今年2011年の凱旋門賞に出走する各馬の紹介です。出走馬および枠順は未確定ですが、有力どころは次のとおりです。文中のリンク先は特に記述が無い場合は過去記事です。騎手は推定。
9月26日現在の英ブックメーカーのオッズでは、人気順にサラフィナ、ソーユーシンク、ワークフォース、ガリコヴァ、ナサニエル、リライアブルマン、メアンドレ、スノーフェアリー、ヒルノダムール、 ナカヤマフェスタ、デインドリーム、セントニコラスアベイ、トレジャービーチの順です。
ワークフォース Workforce(4歳牡馬。5代血統表、英語サイト。以下同じ)
父キングスベスト、母ソヴィエトムーン、母父サドラーズウェルズ
騎手:R.ムーア、調教師:M.スタウト、馬主:カリッド・アブドゥラ
8戦【4-3-0-1】
ワークフォースの画像(奥、転載元)
昨年の英ダービーと凱旋門賞の勝ち馬。今年のキングジョージで2・3/4馬身差2着以来、ぶっつけの出走ですが、去年もキングジョージ17馬身差5着以来の出走でした。今年は3戦してG3ブリガディアジェラードS.(10ハロン、YouTube)を1勝のみ。他に英G1エクリプスS.でソーユーシンク(後述)から1/2馬身差の2着でした。
2010凱旋門賞のレース映像
ナサニエル Nathaniel(3歳牡馬。5代血統表)
父ガリレオ、母マグニフィセントスタイル、母父シルヴァーホーク
騎手:W.ビュイック、調教師:J.ゴスデン、馬主:レディー・ロスチャイルド
6戦【3-3-0-0】
ナサニエルの画像(左、転載元)
今年のキングジョージでワークフォースを破って優勝しました。昨年、8ハロンのデビュー戦はフランケルから1/2馬身差の2着。今年は4戦すべて12ハロン戦で、G2チェスターヴァースでトレジャービーチ(愛ダービー馬)からアタマ差2着だった以外は全勝しています。ほかにキングジョージの1走前、G2キングエドワード7世S.は5馬身差で優勝。
こちらもキングジョージからぶっつけです。なお、馬場状態によっては(おそらく馬場が堅く、時計が速い場合には)凱旋門賞を回避して、10月15日のG1チャンピオンS.に回ります。
2011年キングジョージ6世&クイーンエリザベスS.のレース映像
ソーユーシンク So you Think(5歳牡馬。5代血統表)
父ハイチャラパル、母トライアシック、母父タイツ(その父ニジンスキー)
騎手:S.へファナン、調教師:A.オブライエン、
馬主:Smith/Magnier/Tabor/Dato Tan/T.Yahaya
17戦【12-3-1-1】
ソーユーシンクの画像(転載元)
ニュージーランド生産馬。2009年に豪G1コックスプレート優勝、2010年にコックスプレート連覇を含むG1競走4勝。2011年からはクールモアが購入し、アイルランドのエイダン・オブライエン調教師の元へ移籍しました。
今年はエクリプスS.でワークフォースを、愛チャンピオンS.でスノーフェアリーをそれぞれ2着に下して優勝するなどG1を3勝しました。6月の英G1プリンスオブウェールズS.ではドバイシーマクラシック勝ち馬リワルディングのクビ差2着に敗れています。
2100m以上の経験は、5月のG1タターソールズゴールドカップ(約2112m)と昨年のメルボルンカップ(3200m)があるのみ。前者は4馬身差快勝、後者は3着(YouTube)でした。2400mへの適性は気になりますが、メルボルンカップも残り300mから200mを切った辺りまで先頭に立っており持つでしょう。
なお、騎手についてオブライエン調教師の最終決定はまだです。ソーユーシンク愛移籍後の5戦はムーアが2戦、へファナンが3戦騎乗しました。凱旋門賞でムーアはワークフォースの予定で、また息子のジョセフを乗せてくるとは思わないし、今年オブライエン管理馬でG1を勝っている他の2人、スペンサーやオドノヒューを乗せるつもりがあるならエクリプスS.や愛チャンピオンS.でも乗ってもらっているだろうと思うので、普通にヘファナン騎手だろうと思います。バルザローナ騎手の可能性もなくは無いですが。
極端に馬場が悪くなった場合には回避する可能性があります。
2011年G1愛チャンピオンS.のレース映像。
サラフィナ Sarafina(4歳牝馬。5代血統表)
父リフューズトゥーベンド、母サナリヤ、母父ダルシャーン
騎手:C.ルメール、調教師:A.ド・ロワイエ=デュプレ、馬主:アガ・カーン4世
9戦【6-1-2-0】
