに移籍する計画がありましたが、出国に向け茨城のビッグレッドファーム鉾田で調整中だった3月に左後肢の剥離骨折が判明、そのまま引退していました。今年2月末から本格的な調教を再開しており、
岡田繁幸オーナーは「動きや気配をもう少し見てからになるが、乗っていて若さを感じ、走るのを嫌がらず、鋭気があれば」と、条件付きながらも現役復帰への可能性を模索しているとのこと。移籍するとすれば、キングストレイルと同じように児玉敬厩舎が受け入れ先になる予定です。なお、
バルクは昨春に門別競馬場で引退セレモニーを行っているが、地方競馬全国協会の登録は残されており、登録上は現役馬扱いだそうです。
コスモバルクは06年に国際G1シンガポール航空インターナショナルカップでG1初勝利、同レースは翌07年も2着し、08年は6着でした。他に皐月賞2着、ジャパンカップ4着など、地方所属馬ながら中央場所で活躍しました。特にラジオたんぱ杯2歳S.、弥生賞と3歳牡馬クラシックへ向けた主要レースを連勝したのは印象的でした。後年はもう力を落としていたのが明らかなので、「条件戦から使って、G1に挑戦できるようなら」(岡田繁幸オーナー)と言われてもG1戦は出走するだけに終わりそうですが、父ザグレブはG1愛ダービー勝ち馬と当地に縁があることですし、無事に出走してほしいところです。
ポップロック、(おそらく)チェコの Napajedla Stud にて |
キングストレイル、コスモバルクをアイルランドで受け持つ児玉敬調教師は昨年、ポップロックも受け入れていたのですが、その児玉調教師がポップロックがチェコで種牡馬入りすることになった経緯を「競馬ブック」に語っています。
ポップロックが種牡馬に 繋養先がチェコに決まるまでの経緯 - 座布団が行司にクリーンヒット
ポップロックは移籍緒戦のギネスレース(非重賞の一般戦)を2.5馬身差で快勝後、アイルランドを中心に欧州で複数の種牡馬入りオファーがあったそうです。ただしアイルランドからの打診はいずれも現地で盛んな障害競走用の種牡馬としてだったと。そこで児玉氏は障害用でないオファーの中から一番条件の良かったチェコの「Napajedla Stud」を選び、チェコで種牡馬入りとなったそうです。
ということは、アイルランドで種牡馬入りする予定で移籍したキングストレイルには、「すでに障害用ではない、平地の種牡馬としてのオファーがある」と考えるのが妥当な気がしますが、世界のサラブレッド生産をリードする中心地のひとつであるアイルランドで少しでも良い牝馬を集めるためにも、レースで良い結果を期待したいです。
「Napajedla Stud」は、
チェコとドイツの企業の合弁会社なんだそうで、国こそチェコですがドイツ国境付近にあってドイツから良質な牝馬を集めやすい点があり、種付け料は1500ユーロ(18万円ほど)、さらに条件として初年度種付け数55頭確保、3年間リースという契約が成される予定なんだそうです。
ポップロックが種牡馬に 繋養先がチェコに決まるまでの経緯 - 座布団が行司にクリーンヒット
「Napajedla Stud」にはチェコ年度代表馬で、BCクラシック勝ち馬レッドロックスの半弟であるブルーコーラル Blue Coral、ドイツでG2・2勝、G3・3勝をあげ、G1でも2着2回など安定して走った Egerton などが繋養されています。
ポップロックは次のように紹介されています。
ポップロック(JPN)
チェコへの輸入された中では史上最高賞金獲得馬。
G2勝ち馬で、G1・2着あり。
優れたキャリア、頑健さ、スタミナを誇る。
種付け料
35000チェココルナ(約17万円)
25000チェココルナ(約12万円)
おそらく条件別に2種類の金額が掲示されていますが、よくわからない。
フォトギャラリー14枚
詳細PDF(以下、内容)
ポップロック(JPN)
父エリシオ、母ポップス、母父サンデーサイレンス
ノーザンファーム生産
豊富なキャリア中に以下の優れたライバルたちに先着したことがある(注意、先着であって必ずしも「これらを負かして優勝した」ことを意味しない)。
ウオッカ(GI・6勝、最優秀2歳牝馬、年度代表馬(07年、08年)、最優秀古馬牝馬)
メイショウサムスン(日本ダービー)
デルタブルース(メルボルンカップ、菊花賞)
サデックス(独G1ラインラントポカル、仏G2シャンティイ大賞)
コスモバルク(シンガポール航空インターナショナルカップ、弥生賞)
アドマイヤムーン(ドバイデューティフリー、宝塚記念)
ダイワメジャー(マイルチャンピオンシップ、天皇賞、安田記念)
エイシンデピュティ(宝塚記念)
マツリダゴッホ(有馬記念)
ボンネビルレコード(帝王賞)
カワカミプリンセス(オークス、最優秀3歳牝馬)
ロジック(NHKマイルカップ)
という感じに紹介されています。父エリシオ産駒の他の活躍馬や、ポップロックの近親についても紹介されていますが、これは省略します。まあチェコなのでいまいち情報が遠いですが、今後も時々紹介していこうと思います。