サラフィナの画像
昨年の凱旋門賞は直線手前で大きな不利がありましたがよく差して 1着から2・3/4馬身差の3着に入りました。今年は牡馬相手のサンクルー大賞典も優勝。前走フォア賞でヒルノダムールとセントニコラスアベイとの狭い間を抜け出てきた根性と末脚は見事でした。凱旋門賞は、道中は馬群の内でじっと待ち直線で馬群を割って抜け出す競馬が必勝パターンなので、今年も十分チャンスです。
2011年サンクルー大賞典のレース映像
2011年フォア賞のレース映像
リライアブルマン Reliable Man(3歳牡馬。5代血統表)
父ダラカニ、母オンフェアステージ、母父サドラーズウェルズ
騎手:G.モッセ、調教師:A.ド・ロワイエ=デュプレ、馬主:プライドレーシングクラブ
5戦【4-0-1-0】
リライアブルマンの画像(手前の青い帽子)
ここまでの5頭は父父か母父がサドラーズウェルズです。
今年のジョッケクルブ賞(フランスダービー、2100m)は後方追走から馬群を抜け出して優勝。唯一の敗戦はパリ大賞典でメアンドレ(後述)の4・1/2馬身差3着でした。前走ニエル賞はメアンドレに2馬身差をつけて快勝。
フォア賞は2分32秒28、その30分後に行われたニエル賞は2分32秒43とほぼ同じ勝ち時計での決着でした。ただし本番は斤量が、サラフィナ56.5→58.0、ヒルノダムール・ナカヤマフェスタ58.0→59.5と増えるのに対して、リライアブルマンやミアンドレは3歳なので58.0→56.0と減る分きわめて有利です。あとは2分26秒63と速めの決着だったパリ大賞典で負けており、調教師もタイムを敗因としているので凱旋門賞が良い馬場で行われた場合の懸念材料です。
2011年フランスダービーのレース映像。
2011年ニエル賞のレース映像
メアンドレ Meandre(3歳牡馬。5代血統表)
父スリックリー、母ペン、母父セーヴルローズ
騎手:M.ギュイヨン、調教師:A.ファーブル、馬主ロスチャイルドファミリー
10戦【3-3-1-3】
メアンドレの画像
昨年は4戦して3着が精一杯。今年に入ってから2→2→1→1→1→2とパーフェクト連対中。G1パリ大賞典で重賞初勝利。パリ大賞典ではリライアブルマンの1馬身ほど前の位置から直線でリライアブルマンを突き放し4・1/2馬身差をつけました。一方、行き脚がつかなかったニエル賞はリライアブルマンの2-3馬身後ろを追走しいったんはほぼ並びましたが、最後は2馬身差2着。
ただ、ニエル賞2週間前に熱発(RacingPost)して予定の調教をこなせなかったようなので、 前走の敗戦だけでは見限れないです。
2011年パリ大賞典のレース映像。
ガリコヴァ Galikova(3歳牝馬。5代血統表)
父ガリレオ、母ボーンゴールド、母父ブラッシンググルーム
騎手:O.ペリエ、調教師:F.ヘッド、馬主:ヴェルトハイマー兄弟
7戦【5-1-0-1】
ガリコヴァの画像(転載元)
ゴルディコヴァの半妹で、重賞3勝馬。仏オークス2着。ニエル賞の2時間後に行われたG1ヴェルメイユ賞でG1初勝利。ヴェルメイユ賞の勝ちタイムは 2分34秒38とフォア賞・ニエル賞より2秒ほど遅いですが、この間ロンシャン競馬場は強い雨が降り馬場が悪くなっているので、そのぶんでしょう。凱旋門賞はヴェルメイユ賞と同じ54.5kgでの出走です。
牡馬とは1戦だけしており、そのG2ギョーム・ドルナーノ賞では4着馬コロンビアンに3・3/4馬身差をつけました。コロンビアンは仏ダービーとニエル賞でそれぞれリライアブルマンから2・3/4馬身差4着、3・1/4馬身差4着しています。コロンビアンを物差しにすればリライアブルマンとも相手になりそう。
2011年ヴェルメイユ賞のレース映像。
"Qatar Prix Vermeille 2011" Galikova / O... 投稿者 DIRECTVISION1
ヒルノダムール Hiruno D'Amour(4歳牡馬。5代血統表)
父マンハッタンカフェ、母シェアエレガンス、母父ラムタラ
騎手:藤田伸二、調教師:昆貢、馬主:蛭川正文
15戦【4-6-1-4】
初コースのフォア賞はサラフィナから短クビ差の2着。 セントニコラスアベイにも2馬身先着し、試走としては十分な結果でした。大阪杯はレコード勝利で、悪い馬場で行われた天皇賞(春)は13年ぶりに3分20秒以上かかった決着で優勝。時計が速くなっても、ある程度なら遅くても対応できる。
ナカヤマフェスタ Nakayama Festa(5歳牡馬。5代血統表)
父ステイゴールド、母ディアウィンク、母父タイトスポット
騎手:蛯名正義、調教師:和泉信一、生産者:新井牧場
14戦【5-3-0-6】
昨年の凱旋門賞2着馬。昨年のジャパンカップ以来だったフォア賞は最下位4着でしたが、後方追走のままで負けるよりは、ああやって逃げる競馬のほうが走る気力がなくなっていないことが確認出来てよかったと思います。昨年のフォア賞2着ほど順調ではないものの、今年も良い競馬を見せてほしい。
スノーフェアリー Snow Fairy(4歳牝馬。5代血統表)
父インティカブ、母ウッドランドドリーム、母父チャーンウッドフォレスト
騎手:F.デットーリ、調教師:E.ダンロップ、馬主:アナモイン社
16戦【6-4-2-4】
スノーフェアリーの画像(転載元)
昨年は英オークス、愛オークス、エリザベス女王杯、香港カップとG1を4勝。今年はドバイシーマクラシックを目指していましたが、管骨に異常が見つかって(海外競馬)出走断念。7月に復帰し、エクリプスS.はソーユーシンクから9馬身差の4着(5頭立て)。牝馬G1ナッソーS.は2馬身差2着。前走のG1愛チャンピオンS.ではソーユーシンクから1/2馬身差の2着まで調子を戻しています。
凱旋門賞に出走するかは今週中頃の追い切り後に決定されます(RacingPost)。ダンロップ調教師は、「時計が速い馬場の方が良い」と述べています。天気予報次第では回避する可能性もありそうです。なお近2走はデットーリ騎手が騎乗していました。
2010香港カップのレース映像。
デインドリーム Danedream(3歳牝馬。5代血統表)
父ロミタス、母デインドロップ、母父デインヒル
騎手:A.シュタルケ、調教師:P. シールゲン、馬主:Gestut Berg Eberstein
11戦【4-0-4-3】
デインドリームの画像(転載元)
G2イタリアダービー3着、G2イタリアオークス優勝。自国の独G1ベルリン大賞とバーデン大賞はいずれも古馬牡馬相手にそれぞれ5馬身差、6馬身差の圧勝しました。これを受けて凱旋門賞に5着賞金に相当する追加登録料を支払って出走することが検討されています。こちらも馬場次第(SportingLife)の出走ですが、おそらく柔らかい方を好んでいたはず。締め切り日は29日です。
2011バーデン大賞のレース映像
セントニコラスアベイ St Nicholas Abbey(4歳牡馬。5代血統表)
父モンジュー、母リーピングウォーター、母父シュアブレード
騎手:J.オブライエン、調教師:A.オブライエン
馬主:D.スミス、Mrs.マグナー、M.テイバー
9戦【5-0-3-1】
セントニコラスアベイの画像
09年に2歳G1レーシングポストトロフィー(1マイル)優勝。今年はG1コロネーションカップ(12ハロン、YouTube)を制したあと、キングジョージ4馬身差3着、フォア賞3着。強いことは強いのですが、このメンバーに入るともう一歩足りない感じもします。
トレジャービーチ Treasure Beach(3歳牡馬。5代血統表)
父ガリレオ、母 Honorine、母父マークオブエスティーム
騎手:C.オドノヒュー、調教師:A.オブライエン
馬主:D.スミス、Mrs.マグナー、M.テイバー
10戦【5-3-1-1】
トレジャービーチの画像(転載元)
英ダービーで頭差2着のあと、愛ダービーは3/4馬身差で優勝。パリ大賞典は4馬身差4着でした。8月にはアメリカに遠征しG1セクレタリアトS.(10ハロン)を勝っています。12ハロンの英G2チェスターヴァースではナサニエルを頭差おさえて優勝しています。出走するとすれば特に馬場が悪い場合はセントニコラスアベイよりチャンスがありそう。
2011愛ダービーのレース映像
なお、今年の英ダービー馬プルモアはすでに引退。ニエル賞3着馬ヴァダマールは2週間後のG2レースを目標にしているため、凱旋門賞には出走しません。
凱旋門賞当日は新宿と梅田でパブリックビューイングが予定されています。詳しくはこちら。またグリーンチャンネルでは10月2日(日)22:30から24:00までのあいだに中継があります。詳しくは「2011凱旋門賞生中継~中央競馬を見るならグリーンチャンネル~」をご覧ください。
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